5話:論功行賞
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5話:論功行賞
ダルク国との戦争遊戯が終わり、国へと戻っていった。
報酬を貰うまでは雇用関係があるオレは、そのままキースウェル騎士爵が治める領へと向かい、今は騎士爵邸でお世話になっている。
国家では戦後処理をしており、それが済み次第、出陣した貴族が王城へ集い論功行賞をするというのだ。
それまでは騎士爵で、武術指南をここの兵たちにしている。ただ飯喰らいになるのは気が引けたから、キースのお願いを引き受けた形だ。
それとオレがキースと呼んでいるのはキースから言ってきたからだ。オレは最初、様付で呼んでいたが、キースから歳も近いし、友人として接してほしいとのことだ。
それからオレたちはキースの時間が空いた時などは一緒に武芸に励んだり、キースが執務などでいない間は街に出かけたり、邸にある本を読ませてもらったりした。
字の読み書きは問題なかった。日本製ゲームだからか日本語で書かれていた。もしかするとそう見えるだけなのかもしれないけど。
街に出かけた時の街並みはゲームの時とかけ離れているといったようなことはなかった。
ただ本に書かれていた歴史関係では、ゲームでは語られていなかったこの世界の話が書かれていた。
昔、この世界は科学と魔法が発展した大小さまざま国家がひしめき合っていた。時代が進むにつれ、多くの国家が併合したり亡国となっていった。
それは他国にあって自国にはないものがあり、それを欲したからだ。欲しいものは交渉する。しかし交渉が折り合わない。ならば戦争だ。
人の欲、国の欲が絡み合い戦争は激化していった。この繰り返しが数百あった国を7か国まで減らした原因だ。
最初は数十億いると言われていた人口も現在では1億人ほどとなっているとの話だ。
このままでは人類によって人類が滅ぶと思った創造主は【国家間戦争における死者0ゲームプロジェクト】通称【戦争遊戯~WAR GAME~】というシステムを作ったと言われている。
この創造主って、ゲームクリエーターのことなんだろうな。
その中で、興味深い内容が書いてあった。そう!スキルの事である。
このスキルはゲームには存在していなかったはずだ。少なくともオレは一度も見たことも聞いたこともない。
このスキルは貴族位になると使え、一つのスキルに対して一度の戦争に使うことができるらしい。同じスキルは同じ戦争では使えないが違うスキルであれば使えるってことだ。
先日のキースが使っていた《士気高揚》もスキルの一つだ。
《士気高揚》
自らが率いる部隊の士気が10%向上する
スキルは多種多様であり、人により扱えるスキルの種類も数も違う。スキルはその人の特性・特徴・性格などから扱えるスキルが決まる。
このスキルの存在自体は良い。だが貴族位でないと使えないというのが厄介だ。恐らくステータス【役職】欄と紐づいていると推測できる。
自分と同等、もしくはそれ以上の強い人間が相手だった場合、スキルの有無はでかい。とてつもない差が生まれる可能性が大きい。
ならば傭兵という立場のまま動くのは得策ではない。どこかの国に仕官するのがいいのだろう。
となれば国選びをする必要がある。今は8か国あって、大国が2か国、中規模国家が2か国、小国家が3か国、そして弱小国が1か国。
もちろんこのプロヴァンス国が、その弱小国家だ。先日戦ったダルク国は小国家に分類される。
そして、本来であれば先の戦争でプロヴァンスが滅び、戦国七雄と呼ばれるはずだったが、生き延びたことで戦国八雄となっている。
となると、この8か国の中から選ぶということになるが、大国も中規模国家も兵力は十分で、無理して素性不明なオレを取るとは考えにくい。
小国家もダルク国は敵対したから厳しいだろう。とすると残るは3か国・・・あまり変わらない気はする。
まぁここは、今回の論功行賞で判断するか・・・オレを高く見るか、それとも低く見るか。この国の出方で決めるとしよう。
それから3日後。
戦後処理も終わり、王城にて論功行賞を行う旨が通達され、貴族たちに召喚状が届いた。
(現実世界の戦後処理なら数か月は掛かるはずだが、この世界は戦争で人死にも怪我人も出たわけではないため、驚くべき速さで戦後処理は終わる。
あくまでも遊戯中はケガもするし血もでる。もちろん痛みも出るが、戦争が終わり戦争エリアが解除されればケガも痛みもなくなる。
死亡してもそれぞれの国の待機場所に転送されるだけである)
そしてオレはキースに随伴する形で王城へと向かうことになった。
~プロヴァンス王国 広殿の間~
今回の戦争にて出陣した貴族、及び、召喚状が届いた人間が参列している。もちろんその他にも今回参加していない貴族、文官、武官も参列している。
ゴーン!
「一同拝礼!女王陛下の御入殿である」
バッ!ババッ!
広殿の間にいる全員が一斉に拝礼をする。プロヴァンス国が王権制の王国で、さらに王が女王だったとは・・・
オレはチラッと女王を見たが、年齢は30代後半~40代前半と言ったところか。その女王の後ろを若い女性が付いていってる。
その若い女性は女王に似ており、女王の横に座ったことから恐らく娘なのだろうと想像がつく。ということは姫ということになるのかな・・・
二人が座ると拝礼も終わり、全員が立つ。
「これより論功行賞を始める!」
オォォォォォ!
「女王陛下、よろしくお願い致します」
女王陛下がその場で立ち、我々一同に話しかける。
「此度のダンク国との戦争遊戯への勝利、そして亡国の危機を免れたこと、誠に嬉しく思う。皆の者、非常に大儀であった!」
オォォォォォ!
「今回の論功行賞では、我が国の貴族、文官・武官が全て勢ぞろいしている。その中で特に功の厚かった者をここに賞する。それ以外の者は後に関係各所より賞することになる。それではマクミラン宰相、始めてくれ」
「ハッ!ではまず此度の戦争遊戯、第一功を発表する・・・第一功・・・見事勝利に導いた総大将ライセン辺境伯!前へ」
オォォォォォ!
あの辺境伯、ライセンというのか・・・まぁ今回の総大将なら第一功は当たり前だな・・・
辺境伯が前に出て、女王が賞する。
「ライセン辺境伯、此度の戦争遊戯、お見事であった!これからも我が国を守る盾となって欲しい」
「ハッ!この身、盾となりて女王陛下をお守り致します」
「うむ、辺境伯には金貨500枚と隣地である王家直轄領の一部を治めることを認める」
「ハッ!ありがたき幸せ!」
この世界のお金事情だが、金貨1枚で日本円だと10万円だ。500枚ということは5,000万円ってことだ。
貰ったお金は領地の兵たちへの恩賞に使われるだろう。辺境伯は国境を守る軍を所有しているからお金はいくらあっても困ることはない。
にしても弱小国のプロヴァンスとしてはこの恩賞は辛いとこだろう。国庫の金も有限だからな。
辺境伯が戻り、宰相が続きを喋る。
「では次に第二功を発表する・・・第二功・・・劣勢だった軍を自ら率いた隊を持って、敵軍に急襲し攻勢に導いた・・キースウェル騎士爵!前へ」
オォォォォォ!
~なんと騎士爵の身分で第二功を~
~キースウェルと言えば、最近噂になっていた新進気鋭と呼ばれていた者か~
~くっ!私も参加していれば~
結構キースも有名なんだな。ってか、周りの反応を見聞きしていて気になる声が聞こえた。
今回の戦争遊戯は国の存亡が掛かっていたのに参加しなかった貴族がいるということに驚きがあるんだが?おそらく、負けると思っていたから遊戯後の身の振り方を考えていたのだろう・・・
キースが女王の前で膝をつき、賞を受ける。
「キースウェル騎士爵、そなたは我が国の騎士としてその名に恥じぬ活躍を見せてくれた。これからも我が国の剣となって欲しい」
「八ッ!この身、剣となりて女王陛下へ捧げます!」
「うむ、騎士爵には金貨250枚とレベルが30になったということで準男爵へと昇爵させることとする」
「・・・ハッ!!ありがたき幸せ!!」
キースが一瞬呆けていたようだけど、事態が飲み込めたのか勢いよく返答する。そうかレベル30か・・・今回の功績で準男爵にしても問題ないという判断が下ったか。
ただ、準男爵からはレベルも上がりにくく、昇爵もより難しくなるから、これからが大変だな。
キースが戻ってきた。
(準男爵か、おめでとうキース)
(ありがとう。これもコウジュンのお陰だ)
(これからは準男爵様と呼んだ方がいいかな?)
(対外的にはしょうがないけど、二人の時は止めてくれ)
オレがキースの事を茶化すとキースは苦笑しながら答える。
「続いて、第三功を発表する・・・第三功・・・敵騎士爵要する急襲部隊を単独で撃破し、その後、準男爵1人・騎士爵1人を討伐せしめ、敵軍撃破の決定打となった。コウジュン殿!前へ」
ザワザワ・・・ザワザワ・・・
~なんだあの者は?貴族ではないよな~
~貴族でないものが第三功を?~
~どこの武官だ、あの者は?~
オレが前の2人と同じよう、女王の前で片膝を着き拝礼する。
するとまだ続きがあったのか、宰相が話を続ける。
「この者は傭兵であったが、キースウェル騎士爵、いや、準男爵が雇っている者である。本来であれば雇い主であるキースウェル準男爵の功績とするところだが、準男爵本人たっての希望とランドール辺境伯の要望もあったため、第三功として賞することとなった」
あの時、天幕で話したことが、この第三功ということなったのか・・・
女王が私に語り始めた。
「コウジュン殿、貴殿が我が国のために尽力してくれたこと嬉しく思う。貴殿への褒賞だが、いろいろと考えさせてもらった。受け取ってもらえると嬉しい。
貴殿には金貨100枚と、王家直轄領であるロンド領を与え、騎士爵と叙する」
騎士爵?!マジか?
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