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7話:イベントキャラ登場

1週間ぶりの投稿です。


少しゲーム要素を増やそうと思い書きました。

今話も宜しくお願いします。


ブックマーク登録してくれたユーザー様ありがとうございます。

本当にありがとうございます!

もちろん登録はしていないけど、読んでるよって方もありがとうございます!

今話もぜひお読みください。

7話:イベントキャラ登場



「よくわかりましたね。刀で頭一杯のところ申し訳ないんですが、武器と装具の依頼です」


「武器と装具?とりあえず聞かせろ」


「近々、師匠の仲間がこちらに移住してくると言ってましたよね?」


「お前の評判を聞いたのと、オレが今手掛けている刀について非常に興味があるからってことでこっちに住むことを決めたあいつらか」



「そうです。ここで聞いたことや技術に関して、そして売買に関しては私に権利・権限があり秘密にするという条件で移住と製作を承認した件です」




刀の技術はそう簡単なものではない。むしろ非常に難しい技術だ。しかし、今この技術を他国に漏らすことは不利益しか生じない。




その他にもこれから依頼する装具に関しても同じことが言える。作るのは問題ないが、それを漏らしたり売買するのは現時点では得策ではない。




一気に、戦力が変わってしまうことになりかねないからだ。




「あぁ。そこまでやるか、と最初は思ったが刀の話を聞いたあとなら仕方ないと思ったからな。あぁ、それ関係の装具ってことか?」




「そうです。仲間たちが来た後で構いません。これとこれを作って欲しいんです」





そういって、オレは図面を2枚渡した。この図面の1枚は刀の1種である「太刀」だ。種類で言うと斬馬刀が近いか。




「太刀」とは刃を下向きにしてるのが特徴で、馬上合戦用で馬上から斬りおろすことを想定しているともいわれ、反りが強く深い。



逆に「刀」は徒戦用に作られたものだ。今後、馬上戦を視野に入れるためにも太刀が必要と判断した。ただ刀と言うよりも剣と言ったほうがいいのかもしれない。



太刀は日本だが斬馬刀は中国が発祥と言われている。馬上戦は切れ味よりも制圧力がモノを言うからな。



もう1枚は馬具である「鐙」と「鞍」だ。



馬具は、人が馬を自在に操るために、馬の体に装着する道具のことだ。



「鞍」は、馬の背に乗せることで、人の体と馬の背骨部分が擦れることなく、安定して騎乗することができ、


鞍の左右に吊り下げ、騎乗するときや、乗っているときに足を乗せるための道具が「鐙」だ。



これがあるのとないのでは、馬の操作精度が段違いだ。



現在も鐙のようなものはあるが、あくまでも騎乗するためだけの代物だ。なので今回はしっかりと馬の装具を作ることにしたのだ。



どうせ遅かれ早かれどこかの国が開発するだろうからな。先んじて、うちが開発して資金をガッポリと稼がせてもらう。



その為にも、うちで量産体制が作れるようにしておく必要がある。特に材料に関して、馬がストレスを感じない材質の物を確保しておかなければ。




この2枚の図面を食い入るように見た師匠の手はワナワナと震えていた。



「なんじゃこりゃあ!とんでもねぇ物だな!くぅ...腕が鳴るぜ!」



どうやら気に入ってくれたようだ。



「これから冬が到来しますから、作成期間は来年の春、今から半年後です。それまでに馬に合う装具を完成させてください。

太刀に関しては切れ味よりも頑丈さに重きを置いてください。これも半年後までにお願いします」



「任せろ!鍛冶仲間が5人。弟子たちも含めればその倍以上は来るだろうからな。半年後までに上等なものを作ってやる」




「期待してますよ師匠」




そして鍛冶屋から出て、そのまま街を散策しながら邸へと帰ろうとした時、一人の男が目に入った。



あちらも俺をみている。するとその男はこちらに近づいてきた。如何にも旅人という出たちの男だ。



何処かで見たことがある気がするんだけど、何処だったか思い出せないんだよな。



そうこうしているうちに、その男が俺の前までやってきた。



「貴殿がコウジュン殿で間違いなかろうか?」



「そうだが...どなたでしょうか?」



「拙者、旅の武士でござる。強きものと戦うことを至上の喜びとして、放浪しておりまする。拙者と立ち会っていただきたい。

そなたが勝てばある物をお渡ししよう。しかし、そなたが負ければお命頂戴いたします」



この喋り方...セリフ...思い出した!ゲームの登場キャラだ!名無しの侍、通称『抜刀侍』。



ゲーム内最強のイベントキャラ!勝つと新たな能力を得ることができるようになるが、負けるとキャラ全損ゲームオーバーというバランス崩壊のイベントだ。



数多のプレイヤーが挑んだが、誰も勝つことが出来ず、無理ゲーと運営に苦情が寄せられたほどだ。



このイベントキャラが登場するのは完全にランダムで会う人は会うが会えない人は全く会えないのだ。



かくいうオレも会えない人の一人だった。me.tubeにプレイ動画をみんなが上げているのを見ていただけだったから、すぐに思い出せなかったということだ。



そんなイベントキャラが俺の前に現れた。そうだったこの世界、ゲームを基にしているんだった。現実味がありすぎて忘れてた。



さて、このイベントを受けるべきか受けざるべきか...受けなかった場合、抜刀侍は二度とそのプレイヤーの前に現れることはない。



受けて負けた場合はどうなるのか。ゲームオーバーということで現実に戻るのか?それとも死ぬのか?リタイア扱いでレベル1からということではないだろう。



キャラ全損はそのキャラがホントに無くなるからだ。





ただ、迷うことはなかった。何故なら会いたくて会いたくて仕方なかったからだ。一人の武人としてゲーム内最強と謳われた人物と戦ってみたかったのだ。



それが今、目の前にいる。断るという選択肢は元からないのだ。




「その申し出、受けよう!ただし...お互いの武器は使わず、同等の武器にて、己の持つ技量で立ち合いをしませんか?」




「ほぉ。武器の性能に頼らず、技のみで拙者と戦うということか?よろしいのか?」




「えぇ。それにちょうど、お互いが持っている得物に近いのをあそこの鍛冶屋が打っています。その失敗作から2本頂戴して勝負といきましょう」




「かしこまった」




・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・




「これがその2本です。確認を」



師匠から譲ってもらった刀擬き2本を抜刀侍へ渡す。刀を抜き刀身を見る。



「確かに刀としては未熟。しかも刀としての切れ味はなくナマクラと言ってもいいほどの失敗作ですね。しかし打ち手の魂が込められている良い武器だ」




散々な言われように師匠はガックリしているが最後の言葉によって立ち直ったようだ。




抜刀術同士の戦い、一振りで勝負は決まる




対峙して分かる。こいつは強い。だが勝つ自信はある。なにせ相手の武器が自前ではないからだ。どう見てもあの刀は業物だからな。




互いに一本持ち、刀を振れば斬れる間合いで構える。さて...勝負は一瞬!





気持ちを落ち着かせる。



【明鏡止水/一意専心】



明鏡止水:心が清く澄み切って邪念のない心境



一意専心:他に心を動かされず、ひたすらに一つのことに集中する



明鏡止水で心を落ち着かせ、一意専心で研ぎ澄ませる。




・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・



「居合抜刀術参る!」


シュッ!


「高城流抜刀術-蒼雲-」


シャッ!




キンッ!



・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・



「見事」



抜刀の速さは、ほぼ互角。しかし刀が折れたのは抜刀侍のほうだった。



勝負は俺の勝ちだ。



「さすが、今話題となっているコウジュン殿だ。まさか拙者が負けるとは思いもしなかった。それでは約束通り贈り物を進呈しよう」



さて、何が貰えるのか?抜刀侍が懐から出して渡してきたのは1枚のカードだった。



俺はそのカードを受け取り見てみると、そこには【眼】のマークの絵と、その上に【鑑識眼】と書かれ、下には説明文のようなものが書かれていた。



その説明文には【人の能力を見極める眼を持つ。この能力は眼に力を込めることで任意に発動することが可能】と書いてあった。



そして読み終わるとカードが光り輝き、光が無くなるとカードは残っていなかった。



これは【鑑識眼】という能力が俺自身に宿ったということでいいのか?ちょっと抜刀侍に試してみる。



【ステータス】


名前 :七趾


レベル:99


役職 :イベントキャラ


タイプ:侍


所属 :栄光GAMES


武勇=S 知略=S 統率=S


得意武器=刀 得意兵科=歩兵



なんと人物の横にステータスが現れたのだ。名無し侍の名前は七趾なのね。読み方は合ってたんだな。



というか、レベルカンストなのね。しかも全部最高ランクのSだし。これだけ見ると良く勝てたな俺...



でもこれは便利だな。この能力を使えば、兵科や部隊長の選別が楽になる。



「それともう一つ。初回撃破ボーナスとして、拙者の刀を進呈しよう。銘は『正宗』。逸品の一振りだ。そなたこそ持つに相応しい」



まさかの名刀『正宗』。自前の武器だったら確実に負けてたわ。そりゃあ普通にやったら勝てんわな。



ちょい前の俺自身を褒めてあげたい。よくやった俺!




そして刀を譲り受けたが、しっくりする。まるで元々、自分の物だったかのような気さえする。



今なら100人なんて軽く斬れそうな気がする。そこだけ聞くとヤバい奴に聞こえるな。



ふと顔を上げると七趾の姿はもうそこには無かった。

本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、


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