03 席替え
ちょっと短いです、申し訳ありません。ブックマーク・感想・評価等本当にありがとうございます。
入学から一か月程たったある日、席にぼーっと座り朝のホームルームが始まるのを待っていると真田先生が扉を開き入ってきた。先生は教壇に立つなりこう言った
「いきなりだが、今から席替えをするぞー。」
教室は先生のその一言で一気に盛り上がった。授業中いきなり当てられるという恐怖から解放されるからか、最前列に座る連中の熱気は桁違いだった。比較的後ろのほうの席であてられることに対してそれほど恐怖を感じていなかった俺は、それほどうれしい話ではなかったが今度も後ろのほうになれたらいいなーぐらいで考えていた。すると、前の席に座る伊佐敷が振り向き
「井上君!席替えだって!」と嬉しそうに言ってきた。
「ああ、そうだな。後ろのほうの席になれたらいいな。」
「ええー!?なんでそんなにテンション低いの?楽しみじゃないの?」
「まあな。別にこの席でよかった。」
「そうなんだー・・・」(そう言われちゃうと私もこの席のままでよかったかも。井上君とも近くだし・・・そっか、よくよく考えたらくじの結果によっては井上君と離れ離れになっちゃうのか・・・そうなったらやだな・・・)
「そうそう。ん?どうした?」
「へっ!?ううん。何でもないよー。ちょっと考え事してただけ!」
そんなことを伊佐敷と話していると、俺たちが気が付かないうちに話が進んでいたようでくじを引く番がやってきた。緊張した面持ちで伊佐敷が引き、それに続いて俺も引く。すぐに伊佐敷がこちらを向き
「井上君!いっせーのでで開けない?」と言ってきた。
「はいよ。じゃあいくぞ」
「うん!」
「「いっせーので」」
「えーっと、私は15番だったよ!井上君はっ!?」(神様お願いします!!どうかっどうか、井上君と近くの席にしてください!)
「えっと、俺は38番だな」
「えっ・・・!?うーん・・・、近くの席ではなさそうだよね・・・」
「そうだな、普通に考えてほぼ正反対の位置っぽいな。」
「やっぱり・・・」(はぁああ・・・。井上君と近くの席がよかったなぁ。こんなことになるなら、今のままの席でよかったよ・・・)
「どっ、どうした?いきなりテンション下がって。大丈夫か?」
「ウン。ダ、ダイジョウブダヨ」
「おいおい!片言になってるぞ!本当に大丈夫か?」
「う、うん。だいじょうぶだいじょうぶ!心配してくれてありがとう」(うっ、井上君の優しさが心の傷に沁みる・・・)
とそんな俺の席替えの結果を聞きなぜか傷心状態になっている伊佐敷を心配していると真田先生がおもむろに口を開きこういった。
「くじは全員引き終わったな。今から席の番号を書いた表を貼るからそれを見て移動してくれ!ちなみに番号はランダムになっているから間違えのないように!」
先生のその言葉を聞いた瞬間、伊佐敷は勢いよく顔を上げその表を食い入るようにして見つめた。そして、満面の笑みで表を指さしながらこう言った。
「井上君!!!みてみて!私たちの席、隣同士みたいだよ!!」
伊佐敷のその言葉に驚いた俺は、伊佐敷の指さしたところを見てみた。確かに15番と38番が隣り合って並んでいたのが見えた。
「おお、こんな偶然ってあるんだな。驚いた。」
「うんうん!こんな偶然ってあるんだね本当にうれしい!これからもよろしくね!」
「ああ。迷惑かけるかもしれないけどこちらこそよろしくな」
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表を確認しながら席へと向かうとその席は、なんと窓際の一番後ろの席だった。いわゆるアニメやラノベの主人公が座っている席である。そして、その隣には学年一の美少女と呼び高い伊佐敷というなんとも幸運に恵まれた席である。席に座るなり周りはどんな連中なのかと辺りを見回してみると、学年一のイケメンこと大石は伊佐敷のとなり、典史・遠藤は隣同士で遠藤が俺の前、典史が伊佐敷の前と見知った顔がそろい踏みしていた。伊佐敷は大石と遠藤と近くになれたのがよほどうれしいのか先ほのテンションの低さが嘘のように見違え明るいいつもの伊佐敷に戻っていた。俺はと言えば、典史が近くにいることでとりあえずボッチ飯は回避できそうなことに安堵しつつもクラスの中心的な人物に周りを囲まれていることに気づき落ち着かない気持ちでいっぱいだった。
今回のお話はいかがだったでしょうか?やっとタイトルを回収できました。次話からは本格的に隣の席編となります。そして今まで以上に恍の鈍感力が発揮される予定です!次話もよろしくお願いいたします。レビュー・感想・ブックマーク・評価等していただけると嬉しいです。次話でお会いできることを楽しみにしております。