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第 1 章: 始まり (第1巻:準備編)

――これは、「神々」と呼ばれる存在が、まだ世界に影響を与えていた時代の、遥か遠い記憶。


人間が空を仰ぎ、祈りを捧げていた時代は、もう過ぎ去った。

だがその信仰の残響は、見えない場所で静かに脈打ち続けている。


忘れられた神々、そして忘れられた運命。

その狭間に生まれた、ひとりの少年の物語。


運命に背を向ける者と、運命に抗う者――

すべては、静かな朝の目覚めから始まる。

神々と人間が共に歩んでいた古の時代。

だが、人々は信仰を捨て、神の存在を疑い始めた——。

それが、すべての始まりだった。


人間界と神界の絆は、やがて完全に断たれ、

時を経て、神界そのものが混乱と戦乱に包まれる。

その混乱は人間界にも波及し、

神々と人の血が交わることで、

新たな存在――神子しんしや半神が生まれ始めた。


——これは、そのすべてから遠く離れた一人の少年。

エデン・ヨミの物語である。


ジリリリリリリリッ!!)

アラームのけたたましい音が、静寂を破った。


エデン「……ん、うるさ……もう起きる時間か……?」


寝ぼけまなこを擦りながら、エデンは布団から体を起こした。

制服を手に取り、鏡の前で髪を整える。

窓の外はまだ夜の名残を残していた。


エデン(心の声)「はぁ……また退屈な一日の始まりか……。

授業、勉強、宿題、何も面白いことなんて起きやしない……。」


???「エデン〜、朝ごはんできてるぞ〜!」


エデン「はーい……今行くよー……」


階下から響くのは、どこか陽気な老人の声。

エデンは眠気まなこをこすりながら、ゆっくりとキッチンへ向かった。


テーブルに着いた瞬間——


エデン「……ん? なにこれ?」


目の前には、ホールサイズのケーキが鎮座していた。

デコレーションも完璧。こんな朝食、見たことがない。


ゲン「ほら、今日はお前の誕生日だろ?」


エデン「あ……そうか……最近忙しくて、すっかり忘れてた……」


ゲン「だから今くらい、ちゃんと祝っとけ」


エデン「いや、でも準備とかしてたらまた遅刻するかも……!」


ゲン「ふふっ、心配いらんよ。時間はたっぷりあるさ」


エデン「いやいや、今何時だと思ってんの……って、え?」


壁の時計に目をやると、短針は「5」の上に。

午前五時。


エデン「……ちょっと!?なんで目覚まし鳴ったの!?7時半のはずでしょ!?」


ゲン「あ〜……それな、ちょっと時間いじっておいた」


エデン「このクソジジイ……またかよ!!」


ゲン「感謝しろ、普段お前遅刻ばっかりだしな。

今回は優しめだぞ。十歳の誕生日、覚えてるか?」


エデン「……あの時、なぜか動物園で目覚めたやつ?」


ゲン「そうそう! あれは面白かった〜。

ライオンと仲良くなれたか?」


エデン「冗談じゃない!!

空腹のライオン家族の真ん中で起きたんだぞ!?

今でもトラウマだよ……!」


ゲン「蛇の檻の方にしようと思ったけど、鍵閉まってたんだよなぁ〜」


エデン「どこがマシなんだよそれ!

そんなサバイバル訓練、誰が誕生日プレゼントで喜ぶか!!」


ゲン「他の孫が弱いだけさ。

お前は違う。お前には特別な何かがある……」


エデン「……それ、褒めてるつもり?むしろ不安しかないんだけど」


ゲン「とにかく、今日は特別な日だ。

さあ、じいちゃんからの『初めてまともな誕生日プレゼント』、ちゃんと食え」


(チャイムが鳴る——キーンコーンカーンコーン)


エデン「うわっ、また遅刻だっ!」

バタバタバタッ(足音)


制服の裾を整える暇もなく、エデンは全力で走り出した。

風を切りながら、角を曲がるたびに誰かとぶつかりそうになる。


エデン「間に合えーっ!」


(校門を駆け抜ける)


レオ先生「ヨミ君、もう——」


ヒュンッ(紙が宙を舞う)


エデン「すみませーん!手紙読んでおいてくださいー!」


レオ「……またか……学ばない奴だな……」


(ガラッ)


エデン「失礼しますっ!遅れてすみません!」


ミヤ「誰に謝ってんの?先生まだ来てないぞ」


エデン「……まじで?ラッキー……」


ミヤ「最近ギリギリばっかだな、お前」


エデン「うん……最近さ、変な夢ばっか見るんだよ。

なんか、でっかい存在?天使みたいだったり、人じゃなかったり……

どんどんリアルになってきててさ。でも、今朝は見なかった」


ミヤ「アニメの見過ぎだろ、それ」


エデン「かもな……」


(ガラッ)


メイ先生「すみません、ちょっと遅れました」


全員「おはようございます、先生」


メイ「おはよう。ヨミ君、レオ先生からこれを預かってます」


(紙を手渡す)


ミヤ「なになに?ラブレターか?」


エデン「バカかお前……!」


ミヤ「はいはい〜」


メイ「はい、全員ノートを出して。授業始めますよ」


全員「はーい」


——数時間後


(カンカンカンカン)


エデン「ふぅ〜、ようやく終わった……」


ミヤ「今日は特に長く感じたなー、時間止まってたんじゃね?」


エデン「同感……」(グ〜〜〜)←お腹の音


ミヤ「昼、行く?」


エデン「でも、金持ってきてないんだよな」


ミヤ「任せろ、今日は俺のおごりだ」


エデン「マジ?優しいな〜」


ミヤ「でも、次はお前な?ちょっとだけ利息付きで♥」


エデン「うわ、最悪〜」


メイ「ヨミ君」


エデン「はい?」


メイ「今日はヨミ君とチバ君の掃除当番ですよ」


エデン「あっ……先生、今はちょっと……今日、部活の試合が……」


メイ「申し訳ないけど、交代はできません」


ミヤ「先生、代わりに俺がやります」


エデン「えっ?ミヤ?でも一緒に——」


ミヤ「今日、試合だったろ?忘れてたのか?」


エデン「……あっ、そうだ!やっべえ!」


ミヤ「誕生日プレゼントってことで、行ってこいよ」


エデン「ミヤ……ありがとな。ハヤトには謝っておいてくれ!」


ミヤ「任せろ!」


(ダッダッダッ)


(グラウンドの近く。タッタッタッ……!)


エデン(心の声)「なんで俺って、いつも遅刻してるんだ……っ!」


(角を曲がる——ガンッ!)


エデン「うわっ、ごめんなさ——」


???「ああ、大丈夫だよ、坊や」


エデン「すみません、本当にすみません!」


???「気にするな、また会おう」


エデン「え? また……?」


(エデン、グラウンドに到着)


アキノ監督「遅いぞ、エデン!」


エデン「すみません!監督アキノ……すっかり忘れてました!」


アキノ「……おい、レオ先生から手紙もらってなかったか?」


エデン「えっと……それも読んでないです……へへっ」


アキノ「バカかお前は……。でも、フィールドに立つと別人になるんだよな」


(ギュウウウウン——!)


突然、地面が揺れた。

ドンッ!!!


(眩しい閃光。次の瞬間——)


エデン「っ、何だ……?目が……見え……」


(煙と火の中、校舎が崩れ落ちていく)


???「ほう……まだ生きてるのか。やるじゃないか」


(倒れているアキノ監督)


アキノ「……エデン、にげ……ろ……」


エデン「せ、先生!?……っ」


バシュッ!!


???「あー、うるさいヤツだ。ヒントなんて与えるなって」


エデン「っっ……誰だ、お前……何が目的だッ!!」


???「はは、落ち着けって坊や。そんなに怒鳴ったら……」


(グサッ)


???「喉を裂いて、内臓を引きずり出したくなるだろう?」


エデン「……ッ!」


(ズッ……!)


???「おいおい、やめとけよ、リュウ」


(静かに現れる青年)


エデン「さっきの人……!」


???「うん、会ったね。改めてよろしく。俺はカイ、こいつはリュウ」


カイ「お前が今後どうなるかは……まあ、そのうちわかるさ」


エデン「……どうしてこんなことを……!」


リュウ「俺のせいだ。ちょっと試したかったんだよ……やりすぎたかもな」


エデン「試した……?人を殺してまで……?」


カイ「はっきり言うぞ、エデン。俺たちには、お前の大切な人間なんて……どうでもいいんだ」


(ゴゴゴゴゴ……)


エデン(心の声)「冷たい……この男の目、まるで命なんて無価値だって言ってる……!」


カイ「じゃ、そろそろ——」


エデン「ふざけるなァッ!!」


(ドシュッ!!)


エデンの周囲から、真っ黒なオーラが噴き出す。


リュウ「お……これは……」


(ヒュン!)


リュウの腕に、何かが突き刺さる——剣だ!


リュウ「がッ……!?な、何が——」


???「エデンーーーッ!!!」


カイ「……ほう、これは……?」


(風を切って、老人が現れる)


エデン「おじいちゃん!?な、なんでここに……逃げて、こいつらは普通じゃない!」


ゲン「ははっ、ワシを誰だと思ってるんだ?」


エデン「な、でも……後ろッ!!」


(ザッ)


リュウ「死ねッ!!」


ゲン「……ぬるい」


(スパッ!)


リュウの腕が宙を舞う。断末魔の悲鳴。


カイ(心の声)「すげぇな……。あの速度、正確さ。こいつ……本物の殺し屋だ」


ゲン(心の声)「この男……やばい、殺気がまるで獣だ。油断すれば即死だぞ」


(カイの手が、ゲンの右手をつかむ)


カイ「アンタすごいよ、ジジイ……今までの奴とは格が違う。でも——」


リュウ「カイ……何を……」


カイ「お前の獲物、もらうぜ」


(ズオオオ……)


黒い霧のような闇がカイから広がっていく。


エデン(心の声)「なんだ……この圧……身体が、動かない……」


「俺は……何もできないのか……目の前で、大切な人が殺されるのを……見るだけなのか……?」


「ダメだ……絶対に、守るんだ……!!」


(ドォン!!!)


黒いオーラが爆発的に広がる!


リュウ「ヤバい……カイ、逃げろ!!」


カイ「っ……!」


ゲン「エデンーーーッ!!」


(空間が揺れ、光と闇が交差する)


ズドォォォォォォン!!!


謎の声「……神の加護……」


——暗転——


(……静寂)


(パチッ)


エデン「……ん……?」


(目を開けると、天井が見える。だが、それは見慣れたものではなかった)


エデン「ここは……?」


???「やっと目覚めたか」


(スッ、と椅子に腰かけた男がこちらを見る)


エデン「お前……誰だ!?どこだよ、ここは!」


???「質問が多いな。まずは、助けてくれた俺に礼くらい言ってほしいもんだ」


エデン「礼?ふざけるな!俺のじいちゃんはどこだ!?」


(グッ、と男の襟を掴む)


???「……やれやれ。これだから子供は嫌なんだ」


(バシッ!)


(エデンの顔が床に叩きつけられる)


???「落ち着け。今のお前じゃ、何も守れない」


エデン「くっ……!」


???「名前は、シュン。お前を救った張本人だ」


シュン「その代わり、条件がある」


エデン「条件……?」


シュン「あの怪物たちに復讐したいなら——俺と来い。そして、『GODSゴッズ』の試験を受けろ」


エデン「試験……?勉強とか、そういうのは無理だ」


シュン「心配するな。普通の学校じゃない。そこは……神になるための学校だ」


(ビュウゥゥゥ……風が窓から吹き込む)


エデン「神……?まさか、嘘だろ?」


シュン「お前が見たあの化け物……あれが嘘だったか?」


(……沈黙)


エデン「……いいだろ。俺は行く。強くなって、アイツらをぶっ潰す」


(ギュッ)


(シュンが手を差し出す)


シュン「それでこそ、だ」


エデン「エデン・ヨミだ。よろしくな、シュン」


(パアアァァァ……)


(2人の後ろで、光と闇のようなオーラが交錯する)


——物語は、ここから動き出す。

キャラクター情報:

名前:シュン。

年齢:40歳(12月1日)。

身長:185CM。

出生地: 不明。

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