ポーカーフェイスの向こう側
『なろうラジオ大賞4』参加作品です。
このお話は『ポーカーフェイスと缶コーヒー』の後日談となります。
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合わせてお読みいただければ幸いです<m(__)m>
フローリングの床に拡げたままの…用済みの組み立て説明書の上にコンビニ惣菜を並べ、袋から手づかみして綾さんのグラスに氷を落とした。
「キミと飲む事になるとはね」
綾さんは黒ラベルの角瓶の封を切って俺のグラスにもウィスキーを注ぎ込み、二人、グラスを合わせた。
「頼りになる男になったでしょ?」
「そうね。ベッドを組み立ててもらう位にはね」
左手でグラスを傾ける綾さんの薬指には既に指輪は無く、この新しい部屋に運び込まれた荷物もごく僅かで…その中にどういう訳か使い古された紙製のトランプがあった。
俺はグラスの氷をカラン!と鳴らしてからそのカードを切り、真新しいベッドの上でポーカーが始まった。
「そう言えばお母さんが嘆いていたわよ!『コウくんが女の子をとっ替えひっ替えしてる』って!」
「親の欲目でしょ…レイズ!」
「どうかしらね クリスマスイヴの夜にわざわざ引っ越しの手伝いに来るなんて、重なり過ぎたブッキングの言い訳に私を利用したでしょ! レイズ!」
「クリスマスイヴの夜にわざわざ引っ越ししたのは綾さんの方でしょ! レイズ!」
「私にはもうクリスマスは関係ないからね レイズ!」
「『関係ないって』口にするのは意識してるからですよ レイズ!」
「ふふ、生意気ね…もう手元にチップが無いわ…」
「じゃあドロップですね」
「いいえ、レイズよ!」
「チップを貸すなら担保が要りますよ」
「いいわよ、何でも言って!」
この人は…どうあっても俺を子ども扱いするのを止めないようだ。
ならばドロップさせてやる。
「じゃあ、綾さんを担保にして!」
「あらそうなの?!じゃあ私はチップ何枚分の価値なのかしら?」
綾さんの価値は…本当はこのチップをすべて渡しても全然足りない!!
でも、みすみす負けるわけには行かない!!
俺は全てがキッチリ半分になるようにチップの山を綾さんの前に滑らせた。
これで勝負を付ける!!
カードをオープンにする。
俺はジャックの3カード
「私の負けね フルハウスになり損ねたツウ・ペアだから…」
綾さんの手元には女王の顔が2枚。
綾さんのしなやかな指はそれらを掬い上げ、ゴミ箱代わりの段ボールの上でハラハラと散らした。
「あなたも片付けて! ベッドの上の物を何もかもね。私、お風呂にお湯を張って来る」
そして…
綾さんの座った後に残された1枚のトランプは
押し跡が付いたハートのクイーンだった。
今回の工夫点は
綾さんが『俺』を呼ぶとき
『キミ』⇒『コウくん』⇒『あなた』と変わっていくところです。
コウくんは…
まだまだ綾さんには勝てませんね。
でも、勝てなくても
このままふたりが幸せになるのなら
それが一番いい!
お尻?に敷かれたハートのクイーンは
あったかくなっていたのかな?( *´艸`)
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