第1話 このデスゲームで最初に死ぬヤツに転生した
「大丈夫?」
そう話しかけてきたのは白原ミズキ。外ハネの茶髪の女で『死ノ方舟』のヒロインだ。
「ああ。うん。大丈夫…」
頭痛もおさまり、冷静を装い顔を上げた。
俺の前世の名前は谷崎龍治。
どうやら『死ノ方舟』の桐谷ルイに転生したみたいだ。
しかしよりによって桐谷なのか…
こいつは最初の説明してる最中で死んだからなぁ。
桐谷の死亡シーンはこんな感じだ。
『突然ですが、皆様には命をかけたデスゲームに参加してもらいます!』
「おいおい、いきなり何を言い出すのかい?そんな現実味のない話信じられる訳がないじゃないか!」
「その前にこんなところに誘拐して…これはもうりっっぱな犯罪だ!」ドヤア
「だから早くここから解放したま…」
そして首を切られ死亡、とそんな感じだ。
うわあ、俺こんなナルシストみたいなヤツに転生したのか。
ていうか今までこんなキャラで生きてきたんだよな。
恥ずかしすぎる…
『はいはーい!彼の頭痛も治まったようなので、ルール説明に入りまーす!その前にまず自己紹介を、私の名前はルビー。このゲームの進行役です!』
他の奴らから「は?」とか「家に帰りたい…」とかいう声が聞こえてくる。
『静粛に静粛に!突然ですが、皆様には命をかけたデスゲームに参加してもらいます!』
確かここで桐谷、つまりは俺がどやどや言って殺されるんだよな…ストーリー的にはここで俺は退場だけど…
死にたい訳ねえだろ⁉︎
そもそもあんなキャラ出して死にたくねえよ。
ストーリーは少し変わってしまうがここは寡黙を貫こう。
「おい‼︎てめえ何言いやがるんだよ‼︎」
突然体格のいい1人の男子が怒鳴った。
こいつは…
こいつは黒井ハクト。言動の通りヤンキーだ。
こいつは確か第三ゲームで死亡する。
黒井はズカズカとルビーの前まで行って、ルビーの胸ぐらを掴んだ。
「とっととここから出せや‼︎」
『ちょっとお、今説明中じゃないですか!邪魔しないでください!』
「てめえっ‼︎」
ルビーの言葉に激昂した黒井は拳を振り上げた。
『ちょっと‼︎暴力ですか?私への暴力は重罪ですよお!』
「うるせえ‼︎」
そう言い放つと黒井は拳を振り下ろした。
『そうですか…』
ルビーの声のトーンが突然に下がる。黒井が振り下ろした拳がルビーの顔面に届くその時、
ズシュッ
俺の顔に生温かい液体がかかる。拭ってみると、それは真っ赤な液体だった。
「あ?」
黒井の体が横に倒れる。
その黒井の胴体には大きな穴があいていた。
血だ、この液体は黒井の血だ!
黒井はピクリとも動かない。その目はどこを見ているかもわからなかった。
黒井が死んだ。お、れ…俺じゃなく…
たちまち聖堂内に悲鳴が上がる。
「いやああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎」
「お、おいまじかよ⁉︎」
「う、うぐっ、うええぇぇ」
聖堂内は阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。
『うふふ、皆さん、私に逆らったらどうなるかご理解いただけましたね。』
ルビーは不敵な笑みを浮かべた。
『では、デスゲーム『死ノ方舟』の開幕です‼︎』
ついにデスゲームが開幕しました!
こんな感じにちょいグロ要素あるので気をつけてください…