14話:陞爵&軍閥
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14話:陞爵&軍閥
ゴーン!
「一同拝礼!女王陛下の御入殿である」
バッ!ババッ!
「これより論功行賞を始める!」
オォォォォォ!
「女王陛下、よろしくお願い致します」
女王陛下がその場で立ち、我々一同に話しかける。
「此度のダンク国との再戦、そして勝利したこと、誠に嬉しく思う。皆の者、大儀であった!」
オォォォォォ!
「マクミラン宰相、始めてくれ」
「ハッ!ではまず此度の戦争遊戯、第一功を発表する・・・第一功・・・見事勝利に導いた総大将ライセン辺境伯!前へ」
オォォォォォ!
当然総大将が第一功になるのは日を見るより明らかだ。
「ライセン辺境伯、此度の戦争遊戯、見事であった!辺境伯には金貨500枚と土地を与え、更に準貴族任命権1名分を与える」
「ハッ!ありがたき幸せ!」
準貴族任命権とは自分の配下に一代限りの貴族の地位を与えることができる権利である。
これにより、軍閥強化を行うことができる。本来貴族の世界は階級がモノをいう世界だ。
しかし、配下に準貴族が増えると、国内での発言力が大きくなり国政に口を出すことが容易となるのだ。
例えば同じ辺境伯でも配下の準貴族の数が多い方が発言力が大きいといった具合だ。
あくまでもレベルに応じた貴族位となる。例えばレベル30の部下に貴族位を渡すと、その者は準男爵級と称されるのである。
こちらも戦争遊戯でリタイアしレベルが1になれば準貴族位も返上される。
「これでライセン辺境伯は王国内の貴族で1番発言力が高くなったな」ボソッ
そういうのはキースだ。なんでも今回の論功行賞前までの順位は辺境伯は侯爵と同列だったということだ。しかし準貴族の数が今回の褒賞でライセン辺境伯の方が多くなったのだ。
そういえば公爵は出てこないのかと疑問に思った。前回も今回も参加していなかった。それは相手国もだが。
だがその理由は簡単だった。我が国もダンク国も公爵は現在空席なのだ。もちろん大国や強国と言われている国には存在するが、むやみやたらに出兵はしないらしい。
万が一倒された場合、一気に国力が低下するためだ。うちもダンク国も前々回の戦いで公爵同士の相打ちで失ったということだ。
元公爵は現在は一兵卒として戦っているらしい。なんか大変なんだな。話は戻る。
辺境伯が戻り、宰相が続きを喋る。
「では次に第二功を発表する・・・第二功・・・数的不利の中、自ら策を考え、それを軍略とし、更に寡兵で伯爵一人、男爵一人を討ち取った功績は第二功に相応しいと言える。・・コウジュン騎士爵!前へ」
オォォォォォ!
~なんと騎士爵が伯爵と男爵を討つとは~
~コウジュンとは前回の戦で騎士爵になった者か~
~今回のあの鮮やかな軍略はあの者が考えたのか~
前回に比べて、好意的な声が増えたようだな。戦に参加していない者が異議を唱えても陛下の反感を買うだけというのを前回で思い知ったのだろう。
オレは陛下の前で膝をついた。
「コウジュン騎士爵、そなたは我が国の騎士としてその名以上の功績を上げて見せた。武勇も知略も驚くべきものだった。これからもそなたの活躍を楽しみにしておるぞ!」
「八ッ!ありがたき幸せ!」
「うむ、騎士爵には金貨300枚とレベルが30になったということで準男爵へと昇爵させることとする」
オォォォォォ!
オレは元いた場所に戻るとキースから声が掛かる。
(準男爵か、もう並ばれてしまったな。おめでとうコウジュン)
(ハハッ、ありがとう)
「続いて、第三功を発表する・・・第三功・・・中央軍が敵総大将を倒すまで数的不利の中、粘り強く守り勝利へと貢献した左軍大将、アリオン伯爵!前へ」
「そなたには・・・・・・・」
こうして今回の論功行賞は何事もなく終わりを迎えた。
その後、辺境伯に呼ばれていたオレとキースは辺境伯が待っていると言われている執務室へと向かったのだ。
コンコン
「入れ」
ガチャ
「「失礼します」」
オレたちが中に入るとそこにはライセン辺境伯、アリオン伯爵、オーリス子爵、ルミオン男爵、ガイア準男爵、ポンテ騎士爵、ランド騎士爵、ウィル騎士爵という今回の戦に参加した面々がいたのである。
「全員揃ったな」
そういうのはライセン辺境伯だ。辺境伯はそのまま話を続ける。
「皆お疲れだった。今回、皆を呼んだのは今回の論功行賞で私がプロヴァンス国内の貴族の中で発言力が一番強くなった」
一番になった宣言だな。これを聞いたオレ以外の者たちが一斉に頷いた。今回参加したこの人たちは辺境伯派なんだろう。
「滅亡待ったなしの我が国が首の皮一枚いや二枚になったのは皆のお陰だ。しかしこれからもダンク国は攻めてくるだろう。
また返り討ちにしてやると言いたいが、そんな簡単なものではないだろう。やつらも馬鹿ではない」
それはそうだろう。次は対策もしてくるのが目に見える。ぶっちゃけ、兵力の差を生かして全軍突撃されていたら負けていたのは明らかだ。
まぁ開戦時に仕掛けたからこそ、それはないと言いきれたんだけど。
「発言力が強くなったおかげで軍備増強のための予算も多くこちらに入ってくることになる。そこで、お前たちには今後、正式に私の軍閥に入ってもらおうと思う」
軍閥とは、戦争遊戯の際、出陣できる貴族を指定することだ。
兵動員数は爵位によって変動し、また出陣できる貴族位にも上限が定められているのは前回説明した通りだ。
騎士爵なら最大4名:兵動員数各 100人:合計400人
準男爵なら最大2名:兵動員数各 300人:合計600人
男爵なら最大2名:兵動員数各1000人:合計2000人
子爵なら最大2名:兵動員数各2000人:合計4000人
伯爵なら最大1名:兵動員数 3000人
侯爵なら最大1名:兵動員数 5000人
辺境伯なら最大1名:兵動員数 5000人
公爵なら最大1名:兵動員数10000人
合計3万人と決められている。
軍閥に入るということは軍の総大将が、この貴族は我が軍に必要である人材だと認めたことになるのだ。
貴族に取って大変名誉な事なのである。また軍閥に入ると、貴族位に応じて支援金を貰うことができる。
この支援金は軍閥大将である辺境伯が出すものであるため、おいそれと軍閥に入れない理由の一つだ。
もちろん軍閥に入った貴族は軍閥大将の戦争遊戯召集命令には絶対参加という条件が付けられるが、そんなものはデメリットにはならない。
この軍閥に入る入らないは自由だ。今回、辺境伯がオレたちを集めて軍閥へと勧誘をしている。それにイエスかノーで答えるだけだ。
既にアリオン伯爵とオーリス子爵はライセン辺境伯の軍閥へと入っている。
「「「「ありがたき幸せ」」」」
ルミオン男爵、ガイア準男爵、ポンテ騎士爵、ランド騎士爵、ウィル騎士爵は、すぐにイエスという返事を返した。だがオレとキースは返していない。
それを見たアリオン伯爵がオレとキースに話しかけてきた。
「キースウェル準男爵、コウジュン準男爵、どうした?何か不満でもあるのか?」
この場にいる全員がオレとキースを見る。するとキースが辺境伯に問いかけた。
「閣下。閣下はこの国をどうされようと思っているのでしょうか?」
「私は陛下の盾だ。最後まで陛下をお守りする!ひいては国を守ることを考えている」
辺境伯は詰まることもなく堂々と宣言した。この言葉に嘘はない。そう感じた。それはキースも同じようだった。
「閣下、ありがたき幸せ」
キースもイエスと答えた。残りはオレだ。全員がオレを見ている。すると伯爵がオレに問いかけてきた。
「コウジュン準男爵、貴公こそ軍閥に入ってもらいたい。それはここにいる全員が思っていることだ」
伯爵の言に全員が頷いている。
「先の戦も貴公が我が左軍に空いた穴を瞬時に塞いでくれたおかげで勝利したのだ。その武勇・軍略の才を閣下の軍閥で発揮してもらいたいのだ」
入るのは、やぶさかではないから良いんだけど、一つだけ確認しておくかな。
「閣下。もし閣下の行く道が、私の行く道ではなかった場合、軍閥からの離脱は問題ないですか?」
オレのこの言に周りがざわつくが、辺境伯は意に介していないように笑って答えた。
「もちろん問題ない。同じ道を歩き続けたいが、人それぞれ立場や考え方も違ってくるだろう。それまでは一緒に動いていこうではないか」
「閣下、ありがたき幸せ」
こうしてオレたちは軍閥へと加入するのだった。
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