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異世界転移

はじめまして。蓬 もぎをといいます。

更新ペースは遅いですが、温かい目でみまもってくださるとうれしいです。

可愛らしい、いかにも女の子っぽい部屋で、俺は不安に押し潰されそうになりながらも目の前で申し訳なさそうにしている女の子を見ていた。





......どうしてこうなった。





「ほんっとうにすまない!僕のミスだ.....どうやら君は巻き込まれてしまったみたいなんだ。」




目の前にいる女の子は一応一つ世界を造り上げたすごい女神様らしい。そんな風には見えないといったら、自覚はしてるらしく「人には触れちゃいけない事があるんだ。」といわんばかりに、鋭い目つきで睨まれた。



彼女が言うには、俺が今いるここは神様のお部屋らしく(パステルピンクを基調とした部屋でやたらとリボンやフリフリしたものが多いけど、これも彼女の趣味なのだろうか)、俺は彼女が管理している世界で、いわゆる『勇者召喚』というやつに巻き込まれたそうだ。



なんでも、本当は異世界から生き物を召喚することは禁止していることで、過去に何度も召喚術を使おうとする人はいたのだが彼女が止めていたそうだ。



だが今回はちょうどゲームをしている時にそれが行われてしまったらしく、彼女も気づかなかったそうだ(何やってんだこの人)。何人か勇者召喚に巻き込まれた人はいたみたいだけど、急だったため助けられたのは俺だけだったらしい。




「本当にすまない!」




両手を顔の前で合わせて必死に謝ってくる女神様。自分のミスを謝るのは当たり前だけど、なんだかその様子は少し心が痛くなってくるな。



「いいですよ。とは言いませんが、巻き込まれてしまったのは変えられないですし.....とりあえず元の世界に返してくれればそれでいいです。他の召喚された方達には申し訳ないですが、やっぱり帰りたいですし。」




「ん?君は何を言っているんだい。」



急にキョトンとした顔になる女神様。



「はい?」



「元の世界に帰れないからこんなに謝ってるんじゃないか。とりあえず、君には僕が管理する世界に行ってもらうよ。あ、もちろん僕の加護をつけとくから行ってすぐ死ぬことはないから安心してくれ。」



「ちょ、ちょっとまってくれ.....意味がわからないんだが。」



「まあまあ、僕に助けられただけでも幸運だと思ってくれよー?もし君が勇者として召喚されたとしても、国に使われるだけ使われて最後は捨てられるのがおちさ。

てゆーかそもそも君は勇者じゃないからね。もっとひどい扱いを受けてたかもしれないんだぞ。」



自慢げに話す女神様だが、そもそも巻き込まれたのは女神様のせいなのに.....。




「はぁ....まあ、どうにもならないんなら仕方ないですね。」



俺はその場で項垂れた。



「おや?意外だね。もっと泣くなりパニックになるなりすると思ったのに、君は冷静だ。こうなった原因の僕が言うのもあれだが、もう君の住んでいた世界には戻れないんだぞ?家族や友人とも会えない。寂しくないのか?」



「うーん、そうですね。一人、もう一度会っておきたい人ならいますね。それ以外はあんまりですかね。いい思い出もあんまりないですし、 正直いってあそこから離れられて少し嬉しいです。」



女神様は少し考え込むと、ため息混じりに応えた。



「ほう.....まぁ深くは追求はしないさ。僕は君が住んでいた世界の神様じゃないからね。


それじゃ、これから全く知らない世界に行くわけだけど、心の整理はついたかな?」




全然怖くないわけでわないし、実をいうとめっちゃ怖い。でも、巻き込まれた事実は変わらないし、女神様が言ったことを俺は受け入れなければならない。もちろん前の世界に思い残したことはないと言われればたくさんある。



「心の整理ならついてる。それより俺がこれから行く世界はどんな所か知りたい。なんの常識もなく行くのはさすがにキツイものがあるからな。」



俺は立ち上がると、女神様に質問をした。彼女は「もちろん」と、これから行く世界のことについて説明してくれた。









「じゃあまずあっちの世界の常識からだね。」


「宜しくお願いします。」


話が長くなりそうだからと、椅子を用意してくれた。




「あっちの世界はさっきの話で察したかもしれないが、君がいた世界でいう『異世界』というやつだ。

まぁ、むこうにも色々な職業がある訳だが、君がいた世界には無かった『冒険者』という職業がある。


君も一度は小説や漫画とかで聞いたことはあるだろう?冒険者は冒険者ギルドへ冒険者登録をすればすぐなれる。仕事内容は簡単にいえば、届く依頼をこなしていくんだ。依頼人によって様々だね。


どうだ?少しは興味持ってきたか?」



少しニヤけた表情でたずねてくる神様。確かに冒険者という仕事は興味があるな。前の世界にもなかったし、向こうにいったらやってみようか....。



「ふふっ、どうやら興味を持ってくれたようだね。

まぁ、今は職業の話しかしてないが、他にも君がいた世界にはなかったものがあるんだ!物語に出てくるようなモンスター、エルフや獣人、ファンタジーの世界が広がってるんだ!


我ながらなかなか面白い世界を、作り上げたと思っているよ。もちろん、元の世界にあってこっちにはないものも沢山あるがな。」



楽しそうに話す彼女を見てると、少し不安な気持ちもやすらいでいく。



「って、もうこんな時間だ!すまないが時間がない。僕の加護は付けておいたから、すぐ死ぬ事は無いはずだ。


こっちへ来てくれ。向こうに転送する。」



俺は緊張した面持ちで彼女の元へ向かう。ついに行くのか。不安だが、こんな人生も悪くないかもしれない。





―――死ぬなんて言わないでよ。ずっとそばにいてくれるんでしょう?―――




頭の中で再生される。


「((ひつ)......。)」



「さあ、準備はいいかい?しっかりと僕の手を握っていておくれよ。」


神様の笑顔があの人と似てて、つい重ねてしまう。



「ああ、大丈夫だ。」



「それじゃあいくよ!!!」



瞬間、眩いほどのの光が俺の視界を埋め尽くした。


これから、俺の新しい人生が始まるんだ。人生なんてろくなもんじゃねぇとか思ってたけど、今度はそうならないといいな。


そのまま光は俺を包み込み、神様の姿がどんどんかすんで....






「あ、ミスった。」







「え、」


嫌な予感しかしない神様の言葉など無視して


俺は異世界へと旅立った。





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