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第5章:テストが始まる

けど、ここでは常識など意味をなさない。

神々が住まう世界で、生き残るための戦いが始まる。


仲間、敵、試練、伝説——

そのすべてが、少年の一歩から動き出す。


ようこそ、神々の試練へ。

(一週間が経ち、エデンは訓練と儀式の疲労から完全に回復していた。小屋の前に立つ彼の前で、テンザクが静かに微笑んでいた。)


テンザク「……幸運を祈るよ、エデン。」


エデン「本当にありがとう。」(軽く頭を下げる)


(シュンが腕を組んで隣に現れる。)


シュン「……行く時間だ。」


エデン「うん。……じゃあね、テンザク!」


テンザク「また会えるさ。」


シュン「空間術式:ケルベロスの門」


(巨大な黒い門が彼らの前に現れ、不気味なエネルギーを放ちながら轟音と共に開く。それはまるで次元を繋ぐ道のようだった。)


シュン「準備はいいか? この門をくぐったら……もう元の世界には戻れない。お前の世界観はすべて変わる。」


エデン「うん。六ヶ月前のあの夜に、もう決めてたんだ。」


(シュンは口元を緩めて微笑む。)


シュン「……成長したな。」


エデン「今さら気づいたのか?」


シュン「いや、そういう意味じゃない。前はただの生意気なガキだったが……今は多少、分別がついたようだ。」


エデン「ピンク頭のバカめ。」


(ふたりは門をくぐり抜ける。向こう側には、まばゆい光に包まれた壮麗な都市が広がっていた。)


エデン「……すごい……」


シュン「ここがグレク。ギリシャ神族の故郷にして、GODS学院の所在地だ。」


エデン「神話の授業で聞いた通りだ……」


シュン「お前の世界では、こんな場所はもう“存在しない”。だがここでは、神々が大切にするものは今も生き続けている。」


エデン「まるで、時間と歴史が閉じ込められてるみたいだ……」


シュン「ああ。永遠にあるものほど、人は価値を見失うものだ。」


(シュンがエデンを見て言う。)


シュン「もし探索したければ少し時間を――」


(気づけばエデンの姿はもうない。彼は街へと走り出していた。)


シュン「……ここの言葉、誰もお前と同じじゃないって言い忘れてたな。まぁ、自分で気づくだろう。」


(場面転換:エデンは賑やかな街を歩いていた。目を輝かせ、夢の中にいるかのように。)


エデン(心の声)「まるで夢みたいだ……でも……なんで誰の言葉も理解できないんだ?」


(市場の売り声はすべて古代語。突然、エデンは一人の少女とぶつかる。)


エデン「ご、ごめん!」


???「何よ、バカ!どこ見て歩いてんのよ!」


エデン「え? な、何言ってるんだ!?」


(互いに言葉が通じず、怒鳴り合いに。少女はエデンの首を掴んで地面に叩きつけ、殴ろうとするが――)


???「やめろってば!彼、言葉わからなかっただけだ!」


???「何よそれでもぶつかってきたのは事実でしょ!」


エデン「事故だったんだよ!しかも、あんたみたいなブスにナンパするわけないだろ!」


???「……なんですってぇぇぇ!?!?」


(ふたりは罵り合い始める。少年がため息をつき、2人の頭を同時に叩く。)


???「いい加減にしろ、子供か!」


エデン&少女「……はい……」


(そのとき、ようやくシュンが現れる。)


シュン「……いたか、エデン。って、そのたんこぶは何だ?」


エデン「……長い話だよ。てか、なんでここの人たち、俺の言葉話さないんだよ!」


シュン「言う暇なかったんだよ。」


エデン「でも今は理解できてるぞ?どういうことだ?」


(まわりの人々がざわつき出す。)


???「あれ……あの人って、伝説の戦士シュンじゃないか?」


(シュンが眉をひそめる。)


シュン「……しまった。これも言い忘れてた。」


(人々が集まり始める。)


シュン「エデン……」


エデン「な、なに?」


シュン「……逃げるぞ。」


エデン「……はっ!?」


(シュンがエデンの手を掴み、ふたりは群衆の中を走り出す。)


(しばらくして、ふたりは屋上に倒れ込み、息を切らしていた。)


エデン「……なあ、一体なんだったんだよ、さっきのは……」


シュン「……あとで説明する。ちょっとだけ……休ませてくれ……」


(夕暮れの空の下、ふたりはしばし無言で座り込んだ。)


エデン「……ところで、どうして今は話が通じてるんだ?」


シュン「それはな、ゼンカエネルギーのおかげだ。脳の特定の部位にエネルギーを流すことで、言語が変換されるんだ。実際には、彼らも俺もお前の言葉を話してるわけじゃない。」


エデン「ってことは……最初からお前の口の動きと声がズレてたのも、それが原因か。」


シュン「唇読んでたのか?お前……変わってるな。」


エデン「てか、改めて聞くけどさ。お前って、ここで一体どんな存在なんだ?」


シュン「昔、王様と一緒に戦争に参加してな。その功績でいろんな“伝説”が広まっただけだよ。」


エデン「それであんなファンがいるわけか……って、つまり戦争前はイケメンで、今は呪いでブサイクになったってことか?」


シュン「どうやったらそうなる!?」


(シュンがツッコミを入れようとした瞬間――)


(街に大音量のホーンが響き渡る。)


アナウンス「GODS学院試験の受験者は、闘技場へ集合してください。」


エデン「……今、なんて?」


シュン「試験の時間だな。さ、まずは登録だ。」


(ドゴッ)


シュンがエデンの頭を軽く叩く。エネルギーが脳に流れる。)


エデン「いってぇな!何すんだよ!」


シュン「感謝することになるさ。……さて、行け!」


(ドン!)


シュンがエデンを空へ投げ飛ばす。エデンは叫びながら闘技場へと向かっていった――。


(エデンは地面に大きなクレーターを作って着地した。周囲の地面にはひびが入り、煙が立ち上っている。クレーターの縁から、一人の人物が顔を覗かせる。)


「大丈夫か?」

(馴染みのある声が聞こえる。)


(エデンは埃を払いながら顔を上げる。そこにはシュウが立っていた。)


「君か…さっきの子。名前なんだっけ?」


「シュウ。シュウ・サジェス。ちゃんと名乗らなくてごめんね。」


「俺はエデン・ヨミだ」

(エデンは立ち上がりながら自己紹介を返した。)


「私の名前はユキ・ツカよ」

(長い髪の少女が腕を組みながら口を挟む。片方の眉を上げて挑発的に。)


「え?」


「名乗っておいた方がいいかと思って」

(その口調はやや挑戦的だった。)


「あ、そう…」


(その空気の重さに、シュウは苦笑しながら場を和ませようとする。)


「それよりエデン…シュンとの関係って、どういう感じ?」


「んー…まあ、技術的には…俺の師匠?」


(一瞬の沈黙が流れ、ユキは眉をひそめる。)


「ありえないわ」

(その言葉は鋭く、断定的だった。)


「は?嘘だって言いたいのか?」


「さあ?そう思いたいならそう思えば?」


「なんだよその言い方!?ちゃんと説明しろよ!」


(シュウが一歩前に出て場を収めようとする。)


「まあ、彼女がそう思うのも仕方ないかも。シュンってのはさ…伝説なんだ。どんなに大きな家の子でも、彼を家庭教師に雇おうとして全部断られてるって話だよ。」


「はぁ…だけど、俺は嘘なんかついてない。」


(その時、厳しい表情の男が近づいてくる。)


「すまないが、試験の登録をするつもりはあるのか?」


「はい、今行きます」

(シュウがすぐに答える。)


(シュウとユキは受付へ向かい、名前を書き込む。男は次にエデンを見た。)


「君、名前と師匠の名前を言え。」


「エデン・ヨミ。師匠はシュンだ」


(その場が凍りついたかのように静まり返る。近くにいた者たちも、動きを止めて注目する。)


「これは…冗談か?」


「違います」


「訂正する最後のチャンスだ」


「必要ない。俺は本当のことを言ってる」


(男は眉をひそめ、不機嫌そうに手を伸ばし、エデンの首を掴む。)


「こういう冗談は嫌いなんだ。ここを汚す嘘つきは許さない」


(もがくエデン。だが、力は通じない。その時…)


「オリヴィオ。そのバカな弟子を放してやれ」


(冷たい声が場に響く。男は驚いた表情で、すぐにエデンを離す。エデンは地面に落ちて咳き込んだ。)


「シュン…すまない…俺…」


(エデンは首を押さえながら、周囲の人々がシュンに恐れと敬意を示しているのを見て驚く。)


「なんだよこの人たち…シュンの名前を聞いただけでこんなに変わるなんて…あいつ、一体何者なんだ?」


「オリヴィオ、名前を記入して番号を渡せ」


「…はい。エデン・ヨミ、君は十二番だ」


(シュンはエデンを見て呼びかける。)


「エデン、こっちに来い」


(首をさすりながらエデンが近づく。)


「ここでは一体お前、何なんだよ?」


「さっきのことは悪かったな。オリヴィオは俺の弟で、俺の評判を守るためには少々手荒になることがある」


「ちょっと!?殺されかけたんだけど!?」


「まあ…お前も大概バカだしな」


「ここに来てからずっと変なことばっかりだ。お前の名前出したら殺されかけて、女にぶつかったら殴られそうになって、お前には空飛ばされるし…ほんとイカれてる」


「でも、普通ってつまらないだろ?」


(エデンは深くため息をつきながら、思わず笑う。)


「まあ…そうかもな」


(シュンも口元を緩める。)


「これで正式に登録完了だ。あとは頑張れよ」


「ありがとう、シュン」


「…あれ?今のって素直な感謝?珍しいな」


「うるせえ」


「じゃあな、GODSに入ったらまた会おう」


(シュンに軽く背中を叩かれ、エデンは奥の通路へ進む。)


「十二番、エデン・ヨミですね。左の部屋へどうぞ。順番が来たら呼びます」


「了解です」


(エデンは部屋へ入る。中央に荷物を置き、祖父の剣を取り出して見つめる。)


「俺に…使いこなせるかな…?」


(その時、小さな箱と一枚のメモに気づく。)


『あのアホのシュンが装備のことを言い忘れてたと思ってな。中に必要なもの入れといた。ゼンカ使って開けな。—テンザク』


(エデンは微笑む。)


「ありがとな、テンザク」


(エネルギーを流すと箱が開き、中には軽い革の鎧と黒い剣が収められていた。)


(エデンは鎧を着込み、剣を腰に装備する。祖父の剣と二本差しだ。)


「十二番、出番です」


「はい!」


(エデンは深呼吸しながら心の中でつぶやく。)


(——ここからが始まりだ。もう、後戻りはできない)


(階段を登っていくエデン。その先には、運命を決する戦いの舞台——闘技場が待っていた。)

キャラクター情報:

名前: シュウ・サジェス

年齢: 15歳 (11月13日)。

身長:165cm。

出生地: 不明。


名前: ゆきつか

年齢: 16歳 (11月16日)

身長: 160cm

出身地: ギリシャ

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