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2 現代兵器を出すドラゴンって何なんですか?


「トウヤ殿のお気持ちはよく分かりますが、それが契約というものなのです」

「契約?」

「はい。我が国ではドラゴンと共に歩むためにより深く、より強い絆を結ぶ契約――要は生涯のパートナーとして連れ添うという誓いを立てる――それをデレさせる、と称しています」


 いや、言い方。

 そうすることで、人は契約したドラゴンの能力を扱えるようになるという。炎のドラゴンなら火を、水のドラゴンなら水を、と言った具合に。

 相方が強大な力を持つなら、その恩恵もまた大きくなる。


「特に異性間の契約は同性より、更に強い関係が生まれる事も明らかになっています。つまり――」

「俺がデレ……契約することで強い関りが生まれ、竜の力を扱えるようにする、って感じですか」

「はい」


 公女サマは頷く。いや、言いたいことは分かるんだけどね。


「それに契約は簡単には行えません。双方の信頼が無ければ成立しないのです。四匹の強大な竜との契約は困難を極めるでしょう。そのためにもトウヤ殿の竜の力は必要なのです」

「………」


 確かに俺はユウスケの事は信じてる。最初から女なら二つ返事でやったさ。でも現実はそう簡単な話ではない。


「公女様。契約なしの場合、俺とトウヤはどの程度の力まで発揮できるのでしょうか?」


 思案していたユウスケが口を開く。


「少なくとも……異世界の竜騎士として召喚された時点で、ユウスケ殿の身体能力は飛躍的に高まっているはずです」


 公女サマは突然、足元の小石を拾い、ユウスケに向かって投げつける。


「おっと」


 それを難なく片手で掴み取るユウスケ。地球にいた時から運動神経抜群だったので、元から出来そうなのが困る。


「トウヤ殿に関しては未知数です。何かその……力を扱えるような感じはしますか?」

「うーん……」


 俺は両手を突き出してみる。


「ステータス・オープン! ファイアボール!」


 ……何も起こらない。


「竜の力は己の得意とする属性から生まれるのです。例えば炎の竜は、意識を集中することで炎のイメージが自然と湧き出し、それが形となって出力されます。トウヤ殿も意識を集中してみてください。まずは目を閉じて――」


 公女サマに言われた通り、目を閉じる。イメージ、イメージ……。真っ黒な視界と脳裏に浮かぶのは、やっぱり現実の事だった。

 今頃学校では俺らがいきなり消えて、大騒ぎになってんだろうなぁとか、続きが気になるアニメどうしよう、とかどうでも良い事ばかりだ。


 ダメダメ! 真面目に考えよう。

 俺以外の四匹のドラゴンは滅法強いんだろうし、戦う力が必要だ。

 でも公女サマが言ってたような炎のイメージは湧いてこない。

 いや、炎を思い浮かべる事自体は普通に出来るが、それだけだ。適性がないんだろう。


 水とか風もダメだった。光、闇みたいな抽象的なのもダメ。じゃあ何なら良いんだよ! とヤケクソでファンタジー路線は捨てて、また地球の事を考え出した。

 ドラゴンと戦うならミサイル? でも現代のミサイルって装甲を貫く用途じゃないんだよな。なんかの作品だとドラゴンのウロコは主力戦車よりも硬いとか言ってたし、通用しない可能性が出てくる。


 なら対戦車砲……いや、バンバン連射出来る方が良いかな? そうなるとガトリング砲……機甲師団絶対殺すマンのA10か?

 カァっと、手が熱くなる。ん? 何だ?


「こ、これは!?」

「トウヤ! 目を開けろ!」


 公女サマの困惑する声と、親友の焦った声に驚いて目を開けると……俺の右手はGAU-8 アヴェンジャー――30㎜ガトリング砲に変化していた。


「うわぁああ!?」


 三度、俺の声が響く――。

 

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