『冒険者登録完了』
"冒険者ギルド 受付"
「こんにちは、冒険者ギルドセントラム支部です。」
にっこりと笑う受付嬢に要件を伝える
「冒険者の新規登録がしたいんですが」
「はい、新規登録ですね。そうしましたらこちらの用紙にお名前、住所、電話番号、その他記入事項をご記入ください。」
差し出されたのはA4サイズの用紙、黒いボードに挟んである。
「ステラ、文字書けるか?」
「えっと、人間の、この国の言語だよね?書けるよ」
「このカウンターだと書きづらいだろうから、あっちの椅子に座って書きましょうか」
長椅子へ移動し、文字を書き始める
「うーんと、名前…ステラ、住所…」
可愛らしい文字で書き進んでいくが住所の欄で手が止まる
「うちの住所はセントラム国、イザベル東部2-5-21、冒険者ギルド所属冒険者用賃貸C201」
聞いた文字をそのままスラスラと書き進めていく。1回聞いたものを忘れずかける能力は彼女が聡明だからなのだろうか
「あれ?」
ステラが手を止め、首を傾げる
「これ、国まで書くの?」
不思議そうに問いかける少女にアーシェが答える。
「あぁ、これね。不思議よね。冒険者は職業柄国を越えて活動することもあるから、住所は国を含めて書くのよ。」
「なるほど…。教えてくれてありがとう、アーシェ!」
疑問が解消され、また用紙に向き直り書いていく。
しばらくすると「できた!」と明るい声が聞こえた
「どれどれ…。ほうほう…記入漏れとかはなさそうだな。」
「じゃあこれを提出しにいきましょう」
「うん!」
「はい、これで冒険者登録は完了です。お疲れ様でした。基本情報の登録は完了しましたが、ステラ様はソロでの冒険をなさいますか?それともマルチでの冒険になさいますか?」
「えっと…トモカズたちのチームに参加したい!…です」
「かしこまりました。」
そう言うとトモカズとアーシェに向き直り
「ではアキエダ様、ダリア様、市民権を獲得なさいました魔族の冒険者とのパーティを組む形になりますので、一旦前のパーティを解散し、パーティの新規作成という形になりますがいかがなさいますか?」
「「それでお願いします。」」
「かしこまりました。では、パーティのリーダーは引き続きアキエダ様でご登録いたします。そして、チームメンバーはアーシェ・ダリア様、ステラ様でお間違いないでしょうか?」
「間違いないわ」
「大丈夫です!」
「ありがとうございます。では、新しいパーティの名称をお決めいただきたいのですがどうなさいますか?」
「前のパーティはすっごい適当な名前だったわよね。」
「ほんとにな…若気の至りにしては酷すぎた」
「どんな名前だったの?」
「聞かなくていいわよ…」
どんよりと暗くなった2人。聞いちゃいけない事聞いたかな…。と反省しするステラ。うーんうーんと考えるも何も思いつかない大人2人を横に
「…ディユシエル」
ステラが言った
「お、かっこいい。じゃあ、そのディユシエル?で」
「ディユシエルですね、かしこまりました。」
「ちょっとトモ?その言葉の意味知ってるの?」
「ステラが出してくる名前なら大丈夫だろ。」
唐突に出てきた単語に困惑する女、乗り気な男、満足気な少女の3人で結成された新たなパーティ
最後の事務作業を終え、新たに発行された会員証を手渡した受付嬢が言う。
「では、ディユシエル。あなたたちの冒険に幸多からんことを!」
くじらのはらです。ステラ冒険者になるの巻です。
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