表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙を駆ける  作者: kの申し子
2/2

戦いの裏で

木星衛星タイタン付近 第1戦線 ユートリン戦域 第15艦隊


「大佐、残存艦隊約8割、敵戦力徐々に削がれています。このまま攻め続ければ敵を殲滅できるのではないですか?」

チェ中佐はこの戦域での勝利を確信しつつあった。

「一度、体制を整えるためにタイタン基地に帰港する。」

ツツムラ大佐は悔しさを悟られぬように言った。

「なぜですか?ここで離脱をすれば逆にこちらが攻め込まれるかもしれません。ここは、徹底的に戦いましょう、大佐。」

「一度帰港する。これは本部からの指令だ。」

「東京支部から入電。あと2時間ほどで第1艦隊がそちらに向かう。到着次第、第15艦隊はタイタン基地へ帰港せよ。」

「みな聞いたか?あの第1艦隊があと2時間で到着する。彼らが来たからにはもうこの戦域は勝ったも同然。後2時間、しっかり守り切ろう。」

この戦域で自分たちが勝っていればみな昇進できただろうに、機会を逸した。


この第1戦線は唯一地球連合が優位に立っている戦域だ。しかし、この戦域は地球へ最も近い戦域で非常に重要な場所であった。


第2戦域 ソモーナン戦域 第13艦隊 第14艦隊

「残存戦力約6割、ここ10時間で2割以上の戦艦が大破しています。このままではあと8時間持ちません。」

「全艦隊、煙幕弾発射。発射後に中破した戦艦は後ろに後退、残った戦艦で敵の殲滅を行う。」

「大佐、それではこの艦隊がもう持ちません。おそらく3時間も耐えられません。」

「大丈夫だ。1時間後に第2、第3艦隊がこちらに到着する。到着次第、この艦隊は一度南極まで戻り、艦隊の再編を行う。それまで、何とか耐えきってくれ。」

「それにしても、なぜ本部は最初から第2、第3艦隊を出さないのでしょうか。」

「ドラマ作りさ。ここで来ることによって彼らは味方を助け、敵に勝ったヒーローのなれるわけだ。そうすることで、実際の戦闘の様子を知らない一般市民たちは、このまま地連軍に任せればPEUに確実に勝利してくれると錯覚するわけだ。」

「要は僕たちは踏み台ってわけですね?こんなにも人が死んでいるのに一般市民はこの事実を知らずに我々を支援するわけですか。なんとも悲しくて言葉も出ません。」

ワイト大佐は頭脳明晰、部下からの信頼も厚い人物だがいまいち戦績が良くなく、艦隊の中でも下位層である第13艦隊長になった。彼の右腕のゴンダ中佐は御年60歳の年老いた兵士であるが、機械にめっぽう強く自ら艦の整備をする。また、交渉が非常にうまく、ワイト大佐を大佐に留めさせるように本部に直接かけあうような人物である。


3時間後、ユートリン、ソナーモン戦域で地連軍は勝利をおさめたが2戦域で勝ち方に大きな差があった。ユートリン戦域では最小被害で勝利したが、ソナーモン戦域では第13、14艦隊の5割以上の艦が大破し、死者は30万人にも及んだ。しかし、地球では多くの犠牲も知らない市民が勝利した地連軍へ称賛が送られ、入隊希望者が3割以上も増加した。以降、入隊希望者は増加していくが、それ以上に戦場での死者が増えてきたため、軍人が減り続けいよいよ艦隊編成にも影響が出てき始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ