01 入学式
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前の席の美少女こと伊佐敷唯は、俺に挨拶した後友人と思われる女子生徒の方へと話をしに行ったようだ。
俺はと言えば、
(驚いた。まさかさっきの子が俺の前の席だったとはな、しかも俺みたいなやつに挨拶してくれるなんて。まあそれも今日だけかもしれないけど)
などと挨拶されたことに驚きながらそんなことを考えていた。
すると、中学時代の同級生と話し終えたのか典史が向かってきているのがみえた。若干驚いているのかあちこちの机にぶつかりそのたびに謝りながらながらこちらへとやってきた。
「おいおい!まさかあの子と同じクラスになるなんてな!俺ってツイてるぜ!ていうかさっきまでどうでもいいって言ってたのにいきなり話しかけるとはどういうことだよ?」
の典史想像以上の喰いつきに若干引きながら答える。
「そんなんじゃねぇよ。ただ向こうが挨拶してきたから返してただけだ。それと名前は伊佐敷唯って言うらしいぞ」
「唯ちゃんか、いい名前だな。彼女にしたいなんて贅沢なことは言わないから友達くらいにはなれねぇかな?」
「そうだなー。一言だけだったけど感じのいい子っぽかったしお前ならすぐになれるんじゃないか?」
「本当か!じゃあ俺も自己紹介してこようかなー」
「おう。これからよろしくぐらい言ってきてもおかしくはないだろ」
「それもそうだな!ちょっくらいってくる!」
と言って典史は伊佐敷に声をかけに行った。あいつの、知らない相手にも物おじしないところは素直にすごいと思うし見習っていきたいところでもある。そんな風に典史に感心しながら待っていると、伊佐敷と挨拶し終わったのか典史がこちらに戻ってきた。
「唯ちゃん想像以上にいい子だったぞ」
「それはよかったじゃないか。で、友達にはなれたのか?」
「おう!ばっちりだよ。それと、今唯ちゃんと話してる子は遠藤小雪ちゃんって言って唯ちゃんとは中学の時からの友人らしい。あの子もかわいいだろ!」
典史に紹介された遠藤小雪という女子生徒の方を見てみるとなるほど、典史の言う通りかなり整った目鼻立ちをしている。伊佐敷が美少女だとすると遠藤はゆるふわな可愛らしい感じだ。
「よかったじゃないか。入学早々あんなかわいい子たちと知り合いになれるなんて」
「だよなー!同じクラスでラッキーだったぜ!」
などと典史と話しているとおもむろに扉が開かれ一人の男性教師が教室に入ってきた。
「よーし。自分の席に座れー」
先生のその一言で教室に散り散りになっていた生徒たちは一斉に自分たちの席に戻り、全員が席に座ったのを確認してから
「今日から一年間このクラスの担任をすることになった、真田雄介だ。よろしく頼む。早速だが体育館で入学式を行うので男女別で名簿順に廊下に並んでもらう」
と言った。
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真田先生の指示に従い廊下に整列した俺たちは、前のクラスの後ろに続いて体育館に入場することになっていた。出席番号が前後の俺と伊佐敷は幸か不幸かこの並び方だと隣になっていた。伊佐敷は手持無沙汰だったのか俺に話しかけてきた。
「確か井上君だったよね!さっきも言ったけどこれから一年間よろしくね!」
いきなり話しかけられたため驚き、答えるのに少し時間がかかったが
「ああ。こちらこそよろしくな伊佐敷」となんとか答えられた。
「名前覚えててくれてたんだ!うれしいな!そういえば井上君って関口君と友達なんだよね?」
「まあそうだな。幼稚園からずっと一緒ないわゆる腐れ縁ってやつだ」
「そうなんだ、いいなー。そういう関係の人がいて。私は幼馴染とかいないからそういうのにはすごくあこがれるなー」
「そうか?そんないいもんじゃないぞ。お互いのことを知りすぎてるってのも」
「ふーん。まあ、そういうところはないものねだりみたいなところもあるしどっちもどっちだよね!」
「いえてるな、その通りだと思うよ。おっ、俺たちが入場する順番が来たみたいだな。まあ、お互いこれからの高校生活楽しんで頑張ろうぜ」
「うん!そうだね!」
そう言い合い俺と伊佐敷は並んで体育館へと入った。座る席は通路を挟んで男女別となっているのでそこで伊佐敷とは別れ指定された席に座った。しばらくの間眼前でつつがなく行われる入学式をボーっと眺めていると俺の耳にこんな言葉が飛び込んできた。
「新入生宣誓」
典史いわく、この学校では新入生宣誓は入試で最も良い成績のものがする決まりになっているらしい。そんなこともあり、学年一の秀才とはどんな奴なんだろうかと辺りを見回していると。
「はい!」と
大きな声が通路を挟んだ反対側つまり女子生徒の席からきこえた。声のしたほうを向いてみてみるとつい先ほどまで会話をしていた相手、伊佐敷唯が立ち上がったのが見えた。
(おいおいマジかよ、顔もよくてその上勉強もできるなんて。天は二物を与えずとか言った奴に文句言ってやりたい気分だよ)
と、このことわざを考えた人の愚痴を言っているうちに唯はステージ上に堂々とした足取りで上がりマイクの前に立った。そして惚れ惚れするような綺麗なお辞儀をした後宣誓を始めた。
「本日は、私たち20××年厚木高等学校新入生のためにこのように盛大な入学式を催して頂き、まことにありがとうございます。校長先生をはじめ、諸先生方ならびに来賓の皆様にも心より御礼申し上げます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上を持ちまして私の宣誓の言葉とさせていただきます。本日はまことにありがとうございました。 新入生代表 伊佐敷唯。」
新入生代表の宣誓を終えると体育館は割れんばかりの大きな拍手に包まれた。人の話を聞くのが苦手な俺でさえおもわず聞き入ってしまうほど完ぺきな宣誓に驚きが隠せなかった。
その後も式はつつがなく行われ「新入生退場」の言葉に合わせて、俺たち新入生は体育館を後にした。教室へ帰る途中の廊下では、伊佐敷の挨拶のことで話は持ちきりだった。俺はと言えば、伊佐敷はすごい奴だと思うと同時に俺とは住んでいる世界が違うんだなと改めて痛感していた。
その後は、教室に戻ってきた真田先生によって学校生活の基本的な説明を受け軽い自己紹介をした。そうして俺の入学式は幕を閉じた。
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