表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/17

4話:決着

ブックマーク登録&評価してくれたユーザー様ありがとうございます。

本当にありがとうございます!

もちろん登録はしていないけど、読んでるよって方もありがとうございます!

今話もぜひお読みください。

4話:決着


敵右翼の裏を急襲するため、馬を走らせている集団の先頭にオレはいる。


士気を上げるため、騎士爵に激を飛ばしてもらおうとお願いしたら、何故かスキルと叫ぶ。


スキルって何さ?そんなものこのゲームにはなかったぞ?!


・・・スキルのおかげなのか?兵たちの士気はかなり高まっている。


おっと、もう接敵する。これはあとで調べないとな・・・





~ダンク国 端の隊を率いる、とある準男爵~


押せー!このまま押し切れー!弱小プロヴァンスの命運はここに尽きるのだー!


グハハッ!

もう少しすればこの戦も終わりだ。間もなく、私が出した部隊がプロヴァンスの左翼を急襲するだろう。


そうなれば、この前の陣を破って私がこの戦の第一功をもらう。そして私は男爵へ・・・グハハッ!


「~準男爵様!後方の予備隊まで出してよろしかったのですか?」


副官が私に意見をしてきた。なんたる不敬だ。たかが一兵士の分際で準男爵の私に対して意見をしようとは。まぁ良い。今の私は気分がいいのでな、許してやろう。


「ふん!問題あるまい。間もなく私が指示した急襲部隊がプロヴァンスの左翼を攻撃するだろうからな」


「しかし・・・」


「うるさい!貴様は私の言う事に従っておれば良いのだ!わかったな?!」


「・・・ハッ!」


まったく、うるさい副官だ。何を心配する必要がある。この戦を機に私は男爵へと進み、いずれは伯爵、いや、公爵へと昇り詰めるのだ。



ドッ!ドッ!ドッ!


なんだこの音は?



ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!


大きくなっている?



ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!


後ろから?



後ろを振り向くと、すぐそこまで敵の騎馬隊が迫ってきていた。何故だ?何故後ろにいる?後方の部隊は何をしていた?


いや、あちらから来たということは・・・急襲部隊はどうしたというのだ?


急襲!急襲だー!敵が突撃してくるぞー!準男爵様を守れー!


副官が何か言っているが、私にはわからない・・・なぜ敵軍がこちらに来ているのだ・・・


気づいた時には、待機所にいた。どうやら私は死亡したようだ・・・・




~視点は戻り~


スバッ!ザシュッ!バッ!


「蹴散らせー!決して緩めるな!背後を脅かし続けるだけでいい!深追いはするな!」


オレは先頭で敵右翼の裏を急襲している。最初に急襲した際、敵軍の将らしき人間を討った。


あまりにも呆気なく討てたので一瞬違かったかと疑ったが、指揮系統が混乱し始めたので、やはり合っていたようだ。


そこからは簡単だった。オレ含め、たった30騎での急襲だったが、端の隊は、ほぼ全滅。それに乗じて味方左翼の歩兵が端から中央へ攻め入っている。


本来なら、そのまま抜けて敵本陣へ向かいたいところだが、本陣を守っている兵の数は多い。しかも距離が離れているからいざ進んでも本陣守備隊に阻まれるだけだ。


ならばまずはこの横陣の敵を粉砕することが先決だ!だがこれで、敵は正面と横、そして裏の3方に対処しなくては行けなくなった。ここでダメ押しをしておきたい・・・


すると後ろから騎士爵の激が聞こえてきた。


「皆、あと少しだ!我らの活躍で敵は右往左往している!ここが踏ん張りどころだ!」


うおぉぉぉぉ!



わかってるじゃないか騎士爵!よしこのまま突き進む!


「行くぞ!ここから斬り込む!」


うおぉぉぉぉ!



~プロヴァンス軍 本陣~


「辺境伯様!我が軍の左翼が攻勢を見せております!」


「わかっておる!一体何があった?・・・いや、今は考えている場合ではないか。今が好機だ!前線を押し返せ!全軍突撃だ!」


確か左翼には新進気鋭と呼ばれていたキースウェル騎士爵がいたはずだが、あやつにそこまでの技量があったというのか?

この戦が終わったら話を聞く必要があるな。



~視点戻り~


前線が押している?・・・本陣はちゃんと機が見えているようだ。この流れは簡単には戻せないだろう。これでこの急襲部隊の役割は終わりだ。


こちらも残り10騎になっている。さすがにこれ以上は無理だ。すると騎士爵が近づいてきた。


ドガラ・・・


「コウジュン殿!我々はこれから歩兵隊と合流しようかと思うのだがどうだろう?」


「ええ、それでよろしいかと。今の数ではこれ以上は無理ですからね。それにもう大勢は決してます。敵前線は総崩れ、間もなく前線を破って敵本陣へ向かうはずです」


そう騎士爵へ説明していると、敵前線が崩壊。そこから味方本陣が前線を押し上げつつ敵本陣へ攻めあがり始めた。


「さすが辺境伯様だ。気を逃さず攻め入ったようだ!」


この軍の大将は辺境伯なのか・・・国の存亡の危機に公爵以上は出てこないのか?・・・もしかすると名ばかり貴族で一番強いのが今の辺境伯か?



※名ばかり貴族・・・実力と階位が見合っていないこと。実力はないが権力だけはある面倒な貴族の総称。主に世襲制度で2代目以降に多く見られる。



まぁ今は考えても仕方ない。オレも騎士爵と一緒に部隊まで戻ることにした。


部隊に戻ってきてから少しした時、味方本陣の方から歓声が起きた。どうやら敵本陣が落ちたようだ。


本来ならプロヴァンス国はこの戦争に負けて滅亡するはずだったが、こうして勝ったことで、どんな動きをするのか?


他人事なのだが、少し楽しみだと思っている自分がそこにはいた。


今後の身の振り方を考えないとな・・・とりあえず今は、この勝利に酔いしれてもいいのだろう・・・


それから少し時間が経った時、


「コウジュン殿!」


騎士爵がオレのところにきて話しかけてきた。


「この度は誠にありがとうございます!」


「いえ、私は雇われた分の仕事をしたまでですよ」


「それでも感謝はさせてほしい。この礼は必ず国へ戻ったらさせていただく!それと臨時ではあるが、コウジュン殿は大きな戦果を得ているはずだ。

良ければステータスを見せてもらえないだろうか?もちろん辺境伯様のところで一緒に見せてもらえばいい。然るべき場所で正当な恩賞を貰えるよう私から辺境伯様にお伝えするので」


戦功は全てステータスに記載されるため、その内容によって国から恩賞をもらうことができる。ステータスは偽造が出来ないからできる芸当だ。


「わかりました。いつお見せすればいいのでしょうか?」


「実は辺境伯様から今回の戦働きの件で呼び出しを受けていてな。今から貴殿も一緒に来ていただきたいのだ」


オレは了承し、本陣へと向かっていった。






~本陣の辺境伯の天幕~



「辺境伯様!キースウェル騎士爵が到着、お連れしました」


「うむ、入れ」


オレは騎士爵の後ろに付いて中に入る。中に入ると、簡易テーブルが置かれており、そこに書類やらが積まれている。恐らく戦後処理に入っているのだろう。


「辺境伯様、お呼びにより参りましたキースウェル騎士爵でございます。後ろの者は今回雇いました傭兵のコウジュン殿と申します」


騎士爵がオレを含み挨拶を辺境伯にした。


この辺境伯は偉丈夫といっても差し支えない白髪の40代前半の男性だった。その辺境伯は騎士爵を見たあと、オレにも目をやってきた。


恐らく今回の左翼の件で呼ばれたのだろう。で、その要因がオレにあると思っているのだろうな。


まぁ騎士爵を呼んだら、オレが付いてきたというので大体察しはつくか・・・



「今回、貴公を呼んだのは何故かわかるか?」


辺境伯が騎士爵に対して話を振る。


「ハッ!敵右翼撃破のお話かと・・・」


「そうだ。貴公の噂は聞いておる。新進気鋭の若手騎士とな。今回の戦働きに関してどうやったのか?そこが知りたくてな?

敵右翼に急襲を仕掛けたということはこちらにも情報は届いているが、そこまでの経緯がわからんのだ。それまでは貴公のところも苦戦をしていたはずだ」


「八ッ!辺境伯様の仰る通り、我が隊の方も苦戦をしていました。その時、左丘に一小隊規模の敵軍を見つけたのです。

このままでは挟撃に合ってしまうと思い、急ぎ手勢の30騎を率い丘へ上りました・・・・」


そこから騎士爵は丘に登ってオレと会ったこと。今回の戦に対して臨時に雇い入れたこと。オレの策を持って敵陣へ急襲したことを話していった。


途中、辺境伯はオレに視線を移したりするが、きちんと最後まで騎士爵の話を聞いていた。騎士爵が話を終えると辺境伯がオレにステータスを見せるもらえるか聞いてきた。


あくまでもオレは臨時で雇われているだけなので、雇用主以外にステータスを見せる義務はない。しかし、隠すようなことはないので見せることにした。オレ自身も気になるしね・・・



《ステータスオープン》



名前 :コウジュン(高順)


レベル:21


役職 :兵士


タイプ:剣士


所属 :プロヴァンス国(臨時


戦果 :騎士爵2人、準男爵1人



急襲の際に切り伏せた1人が貴族だったようだ。それにしてもあと一人斬ってたんだな。気づかなかった。戦争も終了したからレベルが上がったか・・・それにしても21まで上がるのか。騎士爵2人と準男爵1人を倒せばそこまでは上がるか・・・


「レベル21?!」


騎士爵がステータスを見て驚いている。騎士爵はレベル1を見ていたからな。まさか1戦でレベルが20も上がるとは思わなかったのだろう。

まぁそれはオレもだけど・・・それを見た辺境伯も同じような反応をしているが・・・


「これは・・・素晴らしい戦果だな。さすがは傭兵ということか・・・貴殿はこのあともキースウェル騎士爵の下で雇われるのか?」


「それはどうでしょうか?()()雇われていますし、報酬を貰った後にでも考えます」


()()・・・か・・・そうか」


「辺境伯様!コウジュン殿への報酬ですが、我が騎士爵領から出来うる限り出すと約束をしておりますが、国家からもコウジュン殿へ恩賞は可能でしょうか?」


「うむ、一傭兵という立場では難しいかもしれないな。あくまでも雇い主は貴公だ。恩賞があるとすれば貴公へとなる。

しかし、これほどまでの戦果を出して国家から恩賞がないなどというのは面目が立たないのもまた事実。私からも王へ進言しよう」


「ありがとうございます!辺境伯様!」


「うむ。国に戻ったら追って連絡を入れよう。下がってよいぞ」


騎士爵とオレは天幕から出て、部隊が待つ陣地へと戻っていく。




~本陣の辺境伯の天幕~


キースウェル騎士爵とコウジュンと呼ばれる傭兵が天幕から出ていったあと、辺境伯の副官が辺境伯へ話かける。。


「いかがでしたか閣下?」


「傑物だな、あのコウジュンという男は。あれだけの戦果を挙げておいてレベルが21だ。ということはこの戦の前は1桁前半のレベルでしかなかったということだ」


「俄かには信じられませんね。それでどうしますか?恩賞をと言う話でしたが・・・」


副官は驚きながらも、にこやかな笑顔で話しかける。


「あぁ、だが事実だ。それにお主もこの戦いに勝てるとは思わなかっただろ」


「ええまぁそうですね。次はどの国に仕官しようかと考えていましたよ」


「その気持ちはわかる・・・我が国は、度重なる【戦争遊戯】で領地も少なくなり兵士のレベルも下がってしまっているからな。

今回ダンク国に勝てたのは世辞抜きで、あの男のお陰だ。あの男を逃す手はない。是が非でも我が国に来てもらう」



「確かにそうですな。幸いにもカメラドローンが彼の行動を映していたようですから、国へ戻ったら視てみましょう」



「そうだな。それでは国へ帰るぞ」




こうしてプロヴァンス国の滅亡は阻止された。


本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、

【評価】&【ブックマーク】登録をよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ