記「テンコウ」
あれから四年が経ち、私。院瀬見夕依は高校生になりました。
私は気づけばごめんねが口癖になっていました。
なんでかはわかりません。おそらく寿命を売ってでも私を救ってくれた父への謝罪なのでしょう。
今でも雨宮に会いに行きます。はぅちゃんが入学して学校生活が昔よりも断然明るくなりました。
「ごめんね、それでね、はぅちゃんがね…」
「そうなのですか。とても楽しそうな生活を送っているのですね」
雨宮はとてもうれしそうでした。
「夕依、私すこし用事があるのです。なので高校に行こうと思うのです」
私はびっくりしました。確かに雨宮は見た目こそ高校生ですが、雨宮は神様のはずです。神様が学校に行ってもいいのでしょうか?
「雨宮は大丈夫なのです。少し状況を見たいだけなのです」
雨宮はそう言っていました。
「来週から第一高校へ入学するのです!待っていてほしいのです!」
少し心配でしたが、雨宮と一緒に過ごせるという事実に実はとても嬉しかったです。
…
「今日は転校生の紹介をしますよ。雨宮さん入ってきてください!」
雨宮から学校の話を聞いて一週間ほど経ちました。今日からとても学校生活が楽しくなりそうです!
「むぅ、どうも…宇雅高校から来ました。雨宮夕依なのです…よろしくなのです!」
私と同じ名前だったのかと思いましたが、おそらく名前がなかったので私の名前を使ったのでしょう。
いつもはお姉さんみたいな雨宮でしたが、今日はとても可愛いです。巫女服以外も似合っています。
「ねぇむぅちゃん。むぅちゃんってば」
「むぅ?!私のことなのですか?!」
私の学校では口癖や自己紹介のときの失敗があだ名になるようになっていました。それははぅちゃんが一人目でした。
「私の名前は堀口命。みんなからミコって呼ばれてるよ」
「私は如月リナ。よろしくね」
「よろしくなのです!むぅ」
私は自己紹介が要らなさそうです。昔からの知り合いですから。それより学校に来たのは用事があると言ってましたが、なんだったのでしょうか?聞いてみようと思います。
「ごめんね、雨宮ちょっとこっちへ来て」
「あれ夕依はむぅちゃんと知り合いなの?」
「ごめんね、そうだよ。中学の時からの知り合いなのさ」
「わかりましたのです」
私は雨宮に用事を聞いてみました。
「私は如月リナに用事があるのです。はぅちゃんはこの鬼ヶ丘を変えることが出来る。そんな少女なのです」
うん。なんとなくわかる気がします。はぅちゃんはの近くにいると何故か心強いです。でも鬼ヶ丘を変える?どういうことだろう?
「夕依は少し前鬼ヶ丘の真相を知ってしまったのですよね?私はその真相を忌んでいるのです」
「ごめんね、どういうこと?」
「…理由は追々わかるはずです」
その時教室の方から叫び声が聞こえました。
「キャァァァ!!」
私はすぐさま教室に行きました。私は唖然としました。そこには私のクラスメイトである新井御代が斧を持って暴れていました。
「みんな死ねぇ!死んでしまえぇ!」
「ちょっと御代さん!何してるの!」
先生が教室に来た。先生は御代を抑え込みに入りましたが、御代は斧を振り回し続けました。
それは運悪く先生の首にあたり、先生は大量の血を流して倒れてしまいました。おそらく死んでいたと思います。
それを期に御代はもっと暴れ始めました。
「やめてなのです!」
雨宮が止めに入りました。やめて、やめて、やめて、死なないで。
「な~んだ、今日来た転校生か。お前も気に食わないんだよ!死ねぇ!」
御代は斧をおおきく振りかぶり、雨宮を切りつけました。雨宮は倒れ込みましたが、その後も御代は斧で何度も切りつけました。
やめて、やめて、やめて、
「やめてぇぇぇぇぇぇ!!」
言ったのは私ではありません。はぅちゃんです。
「目を覚ましてよ!ヨミ!私達友達でしょ?!」
「ふざけるなッ!お前は友達なんかじゃない!」
はぅちゃんはバットで対抗しました。ミコもゴルフクラブをもって加勢しました。
しかしその抵抗も虚しくふたりとも殺されてしまいました。
「最後はお前だけだ…!」
気づけば教室は私と御代だけになっていました。
もう抵抗はしません。どれだけ抵抗してももう意味はない。そう思いました。
「ごめんね、御代、リナ、命そして雨宮」
そこで私の記憶は途切れました。
リナの周りにはおかしな人が多いですねぇ。
でも最初からおかしいんですかね?
実は何かのトリガーで狂っていってたりして。