11話:開戦
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11話:開戦
ダルク国の陣容は昨日、コウジュンたちが軍議で予想した通り、中央が10000。左右に5000ずつの陣容だった。
~ダルク国視点~
そしてダルク国からみたプロヴァンス国は理解しがたい陣容だった。
「なに?!敵右翼は1000人ほどだと?」
「ハッ!物見の報告だと、敵軍は総勢約12000、中央が8000、左翼3000、右翼1000とのことです」
「人数差があるからの奇策に打って出たのであろうが、右翼から攻めてこいと相手が言うのであれば、攻めてやろうではないか!」
「しかし、タラント辺境伯。あの右翼の数、あきらかに罠があるはずです!」
「ふん!そんな罠など関係ない!こちらの左翼は5000、あちらは1000足らず、罠など物量で凌駕すれば問題ない」
「そうであろう?我が勇猛なる戦士諸君?」
「「「ハッ!その通りであります閣下!」」」
「前回はバカな指揮官が余計な小細工をして失敗したが、私はそんなことなどしない・・・右翼から殲滅し、続いて左翼を撃破、最後に中央を撃破して、この戦を終わらせる!左翼進軍!!」
「ハッ!左翼進軍だ!」
~コウジュン視点~
「コウジュン様、敵左翼進軍してきました!その数約5000!」
始まったか・・・ポンテ・ランド・ウィル騎士爵の方も準備は大丈夫そうだな。うちの隊は・・・緊張しているな。これがデビュー戦だ。ある意味仕方ない。
ここは激でもして、奮い立たせるとしますか。
「さて・・・ロンド騎士爵隊よ!この戦の狼煙をあげるのは我が隊だ!領を守るためにはこの戦、負けられない戦いだ!
日々の訓練を思い出せ!この戦いよりも辛い訓練を!それに比べればこの戦、なんと簡単なものか!敵に思い知らせてやれ!行くぞ!」
オオオオオオオオオゥゥゥ!!
敵左翼は5000のうち1000を先行させ崖方面へ向かってきている。
また敵兵種はすべて歩兵。騎馬隊は恐らく中央に集めているようだ。騎馬は金が掛かるからな。こちらの馬は後ろに下がらせてる。騎乗じゃ戦いにくいからな。
「コウジュン様!敵軍、崖に入ったと後方より報告ありです」
後方で控えている騎士爵に丘高い場所から全体を見て、敵が崖に侵入したら旗で知らせるよう、事前に打ち合わせをしていたのだ。
「よし!我らはこのままこの道を進むぞ。敵が来たら、そのまま倒しながら前進する!」
「「ハハッ!」」
ドドドッ
ドドドドドッ!
敵の走る音が大きくなってきた。
「来るぞ!各自戦闘用意!・・・・・・・・・・・・・・・・・来た!隘路まで押し込めーー!」
オオオオオオゥゥゥッ!
「キースウェル準男爵、コウジュン様の部隊が接敵したようです。既に騎士爵軍は動き出しております」
「よし、我らも動くぞ!騎馬隊を先行させ蓋をする。歩兵隊も急がせよ!」
「ハッ!」
「頼むぞ・・・コウジュン!」
~ライセン辺境伯視点~
「閣下、右翼始まったようです」
話しかけてきたのは私を長年支えてくれている副官だ。
「そのようだな」
「果たしてうまくいくのでしょうか?」
「いかなければ、我が軍が負けるだけだ。だが、この戦いに勝利すれば、ダルク国の肥沃な土地を一つ削ることができ、前回の戦に続いて二軍を失うことになる。そうすればダルクもすぐには次の戦を始められないだろう。その間にこちらは内の整理に時間が取れるようになる」
「左様ですな。この戦に勝てば、および腰の者たちも態度を変えてくるでしょう。贅沢をいえば、あのコウジュン騎士爵を準男爵へと陞爵させたいですな」
「さすがに、今回の戦だけでは無理だろう。確かレベルは21だったはずだ。そのためには敵左翼の貴族連中を悉く打ち倒す必要がある。それも最低でも準男爵以上で複数のな」
「しかし閣下、確かあの者は、先だっての戦でレベル1からいきなり21になった男ですよ。もしかしたら・・・」
そうだった。あの者は1戦でレベルを20も上げた男だった。レベルが上がれば上がるほど、功績をあげても上がりにくくなる。
でも、レベル30ほどであれば、この戦次第ではわからないかもしれない・・・。それにそれほどの活躍をしてもらわないと、この戦に勝つのも難しい事実だ。
「期待していよう」
~コウジュン視点~
「ハァーッ!」
ザシュッ!
ズバッ!
「槍兵!前進!突けぇぇ!」
オオオゥゥゥゥ!
「剣兵!槍兵が開けた場所から前進!」
ザシュッ!
ズバッ!
「盾兵!押し込めぇ!」
ドガッ!
バキンッ!
今回連れてきた兵種は槍20、剣20、盾10だ。狭い道だからこそできる戦術、初手で損害を出すわけにはいかないので二人一組で敵に当たらせている。
槍兵で敵を先制し、剣兵で広げ、盾兵で押し込む。訓練で連携をしっかり取っているのと、相手が思った以上に弱いため、こちらは軽傷者はいるものの損害は0だ。
同じ戦術を繰り返していると、大きな道が見えた。”隘路”だ。
「見えたぞ!このまま押し込め!」
オレのその言葉に兵たちは士気をあげ、敵を押込んでいった。
「コウジュン様!入口確保しました!」
「コウジュン様!後方より味方騎馬隊が現れました!」
ナイスタイミングだ!
「騎馬隊の道を開けろ!そのまま隘路を塞いで他の隊と挟撃する!」
「キースウェル様、敵後方、混乱しているようです」
「良し、作戦通りここにいる部隊を撃破する!続けぇ!」
「ガイア様!敵後方に乱れがあります!」
「良し、こちらも動くぞ!進めー!」
「コウジュン様!各道から敵が押し寄せてきています!」
「キースたちがうまくやってくれたようだな」
「よし!ダメ押しだ!この部隊を纏めている敵将を探せ!見つけたらオレに知らせるんだ!」
「コウジュン様!恐らくあの者かと!」
カールがオレに向かってある方角を指さす。そちらを見ると、指示を出し檄を飛ばしている男が目に入った。
オレはカールとレスターに部隊を連れて付いてこいと言い、敵将のところまで突っ走った。
「貴様は誰だ?!私はダルク国、ハイレン男爵である!」
「オレはプロヴァンス国、コウジュン騎士爵だ。悪いがあなたを倒させてもらう」
「抜かせ!私の槍の錆にしてくれるわ!ハァーッ!」
「踏み込みが甘い!それじゃあ、懐ががら空きだ!」
敵が槍で突いてくる!が、オレは敵の突きを躱しながら相手の懐に入り、袈裟斬りで敵将を屠る。
ザシュッ!!
グハッ・・・・バタンッ!
敵将が倒れたのを確認したレスターが周りに聞こえるよう喧伝する。
「敵将ハイレン男爵を、プロヴァンス国、コウジュン騎士爵が討ち取ったぞーーー!!」
オオオオオオゥゥゥッ!
ワアァァァァッ!
「プロヴァンス国、全隊!ここの部隊を殲滅せよ!」
「キースウェル様!どうやらコウジュン騎士爵が敵軍の男爵を討ち取ったようです!」
「あぁ、この歓声はそのようだな。よし!敵軍は指揮官を討ち取られて浮足立っている。殲滅するぞ!」
「ガイア様!この歓声は?」
「どうやら、コウジュン殿がやってくれたようだな!この流れのまま敵を屠るぞ!続け!」
~ダンク国左翼視点~
「急報!ハイレン男爵討ち死に!討ち死にでございます!」
「なんだと!?」
「ハイレン男爵討ち死にし、配下1000人も壊滅とのこと」
「なぜそうなった!?」
「崖の中に数本の道があり、兵力を分散し突入したところ、そのうちの1本から敵軍が押し寄せてきて、男爵が討ち取られたとのことです」
「兵力を分散させるなど、バカがっ!準男爵軍以下1000を向かわせろ!今度は戦力を分散させず突破せよと厳命を出せ!」
「ハッ!」
「まったく、ハイレンのバカが!功を焦りよって・・・」
「行くぞ!我ら準男爵軍であの崖を突破する!続け!」
オオオオオッ!
ザッザッザッザッ・・・
「準男爵様!見えました!敵軍です。数はおよそ300。後退しているようです」
「よし、敵軍が後退している中央の道をそのまま進む!他の道には目もくれるな!走れ!」
ザッザッザッザッ・・・
「行けぇ!あちらは先ほど1戦している。こちらのほうが速く動けるぞ!進め進め!」
「準男爵様!間もなく崖を抜けます!」
「良し!崖を抜けたところで、あの300を倒し、そのまま敵右翼を撃破していくぞ!
「ハッ!・・・・抜けま・・・えっ!?」
「どうし・・・た!?・・・」
ダルク国、準男爵軍が崖を抜けきったその時、目にしたのはプロヴァンス国の騎士爵軍300人が崖の出口を囲むように陣取っていたのである。
ダルク国の軍は道を通っていたため、軍は縦に長くなっており、さらに抜けた際には隊列はバラバラになっていたため、すぐさま反応することが出来なかった。
隘路の先で敵を見つけ、追っていたら、その出口で待ち構えられていたのだ。すぐさま反応できるほど、準男爵は戦に長けてはいなかった。
~コウジュン視点~
「弓兵!構え!撃てぇー!」
ヒュンッヒュンッヒュンッ!
ヒュンッヒュンッヒュンッ!
「槍兵!前進!突けぇぇ!」
オオオゥゥゥゥ!
「剣兵!槍兵が開けた場所から前進!」
ザシュッ!
ズバッ!
「盾兵!押し込めぇ!」
ドガッ!
バキンッ!
「敵は一気になだれ込めない!出口にいる敵を討ち続けろ!そうすれば敵後方から味方が挟撃してくる!」
コウジュン騎士爵が出口にて敵前線を返り討ちにしている時、敵国の準男爵が率いている他の騎士爵家たちは崖後方から進んでいた。
だが急に前が止まったことで前で何があったのか?それを把握するため兵に様子を確認するよう指示を出していた。
まさにその時、無視をしていた他の道からそれぞれ300ほどの敵部隊が襲ってきたのである。周りを崖で囲まれて身動きが取れない中、挟撃を受ける形になり、為すすべなく壊滅したのである。
こうして、敵左翼5000のうち2000があっという間にいなくなったのである。プロヴァンス国右翼の被害は950のうち、200人が退場。
10倍の損害を与えたことで彼我の戦力差はプロヴァンス国11750VSダルク国18000となった。
そして次の手でさらに戦力差は縮まるのであった。
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