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報酬エルフとハッピーエンドを目指すたび  作者: くじらのはら
ヴァルハラ編:『幽霊騒ぎ』
36/40

4日目:『救出作戦』p.8

「お、あったあった。魔法使い相手に肉弾戦はきついからな。」


俺は自分の手によく馴染む剣を手に取った。草原に寝ていた相棒とも呼べる剣。…まぁ、先程の戦闘でぶん投げた物だが。


「アキエダー、見つけたー?」


後ろからアンナが俺を呼んだ。今更だが声の通りが良い。声の調子もいつもの明るいトーンに戻っている。

俺はアンナ、そして他の仲間がいるところへ駆ける。


「あぁ、見つけた。ごめんな、空気壊して。」


俺は先程の発言を詫びる。感動の再会とも呼べる雰囲気を、俺の発言1つで華麗にぶっ壊してしまったのだ。


申し訳なさそうに俯く俺を見たアンナは笑い出した。

「あはは、いいっていいって。ハルターが見つかったことだけでいいし。剣士にとって剣は宝だからね。」


明るくそう言い放ったアンナは愛おしげに、彼女の腰ベルトに挿してある剣を大事そうに撫でる。


彼女の優しさに感激しつつ、俺は口を開く。


「とりあえずハルターは見つかった。アーシェ達の救出だな。」


「そうだね。塔は2本あって、わたし達が4人。二手にわかれて探すのはどう?」


蒼い目をしたステラが提案する。小さいステラの体はよく見ると少し震えているように見えた。上下する肩もリズムが速い。


「ステラちゃん、大丈夫?」


俺が口を開くと同時にそのことを指摘したのはハルターだった。

声をかけられたステラは目を逸らし、一瞬だけ困ったように眉を下げた。


「大丈夫だよ、ありがとう。」


「ステラ、無理しちゃダメだよ?あたしとの約束ね」


アンナが優しくステラに微笑みかける。ステラも呼応してアンナに微笑み返す。


「本題に戻ろう。チーム分けどうしようか」


ステラが話を戻した。


(シュヴェスター)の塔はキュンストル、(ブルーダー)の塔はディユシエルでどうかな」


アンナが提案する。仲間をやっと助けられる期待からか少し頬が紅潮している。


「そうするか。ハルターは塔の中身知ってるか?」


「…あ、オレ、連れ去られてからの記憶があんまりなくて…。」


申し訳なさそうに申告するハルター。目を逸らし、耳は垂れている。


「なるほどな。そこは頼れなくても、パーティメンバーとならチームワークは大丈夫だろ。」


俺はそう言って体を縦に伸ばす。ステラも何かを察知したのか少しだけ体を動かした。


軽く息を吸い、呟く。


「「飛行魔法、展開。」」


直後、浮かび上がる俺とステラの体。キュンストルの2人を見やると目をまん丸にして驚いていた。


「そんな驚くことか?」


俺は疑問を口にする。冒険科で習うよな、いや習ったはずだ。


「そんな驚くことだよ…。」


「オレたちは使えないからね…。」


口々に言うキュンストルの2人。声色や表情は驚きと困惑が隠せていない。


「ステラ、どうする」


俺はステラに問いかける。この状況はシンプルに想定外だ。


「そうだね…。わたしが2人に飛行魔法もかけるよ」


少し考えたステラはそう話すと本を開く


「大丈夫か?無理すると…」


「大丈夫だよ、大丈夫。」


俺の言葉を遮るようにしてステラが口にした言葉は、どこか自己暗示のようにも聞こえた。


「飛行魔法、展開。」


ステラが詠唱すると、アンナとハルターの体は重力を忘れたかのように宙に浮かぶ。

凄い凄いとはしゃぐ姿は幼子のようにも見える。


「じゃあ、行くか。」


向かう先は2対の塔。

もう後戻りはできない。する気なんて微塵もないけれど。



【セーブが完了しました】



「…?」


どこからか声が聞こえた。


思わず後ろを振り返る。


「トモカズ、行くよ。」


ステラの声で再び前を向く。


…気のせいか。

くじらのはらです。

Twitter:@kujirrrranohara

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