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補導

洞窟の中で過ごす事2時間が経ち、雨は上がり安友はパンツ1丁で正座をさせられていた。

「雨も上がった事だし、帰り道でも探しますかね」

土木もんは、目の前にあったトランプを破り捨て立ち上がり背伸びをした。

「土木もんズルい!自分が負けそうになったからってトランプを破って誤魔化すなんて!!」

どうやら、ランドの捕ってきた食料をどうやって分けるかでトランプをしていた。ランドは、トランプなど見たことが無いために見学していた。

その捕ってきた食料と言うのが、『魚』『ウサギ』『ヘビ』『蜘蛛』だった。土木もんは、人の食べる食料なんて興味が無いので遊び半分で参加し、安友は選択権は無しに蜘蛛を生のまま食べさせられた。

パンツ1丁なのは、燃やす物が無かったから無理矢理身ぐるみを剥がされ、正座は特に意味は無く土木もんの意思でさせられていた。

つまり、2人が争っているのは、どちらかが『魚』か『まだ生きている子ウサギ』を食すかをトランプで決めていた。

「兄貴、このウサギはどうやって食べるんですかね?」

土木もんは、怯える子ウサギの耳を持ち上げランドに持っていった。

「生が食えなかったら、そこの火で丸焼きにすりゃあいいだろ?」

ランドは無情にも子ウサギの首を絞め始めた。

「ちょちょちょっと待って下さいよ兄貴!本当に、兄貴ってこうゆう事には無関心でやりますよね」

ランドから子ウサギを引き離した。

「だってコイツらは、俺らに喰われる為に生きてるんだぜ?」

土木もんから、ウサギを奪い取ろうとするが、手を振り払った。

「それは、アナタの世界だけでしょうが!とにかく、僕達の前で小動物を殺すのは禁止です!」

土木もんは、手に持っていた子ウサギを見た。子ウサギをランドの手から引き離した土木もんの手の位置には、丁度たき火があり、子ウサギは良い匂いを立てていた。

「あああああ~…!ウサギちゃん!こんがり小麦色になってるー!」

「ははははは…そうなったら、俺でも戻せないぜ?喰っちゃえ喰っちゃえ」

ランドは、こんがりウサギちゃんから耳だけを引きちぎり食べる。『魚』か『ウサギ』かで争っていた女子達も、『魚』か『肉』になったのでジャンケンで決め食事を済ませた。


「何で僕だけ、蜘蛛で他は肉や魚とか食糧が食べれておかしいんじゃないのさ!未来から来た犬型人造ロボットなら、まともな食糧生産機みたいの出してよ!」

まだ蜘蛛の足とかが口の中に残ってる感触を踏み留まらせ、安友が怒りをあらわにする。

「うるせぇんだよ!安友の分際で!なぁ?じゃあ何ですか?未来から来たってだけで、竹トンボみたいなので空を飛んだり、電話ボックスみたいので『もしも…』とか言ったら現実になる道具とか持ってるとか思ったんか?そんなに現実ってのは甘くねぇんだよ!」

逆ギレする土木もん。

「ミナちゃんや、レイナちゃんもおかしいよ!そんな未知の分からない変な奴を信用しちゃってさ!こうなったら、僕1人で上に上がれる道を探すから!それで道が見つかっても、ハゲロボットや変態変食変な奴には教えてやらないから!止めても無駄だかんね!」

安友はパンツ1丁で、洞窟から這い出した。

「別に止めやしないぜ?行くなら早く行って来いよ。そして2度と戻って来んなよ(笑)」

とびっきりの笑顔で送り出す。

安友は何度かひき止めてくれる事を期待しながら、振り返るが土木もんがフンドシから出した塩を固めて投げつけてくるので、期待する事をヤメ旅立った。

「よし!安友も居なくなった事だし上に登りますか」

もちろん、上と言うのは崖の上という事だ。土木もんは、胸を軽く押すとスイッチが現れる。そのスイッチを押すと、頭から竹トンボみたいなのがニョキニョキと生えてくると、膝から足が折れ曲がり車輪が1つ出てきた。両手を伸ばすと、手のひらから車輪が1つづつ現れる。

「んじゃあ、レイナちゃんは背中に乗ってくれるかな」

土木もんの背中から、手が生えてレイナを掴むと強引に嫌がるレイナを背中に乗せると、ケツから排気ガスを出して外に飛び出し一気に崖を登り始めた。

「ほら、ミナも行くぞ」

ランドは獣人化をすると、ミナを背中に掴まらせ土木もんの後を追う。

ランドにとって、高い所から降りるのは苦手だが、昇るのは得意なのだから何も問題は無かった。

4人は無事に頂上に着くと一息ついた。

「なんか色々あって疲れちゃいましたね」

土木もんは、汗はかかないもののハンカチを取り出して汗を拭く仕草をする。

「そうだな…俺もそろそろ帰らないとプリムに怒られる気がするし」

ランドは獣人化を解き軽く背伸びをする。

「あ…兄貴…今はその、姐さんの名前は出さない方が良いですぜ」

土木もんが耳元で囁いてくるが、時すでに遅し…他2人から異様に重い空気が流れてきた。

「ほら、それに早くアイツを探してやんないと危ないだろ?俺がここに居たら、またアイツの機嫌が悪くなるしな」

ランドは笑顔で土木もんの肩を叩いた。まぁ、ようするにはランドが居たら安友が帰って来ないと言うことだ。

土木もんは、渋々フンドシからお約束の輪っかを取り出した。

「兄貴!また来てくださいね!安友のせいで帰るなんて…安友のせいで!」

土木もんは、わざと2人に聞こえる様に大声で話すと輪っかを操作し始めた。

「まあ楽しかったぜ。アイツもそろそろ登ってくるから仲良くしろな」

ランドは手を振り輪っかを通り抜けると、姿を消した。ランドの姿が消えると同時に、安友が汗だくになりながら崖を登ってきた。


「ぶはぁっ!はぁはぁ…きっついな!この崖!」

よほど必死に登って来たのか、パンツは半分くらい下がっていたが、1つの事を為し遂げた事に達成感を覚え、パンツを戻さずに空を見上げた。

「僕だってやれば出来るんだ!さぁ!ここから助けを呼んで土木もん達でも助けてやるか!そうすればミナちゃんだって…ぐふふふふ」

奇妙な笑い声を上げて振り返ると、そこには警察の方々がいっぱい居た。

「あっ!お巡りさん!実は大変なんですよ!」

なぜこんな所に警察がいるかは、疑問に思わず安友が駆け寄って行く。

「はいはい…大変なのは分かったからコッチ来てくださいね」

2人がかりで安友を捕まえると、パトカーに向かって歩き出した。

「いやいやいや!崖の下にね!友達が!」

焦る安友を無視するお巡りさん達。

「じゃあパトカーの中で話は聞くからね?何をやったのかな?S?L?」

パトカーに押し込まれそうになり、必死に抵抗する安友の視界に、木陰からこっそりとコチラを見ている土木もんの姿が写った。

「あっ!土木もん!見てないで助けてよ!」

「ほらほら、暴れないでね。危ないからね?」

「違うんです!あそこにいるハゲがね!」

「そんなん居ないからねー早く入って」



安友の2回目の補導に、土木もんはクスクスと笑っていた。


飽きた!

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