3話:さぁ戦場へ行こうか
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3話:さぁ戦場へ行こうか
「雇う?」
「そうです。私は今、所属は無所属です。傭兵という立場にあるとおもってください。ちなみにこれが証拠です」
オレは証拠を見せるという形でステータスを相手に見えるように見せた。
名前 :コウジュン(高順)
レベル:1(レベルアップ予定)
役職 :兵士
タイプ:剣士
所属 :無所属
戦果 :ダンク国、騎士爵1名
そのステータスには最初に見たときと変わっている点があった。
レベルアップ予定は、戦争終了まで生きていた場合、レベルが上がるってことだ。
戦果は今回の戦争で倒した爵位持ちだ。騎士爵1名というのはあのコザという男の事だ。
これはまんまゲームと同じシステムだ。
ただこれでオレがダンク国と敵対したってことはわかるし無所属だということもわかる。
「レベル1で1部隊・・・しかも騎士爵を倒したというのか・・・」
あれ?そっちに驚くのか・・・
あ~確かに騎士爵はレベル20以上にならないと基本的になれないもんな
ここがゲームと同じなら爵位によってレベルが違ってくる。
LV.20なら騎士爵級
LV.30なら準男爵級
LV.40なら 男爵級
LV.50なら 子爵級
LV.60なら 伯爵級
LV.70なら 侯爵級・辺境伯級
LV.80なら 公爵級
LV.90なら 大公級
もちろん、レベルだけが上がれば爵位も上がるという訳ではない。
レベルに達していなくても爵位が上がることも可能だ。だが一種の基準にはなる。
さて、そんな今お買い得な男が目の前にいるのだが、この青年騎士はどうするのか?
「本来ならどこの誰かもわからない者を雇用するわけにはいかない。しかし・・・」
「若様!まさかこの者を雇うおつもりですか?!」
横から壮年の男性が割って入ってくる。恐らく40代半ばといったところか・・・
若様と言っているから副官か?
「そうだ!いま我が国が滅亡の危機にあるのは確かだ。今は一人でも多くの強い味方が必要だ!」
「しかし、この者が敵国の間者かもしれないのですぞ!」
この副官が言う事も最もだ。オレが言うのもあれだが、怪しさ満点だもの。
オレがあちら側でもそう思う・・・でも・・・無所属の場合は間者ではない。
いわゆるフリーという立場だ。どちらにも味方になるしどちらにも敵になる。
ただし所属が決まれば裏切ることはできない。何せこの戦いはライブ中継されているからだ。
今もカメラドローンが近くにいるから、この様子は全員に見られているといっても過言ではない。もちろんマイクとかが個人についているわけではないため、大きめの声で話さなければ聞こえないが・・・
「あまり時間はないと思いますよ。貴国の軍は決して強くない。今こうしている間にも本陣が押されている。
そちらの横陣を急襲するための部隊はオレが潰しましたが、このままでは保てないでしょう。こちらも討って出ないと・・・」
「確かに、このままでは我らは敗北する。この戦で負ければ我が国は・・・終わってしまう。ならば打てる手は打つべきだ!」
「・・・若様のお好きなように」
「すまない」
この青年騎士も、その副官も状況はわかっているのだろう。滅亡の危機に扮する国に取れる手段がもうないことに。
少しでも希望があるのなら素性がわからなくても雇うべきだと。
「貴殿にお願いする。私に雇われてほしい。報酬はこの戦が終われば私に出来る限りで払わせてもらう!」
「それで構いません」
ステータスを見ると、所属が【プロヴァンス国(臨時】に変わった。
臨時は国ではなく一貴族に対しての契約だからだ。
オレも青年騎士もお互いにそれを確認した。これでオレは正式にこの戦争中はプロヴァンス国の兵士となった。
「それでキースウェル騎士爵様はこのあとどう動かれるつもりですか?」
「これから本陣に戻って体制を整えるつもりだ。なにせここには30人しか連れてきていない」
「本陣に残ってる人数と兵種、それと配置されている場所はどこですか?」
「私の部下の歩兵70人と配置場所は左翼の端だ」
左翼の端だから、いち早くこちらに来たということか。
「それではその30人を私に預からせてはもらえませんか?」
この提案に即座に反応したのは副官の男だった。
「なにを馬鹿な事を?!どこの馬の骨とも知らない奴に預けられるか!」
その反応は至極当然だ。だけど、ここから巻き返すには本陣からでは無理だ。体勢を整えている間に攻められて終わりだ。
「なにか手があるというのか?あるのであれば教えてほしい。このまま本陣に戻ったところでこの現状を変えることはできないとは思っているのだ」
このキースウェル騎士爵は今の状況がまずいことは理解しているけど打てる手が思いつかないから本陣にって考えているようだ。それならまだ望みはありそうだ。
「今、味方も敵も横陣にて衝突中です。しかし数の差で押し込まれているのが現状です」
「それはわかっている。だから早く本陣に戻って体勢を整えようとしておるのではないか!」
副官が出しゃばってくる。
「ジョナサン、落ち着け!コウジュン殿の話を最後まで聞け!」
「・・・ハッ!申し訳ございません」
この副官、ジョナサンというらしい。
「話を続けます。数の差で押し込まれてはいますが、まだ本陣にも多少なりとも余力はあります。ならば横陣の弱点を攻め、本陣と挟撃を行います」
「「横陣の弱点?」」
騎士爵と副官の声が重なる。
「そうです。横陣の弱点は裏側です。裏側から攻めれば本陣との挟撃が成り立ちます。
しかし本来なら、この裏を取られないように予備隊を後方に置くのが定石ですが、敵軍はそれをしていない。数の差で押し込もうと予備隊も中に入っているからです。そこで、敵右翼の端から急襲を行い挟撃を仕掛けます」
「しかし、たった30騎では・・・本陣に残した歩兵70人もいた方がいいのではないか?」
確かに数は少ない。でも歩兵では意味がない。オレは地面に現在の状況とこれからの動きについて図にしながら説明していく。
「いえ、これには速さが求められます。それに挟撃と言ってもそこに留まって攻撃を仕掛けるのではなく、攻撃しながら離脱をしの繰り返しとなるので歩兵がいたのでは無理です。
それに歩兵には別にやってもらいたいことがあります」
「やってもらいたいこと?」
騎士爵も副官も聞く耳を持つようになった。これならいける・・・
「挟撃を開始したら、端の軍から混乱していきます。それに乗じて端の横から横撃を仕掛け相手の陣地を削りに行ってください。そうすれば・・・」
「端の軍から崩壊していく・・・」
騎士爵がその結論を言う。オレはそれに頷く。
「しかし、ホントに上手くいくのか?相手も警戒をしているのではないか?」
副官が当然の疑問を口にした。でもオレはその疑問は無意味だと判断している。なぜなら・・・
「それはないでしょう。先も言いましたが、警戒しているのであれば後方に予備隊を置くはず。しかし、その予備隊はいない。罠の線は低いでしょう。ここからなら敵配置がわかりますが、すぐに後方へ詰めれる部隊はいません。我々の急襲の方が速いです。
それと、こちらの左翼を急襲するために相手側は伏兵を忍ばせていました。まぁその伏兵は既に消滅していますが、伏兵を忍ばせている側は油断します。
それに、あの伏兵の実力からして、万が一、罠があっても食い破ることは可能です。伏兵はある一定の実力がなければ意味はありませんからね」
「・・・・・わかった。ならば伝令を除いて貴殿に従おう。伝令役兼歩兵の指揮をジョナサン、お前に任せる」
「しかし若様!それでは・・・」
「聞けジョナサン!これには歩兵の連携が大事になってくる。そのためには経験が必要になる。我が隊の中で戦争の経験が多く実力があるのはお前だ!だから頼む」
「・・・わかりました若様。コウジュンと言ったな、若様が貴様を信用するようだから、ここは引くが、若様を死なせたら貴様を殺すぞ!」
ジョナサン怖っ!まぁ気持ちはわかるけども・・・そのままジョナサンは本陣へと戻っていった。
さて、こちらも急ぎ準備をしよう。オレは敵が乗っていた馬を引っ張り、走るのに問題ないかを確かめる。
「先頭はオレが請け負います。騎士爵様は中央で兵を鼓舞してください」
「私に後ろにいろと言うのか?!」
「そうです。速さが必要だと言いましたよね。敵の動きを予測しながら動かなければなりません。その機微を感じながら動くのは騎士爵様には難しいかと・・・。ここは発起人でもある私が先頭に立つのが一番可能性があるのです」
「くっ!確かに、今の私にはその動きを読むことはできそうにない・・・・わかった。コウジュン殿たのむ!」
「承った!」
オレは馬に乗り、剣を腰に槍を手に持ち駆ける!その後ろに29人の騎馬隊を引き連れて!
ドガラ・・・ドガラ・・・
「コウジュン殿!敵右翼が見えたぞ!」
「ええ!騎士爵様は中央へ!ここからは速さが求められます。準備は?」
「いつでも!」
「では号令を!」
「私がか?」
「この隊は騎士爵様の隊ですから、私では士気は上がりませんよ」
「わかった・・・スキル《士気高揚》キースウェル騎士爵が誇る勇敢なる兵士諸君!この戦いが窮地に立たされているプロヴァンス国を救う一戦となる!この戦に勝利し栄光を掴むぞ!」
「「「「「オオオオオゥ!!」」」」」
「突撃ぃぃぃぃ!!」
「「「「「オオオオオゥ!!」」」」」
えっ?!スキルってなに?!
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