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報酬エルフとハッピーエンドを目指すたび  作者: くじらのはら
ヴァルハラ編:『幽霊騒ぎ』
33/40

4日目:『救出作戦』p.5

23:15

双子(ツヴィリンゲ)の塔前

塔の周りを囲う塀に身を潜めるようにしてトモカズ、ステラ、アンナは話す。

「着いたけどどうする?」

「想定はついてたけど塔への門が閉じられてたからな…。どうしたものか」

作戦開始時刻から15分過ぎてもなお彼らが動こうとしない理由、それは双子(ツヴィリンゲ)の塔を囲うように高く建てられた壁の途中にある、(シュヴェスター)の塔と(ブルーダー)の塔のちょうど真ん中に位置する入場門が固く閉じられていたからである。

勿論魔法対策の結界も張られているため、その門以外から中に入る方法など皆無であった。

万事休すといった状態であったが、ステラが先程から静かなのが妙に気になった。普段から物静かではあるが今は一言も声を発さない。

ステラ、と声をかけようとしたトモカズが少女の方を見ると、ステラは魔法書を熱心に読み漁り「これじゃない…これでもない」と1人呟き続けている。トモカズがステラを不思議そうに見つめていると

「あっ」とステラが声を上げ、トモカズとバッチリ目が合った。

その瞳は深海を封じ込めたように、蒼く輝く。

その瞳を見つめた時一瞬ドキリと心臓が鳴ったがトモカズはステラに話しかけた

「ステラ、何探してたんだ?」

「結界を破る魔法。」

そう言い放つステラが手にしていた魔法書はよく見るとディユシエルの3人であの日買った魔法書ではなく、もっと旧く、皮でできた表紙の本だった。

…果たして、少女はこんなものを持っていただろうか。

トモカズの疑問に拍車がかかるがステラは続ける

「この塔の周りに結界が張ってあるでしょ?門が開いていない以上門を破壊するか結界を破壊するかの二択しかないから、後者の方がいいかなって思って。だから結界を壊す魔法探してたの」

あっけらかんと言ってのけるステラに開いた口が塞がらないトモカズとアンナ

「…チートか?」

「ステラ、あんたどれだけすごい子なのよ…」

少し間が空いてリアクションをとった。

それは俗に言うライトノベルのチート主人公の如き偉業なのだ、だが

トモカズの頭に1つの疑問が浮かぶ

「それ、バレねぇか?」

ふと、口に出す

「そうだね。大規模な破壊行為だし、ほとんど宣戦布告みたいなものだよ。しかもふるい術式だからあとから張り直してもきっとバレる」

淡々と所見を述べるステラ。先程から言ってることが凄まじいためにアンナは会話にはほとんど追いつけていない様子だ。

「…でも、そうでもしないとなにもできないよ。だれも救えない」

静かに告げる言葉。その重みは計り知れない

そうだ、自分たちはもう何十人もの人を救う行動に出ている。バレるとか気にしてる暇はあるのか。

トモカズは考える。でもここ確か文化遺産だった気がする、結界破壊したらやべーことになりそうな気は漂いまくっている。

…でも、そしたらアーシェは、ハルターはどうなる

連れ去られた仲間を救うためにここまで来たのだ。文化遺産の結界1個2個くらい容易いものだろう。何ヶ月単位で続く事件の解決に繋がるんだし。

あとはなんか、ペルにでも任せよう。そこまで信頼が置けるかはわからないが。

考え続け、結論を出す。

「よし、最大火力でいこう。アンナもそれでいいか?」

トモカズの決意は固まった。

「あたしも問題ないよ。ドカーンといっちゃって!」

アンナの決意ももう既に固まっていた。

「…わかった。」

2人の言葉を聞き入れ、少女は魔導書を開く

足元に展開される巨大な魔法陣、その色は鮮やかで、白い満月をそのまま映し出したようにも見える。

(デスト)(リカオ)

一言発すると、空が割れた。

くじらのはらです。ちょっと少ないけど許してください

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