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7話:領地改革

ブックマーク登録してくれたユーザー様ありがとうございます。


本当にありがとうございます!


もちろん登録はしていないけど、読んでるよって方もありがとうございます!


今話もぜひお読みください。

7話:領地改革


~ロンド騎士爵領~


あれからオレは新たに二人の部下を伴ってロンド領を赴いた。


あの二人はオレの副官として働いてもらうつもりだ。


副官の名前は「レスター」と「カール」だ。


そして今オレ達は領主の邸にいる。ここの前領主は準男爵だったらしいけど、不正が明るみに出てお家取り潰しになって領主不在という扱いだったらしい。


新しい領主を決めるまでは王家直轄領としていたが、今回ここは騎士爵領となった・・・と。


領民にとっては準男爵から騎士爵になったという認識程度のようだから、そこは問題にならない。


ちなみにその準男爵の後釜がキースだったりする。




オレが領地に来て一番最初に動こうと思ったのは戸籍謄本と住民票だ。


何せこの領、というかほとんどの領は大雑把な人口しか把握していないという状況らしかった。


それと税だ。これじゃあ税も全然正確に納められないだろう。



それでオレは今の税はどのくらい納められているのかを邸の執事長に聞いてみたが、それは驚きの数字だった・・・


「八公二民だと?!なんだその馬鹿げた数字は?!」


「も・・・申し訳ございません!し・・・しかし前領主様がお決めになったあとは誰からもご指示がなかったものですから、そのままになっておりまして」


「すまなかった、別にあなたが悪いわけではなかった。しかし、王家直轄領だったのだから代理はいなかったのか?」


「それが、直轄領になったばかりのときに戦争が始まってしまったので・・・」


なるほど、タイミングが悪かったということか。それにしても八公二民なんて、下手したくても領民が飢えるだけだぞ。


「それで、取り潰しになったバカが徴収していた税はどこだ?」



「はい、ここにある調度品がそれに当たります」



「「「はッ?」」」


オレと副官の2人の声が重なった・・・


「ですから、納められた税の大半はこの邸の調度品などに変えられております」


聞き間違いではなかったのか・・・とんだ呆れた領主だったんだな。



「よく今まで暴動が起きなかったな」


「・・・言いにくいことではあるのですが、いずれこの国は・・・」


執事長が言いづらくしていたが、よくわかった。この国が滅びればこの苦境も終わるだろうと領民は思っていたんだな。


領民にまで見捨てられているほど、この国は腐っているんだな。女王派は厳しそうだ・・・


ということは、今回の戦争で滅びなかったから、いよいよ領民の不満が爆発しそうだな。これは急いで対策に動かないと・・・



「とりあえず、戸籍謄本を作るぞ」


オレのその言葉にレスターが問い返す。


「戸籍謄本・・・ですか?」


「そうだ。まずは正確な人口を把握する。それと同時に農作物の収穫量の基準を測定する。これはレスターに任せる」


「ハッ!」



「カールには各地区を回って今年の税は免除することと、来年の税は3公7民にすることを周知してくれ」


「税を免除されるのですか?!それに3公7民なんて・・・」


「そうだ!前領主が搾取したために、領民の我慢は限界だろう。領主が変わったことをアピールするためにも今年の税は免除することが大事だ。

それに来年の税を先に発表することで、将来の不安を少しでも取り除くのが先決だ。それに民がお金を持ってなければ領の経済は上がらないからな」


「わかりました!」



「執事長のマイセンは、ここにある調度品を全部売って資金を調達してくれ」


「全部売ってしまわれるのですか?!」


「そうだ!オレには必要ないからな。ただし、買い叩かれないように気を付けてくれ。この調度品は領民の血税なのだからな」


「はい!かしこまりました!」



「メイド長のケーラは邸内の整理整頓だ。不要になる調度品を一か所に纏めてくれ。あと、使用人たちの面接をするから一人づつここに呼んでくれ」


「かしこまりました」



さて、これから忙しくなるぞ!





~半月後~



戸籍謄本と住民票の作成、それと収穫量平均の算出が終わり、領内の人口を正しく把握することが出来るようになった。


それによるとこの領は、働き手の数が思った以上にあることを知ることができた。だが、その働き手に対して働く場所が少ないという状態だった。


収穫量表を見ると、畑の数が少ないんだな。戸籍を見ると多くの家が次男や三男といった複数の子供がいるのか・・・



人口は約1,000人。常備兵は金が掛かるから人口の1%~2%の割合が望ましいとも言われているからな。


調度品を売却して得たお金と報酬でもらった金があればそのぐらいは問題ない。それにこの国はまた早いうちに攻め込まれるだろうから軍強化は必須だ。


軍強化といっても辺境伯以外は独自の軍を持つことは許されていない。だけど、軍と言われる程の数でなければ問題ない。


この世界は1,000人以上で軍という規模になるが、それ以下なら隊という名目で何も言われることはない。



オレは副官2人を執務室に呼んだ。


「常備兵・・・ですか?」


「そうだ。オレが貰った報酬もあるからな」


「個人的に貰った報酬を使われるおつもりですか?!」


「あぁ。オレ個人にそんな大金は必要ないからな」


金は使わないと経済が回らない。後生大事に持ってるだけじゃ意味はない。


調度品を売って得た金は領民の暮らしに直結する費用として使い、オレの報酬は兵の育成にかけることにする。


「それで、常備兵は何人を募兵するのですか?」


「20人だ。まずはこの20人を兵士として育て、10人ずつレスターとカールにつける。

そして領内の治安維持の為の巡回や開墾作業、訓練に従事してもらう。給金は月に金貨1枚だ」


この領の一般平均所得が月に銀貨50枚(日本円で5万円)だと考えれば破格といえるだろう。


「では、領への募兵周知をして参ります」


そういって、カールとレスターは周知をしに出ていった。


「マイセン、大工屋と鍛冶師を呼んでくれ。いろいろ作ってもらいたいものがある」


「かしこまりました」





コンコン・・・ガチャ



「ご主人様、大工と鍛冶師が参りました」


「そうか、通してくれ」



「「失礼します」」


入ってきたのはTHE・職人という感じの2人だった。


「二人方ともすみません。呼び出ししてしまって」


「ご領主様の呼び出しとなれば来ないわけにはいかないからな」


「同じく」


「そう言ってくれると助かる」


「ご領主様が変わってからここも以前に比べて住みやすくなった。で、オレたちを呼んだのは?」


「呼んだのは仕事の依頼になります」


「「依頼?」」


「そうだ。まずは鍛冶師には剣と槍、盾、弓そして鎧を作って欲しい。武器類はそれぞれ10個ずつ。鎧は30個だ」


「それは構わないが、どうしてだ?」


「これから周知させるが、常備兵を作ることを決めてな。そのために武具一式が欲しい。

もちろん予算はあるが、その予算の許す限りで品質は良いもので頼む。この領を守る兵士の命が掛かってるからな。それでいくらぐらいかかる?」


「品質なら王都に頼んだ方が良いのがあるとは思うが・・・そうだな、金貨50枚で出来るとは思う」


基本、武具一式を揃えるには金貨1枚が必要だから、金貨50枚なら相場通り、もしくは安いぐらいだろう。


「そうか、50枚渡すから1週間後に寄こしてほしい。もちろん渡された品質が悪ければ、次からの依頼は無いものだと思ってくれ」


「ふん!いいだろう。次も依頼が受けれるよう、精一杯やらせてもらおう」


「よろしく頼む。そして大工の方だが・・・これを見てくれ」


オレは大工に図面を見せた。


「これは・・・家ですかい?」


「そうだ。正確には訓練所兼宿舎になる」


「宿舎?」


「あぁ。先ほども言ったが、常備兵を作ることにしたからな、その常備兵のための家・訓練場を作ろうと思ってな。いくらぐらいでできる?それと完成予定日は?

ちなみに木材などの材料は常備兵の訓練の一環で森の間伐で手に入れる予定だ」


大工の親方は図面を見つめている。


「・・・なら、材料費はそこまで掛からない。3カ月、いや2カ月くれ!既に図面があるならこれ通り作ればいいだけだからな。あと金は金貨30枚だ」


「わかった。こっちも出来によって次からの依頼を考えるからよろしく頼む」




1週間後・・・



ザワザワ・・・ガヤガヤ・・・



「希望者が100人?!」


「はい!思った以上に来ています!」


まさか要望数に対して5倍もくるとはな・・・


「だがこの中にホントに兵士になりたいと思っているのが何人いるか・・・食うに困ってるだけでってこともありえますから」


「そこなんですよね。キースウェル様の騎士爵領の時もそんな人間が多くいましたから」


レスターとカールがそんなことを言っているが問題はそこじゃない。


「最初の動機なんてどうでもいいさ。最終的に戦う意思があれば。常時兵として取るのは最初の予定通り20人だ。

今から選考を始めるぞ!」


「「ハハッ!」」



「みんな!よく来てくれた!オレが領主をやっているコウジュン・ロンド騎士爵だ。定員20人のところ、希望者数100人だ。

ここにいるのは次男だったり三男だったり、実家の畑を継げない人間が多いだろう。この募兵に応じた動機などどうでもいい。

求めているのはこの領を守るという戦う意思があるかどうかだ。それを確認するためにも選考を開始する。全員準備は良いか?」


「「「おう!/はい!」」」



「それでは50人ずつの2班に分かれて選考訓練を始める!」


本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、


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