存在
私はこの世界に居ていいものなのか。
苦しさ、辛さは劣化し果てには石化するもの。
不幸に感情的になるのは慣れない。世間的にはどうでもいい事で泣くのは珍しいことではないでしょう。
科学的に証明の出来ないこの不安だけが、現実を拒んでしまうのです。
ある時、涙が出ない事に気が付きました。
それは有名な映画で、自分以外の人生が報われる。そんな感動的なシーンでした。
体の底からエネルギーが湧くのを感じました。"感情エネルギー"でも言いましょうか、その涙を引き起こす燃料は、徐々に体を暖めていきましたが、胃のあたりで力尽きてしまったのです。
その後に来るのは虚無です。
強烈なスクリーンの閃光が席を覆う時、思わず周囲を見渡しました。それは温度差、激しく表現すると世界から切り離されたような感覚を覚えました。
そして閃光とは対照的にドロドロとした疎外感が、五臓六腑を汚染してしまったのです。
不幸を感じ泣くという行為は、情熱的な営みなのでしょう。滲み出る悔しさで虹を作りたいのかもしれません。
そして、乾いてしまった心は未来を諦めているのでしょう。
だからどうか、晴れやかな虚無より土砂降りの不幸を感じてください。