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夢尽蔵のムラ  作者: ONEth Action
過去章(如月リナ)
19/35

症「カコ」

「お前なんかいらない!お前なんて産まなきゃよかった!」

「お……お母さん……やめて……よ」

1972年2月10日。

大きな産声をあげ生まれた。後の如月リナ。

「……お父さん……私頑張ったよね……?」


―― お前なんて作らなきゃよかった ――


「……おとう……さん?」

如月ロナは如月家の長女である。如月家は代々女子しか生まれず、毎度問題となるのが跡継ぎ問題である。

ロナには妹がいる。名前をラナ。ラナは姉に異常なほど執着心を持っており、妹である私のほうが一番だと思っている。

そしてロナの不妊の原因。ラナからの暴力および精神的ストレス。

ロナを不妊治療を終えついに出産。しかし父からもう遅いと罵倒される。最後に父から聞いた言葉。

お前なんて作らなきゃよかった。それからロナは父親に勘当され如月家の家系図から消される。

あれから5年ほどたち、リナにも感情や物心なるものがあらわとなってきた。

「お母さん、あれ買ってぇ!」

「もう、しょうがないわね。一個だけよ」

この仲睦まじい光景。ロナとリナの会話である。この部分だけ聞けば仲の良い家族。

しかしこれは上辺だけの仲である。続きを聞いてみよう。

「うわ~ん!飴落としちゃったぁ!」

「……また買うの?」

「いやだ!あれがいい!探す!」

「……」

「お母さぁん!」

「さい……るさい……うるさいうるさいうるさいうるさい!」

これが本当の如月家。父は仕事が忙しく子育てに介入したことはほぼなかった。

「お前なんかいらない!お前なんて産まなきゃよかった!あぁうるさいうるさいうるさいうるさい!」

「お……お母さん……やめて……よ。やめてよ……」

「あの飴が欲しいんでしょ!だったらあげるわよ!ほら!食べなさいよ!」

そう言ってロナはリナの口に自分の人差し指を突っ込んだ。リナは苦しそうに嘔吐を繰り返した。

これは如月莉奈誕生の瞬間である。

私如月莉奈は如月リナの中にいるもうひとりの自分。

リナがすべての嫌な記憶を私に押し付けるために作った自分よ。

*如月ロナ

如月家の長女。拘置所にて死亡。50歳、死因自殺。

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