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【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~  作者: こげ丸
第一章 後半

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第95話:妾は魔王ぞ

 ◆◇◆◇ 魔王てとらぽっど視点 ◆◇◆◇


「くぅ!? こいつ速すぎるのだ! 妾と互角に戦うとか、神獣とはいえ強すぎる! 絶対なんか裏があるのだ!」


 妾は先程から劣勢を強いられていた。

 これはいったいどういうことなのだ……?


 先日、妾が派兵した魔王軍が全滅するという、にわかには信じられないような報告がもたらされた。

 しかし妾がすぐさま機転を利かし、倒された我が軍二〇万を贄として捧げたことで邪神の復活を成し遂げることができ、妾は邪神の使徒となった。


 その結果……もともと持っていた邪神の加護とは比べものにならないほどの力を、魔力を手に入れたのだ!!


 だというのに……。


「この神獣はいったい何なのだ!? 此奴から妾の邪神の加護を上回る加護の力を感じるのはなぜじゃ!?」


 そうなのだ。この白い神獣から凄まじいまでの加護の力を感じるのだ。

 同じ加護を授かったものだからわかるのだ。


 しかし妾の加護は邪神の加護なのだぞ?

 邪神の使徒となった妾の加護を上回る力なぞあるものか!


≪むぬぬぅ~おのれ……絡めとれ! 呪詛の棘!≫


 我の呪いの言葉に応じて地面から無数の灰色の棘が飛び出して神獣を絡め取ろうとする。だが奴は空中に足場を作って宙を駆けて躱し、追う棘を振り切ってしまった。


 しかもそればかりか、自身の白い毛並みを刃のように鋭く硬化させたかと思うと、向かってきた棘をすべて切り刻みおった。

 先ほどから妾は隙をみては動きを阻害する魔法を放っているのだが、動きが速すぎてかすりもしない。そのうえ、あの白いふわふわした毛並みを硬化させて、そもそも束縛を受け付けないのだ。

 かと言って普通に攻撃してもまったく当たる気配がない。


「くぅ! ちょこまかとウザイ! 鬱陶しいのだ!! 獣の分際で魔王に逆らうとか身の程を知らないのだ!」


 妾が癇癪をおこして地団駄を踏んでいると、今度は硬化させた白い毛の刃を使って反撃に転じてきた。


≪貰ってばかりでは悪いですね。お返しを受け取って貰いましょうか≫


「は、速すぎる!? 反則なのだ!? ふぎゃぁ!?」


 あまりのスピードに避けきれず、もろに攻撃を受けてしまう。


 そう。もろに受けてしまったのだが……。


「くあっはっは! その程度の攻撃は妾には効かないのだ!!」


 あの獣の攻撃もすごいのだろうが、妾の周りにはあり余る魔力を使って張った強固な障壁があるので傷一つつかなかった。びびってなどいないのだ。


≪やはり効かないですか……その障壁は中々に厄介ですね≫


 こちらの攻撃は当たらず、向こうの攻撃は効かずで戦いは小康状態に陥ってしまっている。

 どうにかしなければと焦っていると、なんだか周りの様子がおかしいことに気づいた。


「ん? いったいどうしたのだ?」


 そうつぶやき振り返った妾の目に飛び込んできたのは、全滅寸前にまで追い詰められている魔王軍の姿だった。


「なっ!? なんなのだ!? 妾の連れてきた部隊まで全滅しかかっているではないか!? ビフロンスたちは何をしているのだ!?」


 こちらの攻撃が一つも当たらず頭に血が上っていたせいで周りがまったく見えていなかった。

 それだけではない。よく見ると、さらに衝撃的な光景が妾の目に飛び込んできた。


「なななっ!? 加護を与えたアスタロトにナーガまでやられかけているではないか!? それにビフロンスはどこにいったのだ!?」


 妾が動揺していると、双子の女の横から飛び出てきた、これまた双子のような竜牙兵がアスタロトに致命傷を与えてしまった。


 なっ!? これは不味いのだ!

 ナーガが「怖い! 双子怖い! 双子は嫌だ~!!」って叫んでいるがそれどころではない。


 このままでは妾一人でこいつら全員を相手しないといけなくなってしまうではないか!

 神獣(こいつ)だけでも予想外に梃子摺っているというのに、邪神様の加護を得て強くなったはずの六魔将を倒してしまうような奴らに加勢されたら、さすがに妾でも勝てる気がしないのだ!


 障壁がある限りそうそう負けないだろうが、何日も張り続けることはできぬ。それに障壁を解かなければ転移もできぬから逃げることもできないのだ。


 妾は神獣の攻撃を受けながらも何か手はないかと打開策を必死で考えていたのだが、それでも油断をしているつもりはなかった。

 しかし……そいつは後ろから不意に声をかけてきた。


「さすが魔王といったところか。セツナが梃子摺っているようだしオレの相手もしてもらうぞ」


 そう聞こえた次の瞬間、コウガ()の槍が妾の肩に突き刺さっていた。


「ぐぁ!? な、なんだと!? 妾の障壁を突き破って……こ、こいつの槍はいったい!?」


 あらゆる攻撃を防ぐはずの妾の障壁を突き抜けてきただと!?

 奴の槍は(ことわり)を書き換える力でもあるというのか!?


黒闇穿天(こくあんせんてん)流槍術(りゅうそうじゅつ)()! 【漆桶(しっつう)】」


 妾が苦痛と焦りで怯んだところに、さっきも繰り出していた(もや)のかかったような見えない突きを放ってきた。


 それでもいくつかの突きは回避したのじゃが……。


「げふっ」


 その一撃は妾の胸に深々と突き刺さっていた。


「こんな……馬鹿な……この槍はなんなのだ……それに継続ダメージだと……」


 突き刺さった槍から深刻なダメージが浸透してくる。

 そして気付いた時にはもう抗う力を失っていた。


 これは夢なのか?

 妾は自分の胸に突き立つ槍をぼんやりと眺めながらほうけていた。



 妾は……ここで……こんな所で死ぬのか?



 弱肉強食の魔族の中で、妾は逆らう者たちすべてを圧倒してきた。


 妾は魔族の中でも絶対の強者だったはずぞ……。

 妾は歴代魔王の中でも最強と謳われた魔王ぞ?

 そう……妾は魔王ぞ……。


 意識が遠のいていく。


 魔王となっても最期は呆気ないものなのだな……そう諦めかけた時だった。


≪……たいか?≫


 なんだ? 妾の体の中からナニカが話しかけてきた。


≪魔王てとらぽっどよ。生きたいか?≫


 生きたい……。

 妾は魔王。最強最悪の存在でなければならぬのだ。


≪魔王たるお前を苦しめたこ奴らを殺したいか?≫


 殺したい……魔王たる妾を愚弄したこ奴らを殺したい……。

 圧倒的な力でこいつらをねじ伏せたい。


≪ならば……我に身体を差し出せ。さすればその願い叶えてやろう≫


 その言葉を聞いた瞬間、妾の中からそのナニカが這い出してきた。


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【新連載】軽トラの荷台にダンジョンができました★
車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので
快適探索者生活を始めたいと思います
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