ボクの愛した女性は、ボクの未来の母親だと後で知る。
ボクは久しぶりに実家に帰る事になった。
ボクの父親が癌で急に亡くなったと訊いたからだ。
母は慌てた様子でボクの携帯に電話をしてきた。
『学、お、お父さんが、お父さんが、な、亡くなって、、、。』
『母さん! 落ち着いて、もう一度ゆっくり話してみて!』
『お父さんが急に亡くなったのよ。』
『父さんが? どうして、前実家に帰った時はあんなに元気だった
じゃないか。』
『健康診断を、最近お父さんしてね、それで分かったのよ
【大腸がん】だって! お父さんもビックリしてたけど治るモノ
だと思ってたの、でも、お父さん、私に黙ってたのね、もう治らない事を、
それで急に容態が急変して、そのまま、、、。』
『母さん! しっかりして! 明日そっちに帰るから。』
『ありがとう、学! あんたがいてくれてお母さん助かったわ。』
『あぁ、じゃあー明日帰るからね、待ってて!』
『分かったわ。』
ボクは会社に直ぐに連絡して明日から1週間“有給休暇”を取る事にした。
実家に帰る荷物をまとめて、車のトランクに乗せて直ぐに家を出た。
片道3時間かかるがそれでも交通機関を使うよりは早いと思った。
車なら自分次第だし、平日だから渋滞もないだろう。
ただ昨日から徹夜をしてあまり寝ていない。
それが気がかりだったが、何とか3時間かけて実家の近くまできた。
最後にあまり使っていないトンネルを通ったら? 実家は目と鼻の先だ!
ボクは眠気を我慢してトンネルに入る。
・・・でも? トンネルをくぐると? 見たことがない場所に辿り着く。
『えぇ!? ココは?』
一人の女性がボクを見つけて話しかけて来た。
『何処から来たんですか?』
『いや? ココの先にある、“伏本さんの所に行こうと思って!”』
『えぇ!? 伏本さん? この道を真っ直ぐ行って直ぐに右に曲がった
ところが伏本さんのお家よ。』
『あ、ありがとうございます。』
『貴方のお名前は?』
『“伏本学人です。”』
『伏本学人さん? 聞いた事ないですね。』
『貴女の名前は?』
『糸田町あすみです。』
『えぇ!? 糸田町あすみ!?』
『私の事を知ってるんですか?』
『・・・い、いえ、スミマセン、大きな声出して!』
『それならいいんですけど、疲れた顔して大丈夫ですか?』
『あぁ、はい。』
まさかな!? 確か母親の旧姓が【糸田町】だったような?
あすみって? 今! 目の前にいる女性は若い時の母親なのか!?
もしそうなら? なんて美人なんだ!
父さんもよくこんなにキレイな母さんと結婚できたもんだな!
『困ってるなら? ウチに来ませんか?』
『えぇ!? いいんですか?』
『はい!』
しかも? めちゃめちゃ親切だし。
“ボクの理想の女性は母親似の女性だと決めた!”
ボクは若かりし頃の母さんに着いて行った。
そこには、ボクのおじいちゃんとおばあちゃんもいた!
『その子は誰だね?』
『そこで困ってたからウチに連れてきたの。』
『そう、じゃあーコッチに来てお茶でもどう?』
『ありがとうございます。』
まさか!? ボクが産まれる前に亡くなったおじいちゃんに会えるなんて!
おばあちゃんも若いし。
なんだか不思議な気分になった。
ボクは母さんの言葉に甘えて、ココに泊めてもらう。
母さんは若い時は物凄く美人だった事を知る。
でも? 気がつけば母親がボクを見る目が最初と違う!
“恋をしている目だ!”
ボクに母親は恋をしているのか?
でも? それなら母さんは父さんとはどうやって出会ったのか?
ボクが去った後に出てくるのか? それとも既に母さんは父さんと出会って
いるのか?
なにしろ、そうじゃないとボクは産まれてこない!
頼む! 父さんと母さんが上手くいきますように......。
・・・でも? そんなボクの願いは届かなかった。
何故か? ボクと母さんは恋に落ちていく。
ボクもいつの間にか? 母さんに夢中になっていった。
“恋は盲目”というけど? ボクはもう周りが見えない状態だった。
『あすみさん! ボクと結婚してくれませんか?』
『はい!』
・・・こうして、ボクと母さんは結ばれる。
そしてふたりの間に男の子が産まれた。
子供の名前は、ボクの学人の学を取って“学”とつける。
そう、ぼくが産まれたんだ!
じゃあーこのボクは誰なんだよ!?
亡くなった父さんは、未来のボクなのか?
何が何だかもう分からない!
『母さん、ボクは貴女の息子の学なんだよ!』
『えぇ!?』
『ごめんね、ずっと隠してて。』
『いいのよ、私は夫のあなたも息子のあなたも心から愛しているわ!』
『ボクもそうだよ、君の夫のボクも息子のボクも君を心から愛してる。』
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