『支度』:sideアーシェ
明るい陽がカーテンの隙間から差し込む。
ピピピ…と軽快な音が時計から鳴る。午前8時30分
体を起こし、カーテンを開け、日差しを浴びる。まだ夏の暑さが残る9月だからか朝の日差しもまだまだ暑い
薄桃色の髪を明るく照らす陽の光、細い髪の毛
灰色の瞳が外を眺める
国屈指の観光地であることも関係して朝早くであるのに街ゆく人だかりはそこまで少なくない。
楽しそうに会話をしながら歩く男女、犬と道を駆けていく若い男性、日傘をさして歩く女性…
人、人、魔族、人、魔族。見慣れた景色ではあるけれど、人の住む世界に人だけではないことが、なんとなく……
そこで我に返った。今は何時?
時計に目をやると現在は8時45分
やばい、ぼーっとしすぎた。
急いで階段を駆け下り、リビングに行くとママとパパが朝食をとっていた。
冒険者をしていると曜日感覚が薄れていくのだが今日は休日らしい
「おはよう!パパ!ママ!」
そういって私はパパに軽くハグをして席につき、既に用意されていた食事に手をつける
「アーシェ、そんなに焦ってどうしたの?」
「そうだぞアーシェ、そんなに焦っても食事は逃げていかないぞ」
「今日はちょっと用事があってね、それでちょびっとだけ焦ってるのかも」
ふーーん?と2人で顔を見合わせるパパとママ
もう、いつまでも子供扱いするんだから…
食事をとり終え、自室に戻る
ドレッサーの前に座りメイクをする。
…あの人、どんな感じが好きかな
別にこれは恋じゃない。3歳も年上だし、いっつも子供扱いしてくるもの…。
私の親とトモの親御さんは仲が良くて、実の兄妹みたいな感じで育ってきた。
昔はいっぱい喧嘩もしちゃったりして、でも仲直りして、そんな毎日で…ふふ
懐かしい記憶が蘇り、思わず笑ってしまう
少し可愛らしさのあるメイクをして着替える
オフショルダーの白いトップス、気合を入れすぎだと思われないよう膝丈のフレアスカート…
ステラの用事だしデートじゃないけど、まだ暑いし。これくらい…。
ヘアセットをして、念の為姿見で自身の姿を確認して、階段を降りる。腕時計は9時27分を示している
玄関でサンダルを履き
「パパ、ママ!いってきます」
笑顔でそう挨拶した
くじらのはらです。頭痛が酷すぎるので早めです。
皆さまも気圧の変化にはお気をつけてください
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