第3話 第1ゲーム「強奪鬼ごっこ」
ルビーに集められ、俺たちは大聖堂に集まっていた。
レイドのほうをちらっと見る。少し離れたいるところにいるし、今話しかけるのは難しそうだな。
『全員集まったようですね〜では‼︎早速ひとつめのゲーム、「強奪鬼ごっこ」をしてもらいます‼︎』
「強奪?」
イオリが疑問の声を上げた。するとルビーはぐるんとイオリの方に顔を向ける。
『はい‼︎強奪です‼︎』
ルビーが元気よく答える。
『皆様にはそれぞれ各自のポイントとなる腰につけたロープを奪い合ってもらいます‼︎そして最後に持っている数が一番少ない人には…処刑されてもらいまーす‼︎』
参加者の間に戦慄がはしる。
『この鬼ごっこは全員鬼。皆さん死ぬ気で頑張ってくださいね‼︎』
『あ、死にたくないから頑張るんだから死ぬ気でやるのはおかしいか〜』とルビーはお茶目にてへぺろとか言ってる。そして黒井の死体を片付けるときに出てきた執事服のうさぎがロープを持ってやってきて、俺に二本のロープを渡した。そして全員腰につける。それを確認し、ルビーはまた喋りだした。
『準備は整ったようですね‼︎制限時間は一時間。この先にある建物内で行います‼︎』
すると、聖堂のステンドグラスが真ん中で開いた。奥にはまるで学校のような景色が広がっていた。
『それでは一人ずつ入って行ってください!五分後にゲームスタートいたしま〜す!』
そして一人ずつ聖堂の奥に入っていった。
***
俺は教材室みたいなところに隠れていた。
『死ノ方舟』の黒幕、陰山レイド。あいつをどうにかしなければならない。殺すのか?俺の手で。
でも、人を殺すなんて…
いや!あいつが黒幕だと知っているのは俺だけだ!だから死ぬヤツが増える前に俺が止めなければならない。別に拘束しておくとか殺さない方法だってあ「ガラッッ」
「‼︎」
誰かがこの部屋に入ってきた。
「…誰もいないか?」
そいつは陰山レイドだった。
「ッー‼︎」
俺は必死に息を潜めた。物陰に隠れていて正解だった。
どうやらレイドは俺に気づいていない様子だ。
ーいや、知らないふりをしているだけかもしれない。
俺はバレないようにレイドを観察した。
レイドは少し奥まできて座り込んだ。
「はあ、しかし大変なことに巻き込まれた…」
レイドは突然独り言をつぶやいた。
ーまるで被害者みたいな言い方だな。
いや。そんなことはあり得るはずがない。やっぱり俺に気づいてるのか?
だけど、部屋で二人きりというこの状況、チャンスじゃないのか?
俺は周りに武器になりそうなものがないか探した。すると床にカッターが落ちているのに気がついた。
音を立てないようにそっと拾う。その時、
『さて!五分が経過しました‼︎それでは「強奪鬼ごっこ」、開始です‼︎』
始まった!
俺はレイドの方へ勢いよく回り込んだ。
「ンギャアアアアア‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
そんな奇妙な叫び声とともに、レイドが猫みたいに飛び跳ねた。
そして扉の前に着地した。
「は?」
突然のレイドの奇行に思わず俺は立ち止まってしまった。
そしてレイドは扉に張り付き、俺を見て震えていた。
「で、」
「で?」
「でたああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
レイドはそう叫びながらバンッと扉を開けて全力で走り去っていった。
「ちょっ、まっ、て速ああああ!!」
レイドはもう廊下の奥にいて、階段を上っていった。
なんだったんだ?今の…」
一回も登場してませんが、本、主人公の立ち絵載せました。(順番的に)