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普通
特別そのものが不幸である。
「あなたは凡人ですか?」
という質問をされると答えに困る必要はない。謙虚な人ならば"はい"と形式上で頷くだろう。それは、非凡であると自分で言うのにはリスクが伴うのを遺伝子レベルで知っているからだ。群れにおいて孤立する事は死を意味する。つまりそう言う事である。
特別になりたい。私の代わりなどいない。なんと現実は愚かなんだ。私より優れた人など世の中に沢山いて、優しく愛嬌の良い人なんてありふれているだろう。
一番になりたいわけでは無く、個性的で私にしかできない事が1つあれば良いだけなのに、殴って縛り付けるような世界の前に屈することしかできない。
所詮、ありふれた個人でしか無い。そう考えて生活をしてみました。すると目が濁りました。
世の中が車輪のように見えて、美しさを感じることが無くなってしまったのです。
私は車輪に回されている存在でしかない。いや、車輪そのものなのかもしれない。
個性なんてどこにでもあるじゃないか。