~解題~ re;恋の地上で、ファイナル☆ウォーズ
『恋の地上で、ファイナル☆ウォーズ』
そもそもである。
何故、よりにもよって、こんなものを書こうと思ったのか。そのあたりのいきさつは、既にご存知の方も現実的な数字で全国に16人くらい、いらっしゃることと思いますが。
恋ナル☆の完結にあたり、大多数の人生の時間を無駄なく生きている皆さんのために今一度、そこからお話させていただきたいと思います。
nlpは以前に、よりにもよって一迅社さんの「アイリス文庫恋愛ファンタジー大賞」に、何をとちくるったのかエントリーしており。こともあろうに「ホモの力士がアメリカ兵のボクサーと闘う話」を書くという暴挙を働いたことがありました。
「女性向けの」「ファンタジー要素のある」「恋愛小説」というレギュレーションを極限まで拡大して解釈して書かれたそれは、思い付きとノリで「何回SEXと書いたら怒られるか試すテスト」を兼ねることになり。結果、「戦後暗黒期日本における異種格闘技戦ファンタジスタ」という、女性がまったく喜ばず、nlpだけが非常に楽しいカオスな物語が生まれることになったのでした。
nlpはうら若き女性の皆さんがそれを読んで反応に困る姿を想像し、ある種の性的興奮を覚えつつ、快作(怪作?)であると自信をもってそれを投稿したのですが。
ある日nlpは気づいた。
なんと、大賞エントリー用のタグが間違っていたのである。つまり、絶対の自信をもって世に送り出したもはやテロに近い怪作は、戦いの場に出ることすらなくインターネットの海を漂流し続けていたのディス。
まさか、こんなオチがつくとは!そうだね、逆にオイシイね。そんな風に納得できるほど、nlpは大人ではなくて。
「ナメやがって。」
何故か真っ先に、そう思ってしまったのです。
誰が、誰をナメているというのか。そもそも恨むべきは己の間抜けさと、スマホを使いこなせない旧弊な自分なのではないか。
理屈で言えばその通りなのだが、残念ながら人間は感情の生き物であり。そして感情は時に、理屈の正しさを凌駕する。
「ナメやがって。」
真っ先にそう思ってしまったのだから、仕方ない。そこはもう、諦めるしかないのです。
「ナメやがって。」
そう思ったnlpが次にとった行動は、「女性向けの」「ファンタジー要素のある」「恋愛小説」を1本、キッチリ書ききってやろう、というものでした。
これは天啓だ。天がこのnlpに、お前はふざけていないでちゃんとした恋愛小説を書きなさい。オマヘハチャントシタニポンゴオシャペリナチイ。そう言っている。天め、それはこのnlpに対する挑戦か。挑戦か?いいでしょう、受けましょう。このnlpに「ちゃんとした恋愛小説」が書けないと考えたその認識、改めさせねばなるまい。やってやりますよ。
そんなわけでよくわからないうちにその気になってしまったnlpは、「女性向けのファンタジー要素のある恋愛小説」という、まったく未知のジャングルに本気で取り組む事に相成ったのですが。
なんせ。
見えないラッコを率いて革命を起こす話や、ホモの力士が闘う格闘技ファンタジスタこそが本来のnlpの得意分野、まずは「女性向けの作品」のなんたるかを、イチから学ばなくてはならない。
殊勝にもそう思ったnlpはTSUTAYAに向かい、資料として「おねがいマイメロディ」を借りてきた。
それが、すべての間違いの始まりだった。
誤った方法で「女性向け作品」のなんたるかを学習してしまったnlpであったが、とりあえず。うら若き女性が喜ぶような要素というのはだいたい、理解出来ました。
まず、イケメン。うん、これは必須である。どこにでもいる普通の女の子が、憧れのイケメンに好かれたり、嫌われたり、ドキドキときめきラブパワーなお話。これがウケるのか、なるほど。
それから、かわいいマスコット。これが魔法なぞを使って、どこにでもいる普通の女の子をアシストしてくれる。ふむ、ふむ。ドラえもんみたいなモンか。
他に、甘いお菓子や、楽器や、カッコいい大人のお姉さんや、アイドル。なるほど、女性はこういう物がときめきラブパワーなのだな。プロレスや宇宙の神秘や、巨大ロボは男の子向けだ。自重しよう。
そうして案外真面目に「おねがいマイメロディ」を視聴し終えた時、nlpの中で既に方向性は決まっていました。
「ラブコメを書こう。」
読んでいる人が、ウキウキ、ドキドキ、思わず楽しい気持ちになるような。誰ちゃんが誰ちゃんに告白して、誰ちゃんと誰ちゃんが付き合ってる、そんな事が大事件になる、中学生たちの物語。そして、読み終わった人に「ああ、楽しいお話だった!」と思ってもらえるような。底抜けに明るくて、おバカで、面白いお話。
書いているnlpが後で読んで、思わず赤面するような。そのくらい突き抜けてときめきラブパワーな、こっぱずかしい学園ラブコメを書いてやろう。
もう、タイトルからして「あ、こいつバカだ」とわかるような。
そう、☆なんかつけてみたら、どうか。いいぞ、すっげえバカっぽくなった。
そしてタイトルが決まった時。nlpの脳内では元気な女子中学生がチコクチコクとトーストをくわえ、「いつもの角」へと走り出していったのでした。
そんなこんなで書き始めた初の「女の子向け学園ラブコメ」であったのですが。基本的にお話を思い付くのと同じ速度で文章に変換していくスタイルのnlpにしては大変めつらしく、今回は内容のテキトーさに反し、しっかりプロットを練って、全体の構成を考えた上で書いていたりします。使った設定、使わなかった設定、予定通り進んだ話、完全にボツにした話。そういったものを作者自ら「これは実はこうなんですよ」と解説するというのは、非常に面映ゆいものなのですが。
なにせ。
nlp自身が、「書きおえた瞬間に内容を忘れる」タイプであるので、記憶がハッキリしているうちに文字にしておかないと、後々nlp自身が「なんでこんなモノを書いたんだろう…?」と悩むハメになるため、蛇足ながら以下、覚えている範囲で各話ごとに解説を加えさせていただきます。
今一度甦る、ファイナル☆ウォーズの軌跡。
re.恋の地上で、ファイナル☆ウォーズ。
忙しい方も、お暇な方も。
本編読前、あるいは、読後にどうぞ、お楽しみください。
§プロローグ§
「いままで。 (2017/11/11 21:40)」
とりあえず全体のプロローグとして、何ゆえファイナル☆ウォーズが地上で勃発したのか。その経緯の説明と、「このお話はこういうテキトーなノリで進みますよ」ということをご理解頂くために書きました。
人智を超えた天の世界のお話、ということで、文体は夢枕貘先生言うところの「蜘蛛の糸方式」を採用。以降、「丁寧語のナレーションの人」が、物語全体を通して時にテキトーに、時に辛辣なコメントを加えつつ、お話を進めていくことになります。
「天の世界の住人はテレパシーで喋る」
「御遣いは基本的にバカなので平仮名で喋る」
というルールをほぼ思い付きで入れてみた(当初はピヨコットのセリフも平仮名多めの漢字混じりだったのだが、修正した)のですが、これが案外後々まで「面倒くせぇ…。」「読み辛ぇ…。」と作品全体の足を引っ張ることになるのであった。
「カクリキ」のローマ字表記といい、思い付きに任せると実際、ろくなことがありません。
・恋の女神様(天の世界の女神様)
このお話における絶対的な力の持ち主であり、全宇宙の支配者であるところのお方。とても偉い方なので、ナレーションの人も毎回、女神様の行動については微妙に間違った敬語で語り申し上げ奉ります。
このお方がすべてにおいてテキトーであらせられるため、配下である御遣いたちも基本的に皆、超テキトーである。
物語の1番最初にご登場あそばされるキャラクターであるため、女子高生口調でお話になり、この上なくお美しく、しかもボインでセクシーであらせられるというキャッチャーなキャラクター造形となりました。
最初と最後にお話を纏めていただくというかなり重要な役回りであるので、出番自体は少ないお方なのですが。そのキャラクターはけっこう気に入っているので、主人公であるサトミさんの性格設定に一部が引き継がれる形になっており、ピヨコットやイケメン新帝が後々になって「サトミさんに似ている」という感想を抱くことになります。
・大臣(天の世界のはだか大臣/変態)
女神様の側近であり、実質的な天の世界のナンバー2。作中に登場した中では女神様以外で唯一の「神様」だったりします。
作中ではとくに触れられていませんが、この人はイケメンです。
というか、サトミさん→女神様に対してイケメン新帝→大臣という形で対応するキャラクターなので、ビジュアル的な部分は皆さんの中のイケメン新帝と同じ顔でイメージしていただけると幸いです。
基本的にはだか担当のキャラクターですが、「今起こっていることをわかりやすく説明してくれる」という非常に大切な役割を持っており、イケメン新帝と並んでテキトーなこのお話の貴重な真面目担当だったりもします。
様々な変態がアグレッシブに活躍するこのお話において、ストレートに「変態」が作中での呼称になっている剛の者。はだかネクタイは伊達ではありません。
§本編§
『1/12話 ☆ 突発愛 ~girl,meets boy~ (2017/11/13 01:33) 』
実質上の第0話に当たるお話。この回でメインキャラクターであるサトミさんチームとイケメン新帝チームの顔見せを済ませ、「このお話は毎回このパターンで進みますよ~。」というテンプレートを完成させたかったのですが。
よく考えて見ると女神の奇跡も発動せず、『ときめきラブコンテナ』の目盛りも進まない、本当に第0話とした方がしっくりくる内容であるように思います。
特に話数と『ときめきラブコンテナ』のカウントをシンクロさせたいというのは当初からあったアイデアの1つであったため、話数のカウントについては最後まで悩むこととなったのですが。
物語のキーワードとして、終盤戦で特に『12+1』というのがかなり重要な意味を持つこととなり、結局は最終話を『13/12話』とすることで落ち着きました。
「恋ナル☆無料体験お試し版」といえる内容なので、主人公の主役回ながら1番短いお話。今後加筆するならおそらくここでしょう。
気が向いたら書き足すかもしれない。書き足さないかもしれない。
タイトルの『突発愛』は『一目惚れ』を意味するnlpの造語です。
未だにいまいちピンとこないので、もう少しわかりやすい言葉を思い付いたら変えるかもしれない。変えないかもしれない。たぶんもう変えない。
・高木里美(可憐な美少女/サトミさん)
物語全体の主人公。当初この人は「話を進める上で主人公が必要だから」存在する主人公という事で、舞台装置に近い扱いだったのですが。回を重ねるごとに書いていて楽しい、すごく面白いキャラクターになっていき、最終的には「物語全体の主人公」として、立派にその役割を果たしてくれました。
そんなわけで第1話時点ではまだキャラクターが固まっておらず、とにかく「典型的なラブコメの主人公」「バカ」「貧乳」くらいのイメージしかなかったため、ほとんどの性格的な部分は第1話を書きながら作っていった覚えがあります。
最初に登場する主人公にして、13番目、本来、物語には存在しないはずのイレギュラー。第1話での宣言の通り、サトミさんは作中の主人公たちの中で唯一、神様にも魔法にも奇跡にも頼らず、恋の地上でファイナル☆ウォーズを戦い抜いていくことになります。
名前の由来は昔の知人から、そのまんま。
10年くらい前に「名前使っていい」旨、許可は頂いているので問題はないと思います。
今後も女性主人公の名前として「たかぎさとみ」はちょいちょい使っていく予定。許可をもらいますたから。
震えて眠れ、サトミン。
・悪魔メフィストフェレス(黒いひよこさん/闇の悪魔)
サトミさんと同じく13番目のイレギュラーにして、このお話を1番引っ張ってくれたMVPとも言えるキャラクター。
はっきり言ってこいつを書いている時がnlpとしては1番面白く、こやつが動くと話がグイグイ進んでいく実感がありました。
正直なところ、登場人物の中では1番キャラが立っていたのではないかと。
彼もまた、物語の最終最大の敵役として、その役割を十分に果たしてくれたと思います。
ビジュアル的にはピヨコットの白黒反転というか、ラクガキのひよこを黒く塗った感じなのですが、彼はとにかくよく笑う。
中でも「恐ろしく残酷な笑みを浮かべ」ている時は、本性を現して口がパカッと大きく裂けている…というイメージで書いています。
むしろサトミさんとこやつを組ませて主人公にしても面白かったかな、とも思うのですが。それはまた今後、別の機会に。
『2/12話 ☆ 幼女聖愛 ~lolita complex~ (2017/11/20 01:20)』
事実上の第1話。恋ナル☆の主題は「アグレッシブな変態たちがいろいろあって、なんか開き直って明るく生きていく」過程を描くことにあるため、あえて「いろいろあって」の部分を極端にブッとんだ内容にし、キャッチーな話を狙ってみました。
このエピソード自体は、「○○愛」と題して毎回、様々な形の歪んだ愛情を描いていくというコンセプトを思いついた時点で真っ先に思いついた話であり。そういう意味でも開幕戦にふさわしいエピソードだったのではないかと思います。
時系列的に本来、前話に含まれるべき部分が一部こっちにズレこんでしまっていることもあり、主人公の主役回である第1話の倍以上のボリュームとなった第2話。可憐な美少女よりロリコンデブの描写に文字数を割くのは「いいのかそれ?」と思わんこともないのですが。結局終わってみればサトミさんの真の主役回である12話、13話がとてつもない長さになっているので、まあ、べつによいのではないかとnlpは思いました。
ちなみにこのエピソードを書き終えたあたりでロリコン関連の事件が世の中を騒がすという変なシンクロニシティーが起こり。ロリコンデブを肯定的に書いてしまったnlpは「いいのかこれ?」と思わんこともなかったのですが。まあ、べつによいのではないかとnlpは思いました。
念のため言いますがnlpはロリコンではない。女子中学生が普通の人よりちょっとだけ好きな人です。なにも問題ありません。
・妹尾武(武くん/ロリコン小太り)
1人めのゲスト主人公。シスコンをこじらせたロリコン中学生という、今後かなり厳しい人生を歩みそうな彼ですが、この物語時点ではさりげに1番の勝ち組であり、実際に劇中でも周囲からはけっこう評価されていたりもします。
キャラクターとしては今後登場していく突き抜けた変態たちに比べて逆説的に常識人であり、頼りになるツッコミ役、協調性皆無な登場人物たちのまとめ役として案外使いやすく。その後のエピソードでもちょいちょい顔を出し、時に組織力を用いて便利に活躍してくれました。
そんな流れから最終話では年長者の瀬古、イエスを差し置いて変態チームのリーダーに抜擢。サトミさんがわりと最初から最後まで無敵だったこともあって、作中で1番成長したキャラクターと言えるかもしれません。
・第一の御遣い、ロバート(うさぎさん)
このうさぎさんは、nlpの書くお話にちょいちょいでてくる「イタチさんと仲良しのうさぎさん」です。今回はイタチさんが出てこない(十二支じゃないので)ため、単品での登場となりましたが。「たいへんだね。」で武くんの過去回想を片付けてしまう、なにも出来ずに「きゅう」とノビてしまうなど、持ち芸を遺憾なく発揮してくれました。
相方がいないので得意の「やあねえ。」「やあねえ。」を出せる機会がなかったのだけはちょっと残念です。
・妹尾愛花(愛花さん)
第2話主人公である妹尾武の妹であり、武くんが歪む事になった原因。作中では主に武くん視点で書かれているため、なんだか酷い子に見えますが、本来いい子で別に「お兄ちゃん」のことも嫌いなわけではないようです。ちょうど反抗期なんです。
登場した「名前のあるキャラクター」の中で、唯一その後、一切活躍しなかった珍しいキャラクターであり、最終話に登場しなかった2人の内の1人でもあります。
nlpの短編、「きんじろう捜索隊」にはこの兄妹らしき同姓同名の主人公が出てきますが。仲悪くなるちょっと前の妹尾兄妹とみるか、名前の同じまったくの別人とみるかは読む方にお任せいたします。
・ピッツアマルゲリー(変な運転手/マルゲリーさん)
こいつはあれです。「カクリキ」にも出てきた、あいつ本人です。
「カクリキ」最終話でカクリキたちが次々散っていく中、1人だけ生死不明のままフェードアウトした時点で、「次回作に出そう」というアイデアは既にあり、今回は黒ひよこの配下、変な悪魔の化身として、また、出てきてやられる障害物として、縦横無尽に活躍してくれました。
次回作以降もたぶん、懲りずに出てくると思います。
『3/12話 ☆ 独占愛 ~confinementing prince~
(2017/11/24 22:41)』
このエピソードも最初から構想のあった話のひとつなのですが。当初の予定から大幅にストーリーを改変、その変更が結局、以後の話にかなり影響を及ぼす事になりました。
もともと監禁されるのは幸恵さんの予定で、幸恵さんのキャラクターには「オタ系の奴から異常にモテる」という属性があったのですが。第2話のオチを書いていた時に、あ、これサトミさんが毎回変態からプロポーズされるようにした方が面白いな、というアイデアが湧き、囚われのサトミさんを幸恵さんチームが助けに行くという流れになったのでした。
結果。サトミさんは変態たちに無駄に気に入られるキャラクターを獲得してしまい、「結婚してください」→「ヤだよ!」の美しい流れが完成することになったのでした。
幸恵さんの敵に回すと超怖いという部分を、6話以前に1度、ここで見せる事ができたのは正解だったと思います。
タイトルの「confinementing prince」は「監禁王子」を意味するnlpの造語。英語としてあってるのかは知らない。正しかったら正しかったで、いろいろ問題あるし。
・有荘柘雲(有荘くん/めがねボーイ)
第3話主人公。本来はこやつが「清水臆人」になるはずで、さらに「清水臆人」はボツになったエピソード「自己性愛~Narcissism~」の主人公の名前に使う予定だった、という複雑な経緯のあるキャラクターだったりします。
いや、「清水臆人」ってなんか、カッコいい名前じゃないですか。監禁めがねよりもイケメンナルシストに使った方がいいかなー、と思いまして。
そんな経緯もあり、結局9話に登場した「清水臆人」は「さりげなくイケメン」と出てくるたびにナレーションの人から言われるさりげないイケメンになったのでした。
前回の武くんがわりと攻めのキャラクターだったので、今回の彼は内にこもるタイプに。そんなわけで武くんとはさりげなく仲が悪く、逆に同じタイプの清水臆人とはいつの間にか仲良くなっていたようです。
話が進むにつれて「ネットオタク」というキャラクターが加わり、変態チームの中では情報収集担当として落ち着くことになりました。
・第二の御遣い、ホワイトタイガー(とらさん)
キャラクターとして構想にあったのは、「カッコいい正義の味方」。最終話で巨大化した黒ひよこに対抗できるキャラクターがいぬじろうさん以外にも必要だったため、このエピソードの時点で彼の戦闘力の高さを見せるようにしています。
黒ひよこの魔術、魔界のルビーに対抗するために、ダイヤモンドパワーの使い手に。そこから派生して、最終話では「バリアで町を守る」というさりげなく重要な事をさらっとやってのけてくれました。正義の味方、かくあるべし。
こいつとゴリラは御遣いの命名規則、~ットに当てはまらず、それは彼らがワンランク上の大天使であるから、という設定があり。実は彼らが12の御遣いの隊長と副隊長だったりします。ちなみにもう二人ほど、当てはまらない御遣いがいますが。そっちはそっちでまた、彼らとは別種の存在だったりします。
『4/12話 ☆ 執着愛 ~stalking~ (2017/12/03 13:00)』
これも当初から構想のあったエピソードのひとつ。もともとは短編として、「ストーカーの頂点を目指す男たちの戦い」を描くつもりで温めていたアイデアだったのですが。
テキトーな世界観の恋ナル☆のエピソードの1つとして、うまいこと溶け込めたんじゃないかなあ、とnlpは思います。
そんなわけで構想期間が他より長かったこともあり、エピソード単体としても完成度は大分高くまとまったのではないかと。
「須藤家」「須藤王」などの用語は短編の構想からそのまま引っ張ってきたものだったりします。
・定家庵臼(定家先輩/熱血角刈り)
第4話主人公、爽やか系の変態。真面目で決して悪い人ではなく、普通にモテそうなのになんか明らかに狂ってる人、という微妙なラインが個人的に好きだったりします。
カラテ使いということで、男性陣では珍しい戦闘要員。最終話序盤の戦闘シーンを大いに盛り上げ、「なんか大変なことになっている」ことを演出するのに一役買ってくれました。
真面目な人なので幼女見守り隊員等のふざけた連中は生理的に受け付けない反面、自身はストーカーだったり、アイドルオタクだったりと、極端で思い込みの激しいタイプの方です。
この人は口癖の~ッス!がなかなかに曲者で、場面によって~ッス!だったり、~っス!だったり。一応~ッス!で統一したつもりでしたが、直っていないところもちらほら。今後も見つけ次第、直していきたいと思っています。
・第三の御遣い、マーガレット(いのししさん/カラテのお師匠様)
劇中ではおもに定家先輩のカラテのお師匠様の姿を借りて活躍した御遣い。これは女神の奇跡の力を用いて定家先輩の求めていた「自身を導いてくれる理想のお師匠様」を具現化したためであり、マーガレットさん=カラテのお師匠様というわけではなかったりします。
しかし、定家先輩の記憶の中にある「お師匠様」と同化していたためか、必要以上に定家先輩を気にかけている様子があり。最終話で再会させてあげれば良かったかなあ、とも思いました。
その最終話では黒ひよこの足場を崩し隙を作るという、ナイスアシストを行っています。
・六道アリス(アリスさん)
今作最強の物理的な攻撃力を誇るお方。この時点では定家先輩のストーカーのターゲットとして、また、オチで定家先輩をボッコボコにするという役割だけのキャラクターだったのですが。
後に諸々の事情でマルっと1話分のエピソードが追加されるにあたり、そのキャラクターの濃さから主人公に抜擢されることになりました。
この人についてはまた、8話の解説にて。
・おまわりさん
この話の時点ではまだ普通の、真面目で親切な町のおまわりさん。変態が現れる度に女子中学生に「今日はもう帰りなさい」と声をかけるだけの役回りの彼は、しかし、回が進むにつれて変な人になっていき。5話で瀬古に制服を奪われて以降、常にブリーフ1枚で生活するという、他の部分が普通な人なだけに、かなりたちの悪い変態として君臨することになりました。
「町の人A」として、最終話にもちょっとだけ出番があります。
『5/12話 ☆ 制服愛~costume fetish~ (2017/12/13 00:12)』
問題作。もともと第5話は、第6話の内容になるはずだったのですが。書き始めてnlpは気づいた。
8月は夏休みだ。中学生学校に行かねー。イケメン新帝転校して来れねー。幸恵さん誕生迎えられねー。
第6話を構成する全ての要素が、「8月」では成り立たない。これはいかん。いくらテキトーなお話とはいえ、腐っても学園ラブコメである。しかもご丁寧に、1ヶ月1話×12の、1年連作形式である。これはさすがに看過できません。
そんなわけで急遽構成を変更、まったく予定になかった夏休みの1エピソードをねじ込むはめになりました。なおその関係で幸恵さんの誕生日が8月から9月になるという被害が発生しています。第1話の該当箇所は既に訂正済ですが。
とりあえず、制服マニアの変態が出てくること以外まったく考えのないまま書き始めた第5話。結局のところ第10話と並ぶカオスなエピソードと相成りました。個人的にはこういう、書いている本人にすらどうなるのか、一切予想のつかない話を書いている時が1番楽しかったりします。
・瀬古無一郎(瀬古、無一郎/変態マン)
5話主人公にして作中トップクラスのあからさまな変態の片割れ。毎月変態が現れる今作において、「変態マン」とナレーションの人に呼ばれるのは伊達ではありません。さすが業界最大手。
ちなみにもう1人の変態、慈恵イエスも彼と同じく、ナレーションの人から呼び捨てにされる存在だったりします。
業界最大手なので彼の名前は最初からあったのですが、どこで使うかがまだ決まっておらず。1エピソード追加となったところで最強の変態として、出番が回ってくることになりました。
実際のところは慈恵イエスのエピソードとどちらを夏休みに持ってくるか、かなり悩んだのですが。結果として夏休みと冬休み、強烈な変態が長期休みに発生するといううまい対比になったと思います。
彼のキャラクターとしては、1番最初にあったのは「最終話で意識不明となったイケメン新帝の容態を診る人」という役割であり。さらに言えばそれはもともとアリスさんの役割で、さらにさらに言えばもともと、アリスさんはボツエピソードの主人公、「天使のような看護婦さん」の代替キャラクターだったりするわけなのですが。そこから逆算して作られたのは何をとち狂ったのか、「医者を目指して医科大学に入ろうとしたらいか大学だったおバカ」となってしまいました。
彼は登場するだけで手っ取り早くパニック状態を作り出せる便利なキャラクターなので、即興に近いキャラクターにも関わらずその後、なにかと重宝することになります。さすが業界最大手。
政治主張の激しいキャラクターということで、似た性質をもつ武くんのことは嫌い。
ていうか。
こうやって書いてみると、武くん、男性陣からは嫌われまくっています。
・第4の御遣い、チューペット(ハムスターさん)
12の御遣いを出すにあたり、考えていたのはなるべく、彼ら12人が十二支であることに気づかせないようにすること。そのため酉はひよこさんに、申はゴリラに、そして子はハムスターである彼になりました。
御遣いのなかでは珍しい、最近の若者ライクな軽薄な性格。黒ひよことけっこう被るので、差別化に難儀した覚えがあります。
御遣いの中ではピヨコットの次に年季が浅い設定。
『6/12話 ☆ 同性愛~homo sexual~(2017/12/24 09:56)』
物語の折り返しとなる、前半戦最後のエピソード。前述の通り話数の入れ替えがあったのですが、主要キャラクターの出揃うここでちょうど折り返しになったのは結果的に正解だったと思います。
とりあえずの決着ということで、イケメン新帝&黒ひよこの最悪コンビはこの話で1度、完全敗北。一時的に物語から退場することになります。
彼らのかわりに中ボスを務めることになるダーク幸恵さんは物語全体でみてもほぼ最強の敵であり、前半戦を締めくくるのにふさわしい相手となってくれました。
・梶田幸恵(幸恵さん/清楚な美少女)
第6話主人公、そして主人公チームの1人であり、物語のレギュラーキャラクター。この主役回の予定があったため、第1話では努めて描写を薄めにしていたのですが。2話、3話とその高いスペックの片鱗を既に発揮しており、満を持しての主役回となった6話ではその魅力を余すところなく爆発させてくれました。
キャラクターとしてのコンセプトは、「サトミさんに足りない全てを持っている人」。よって頭がよく、冷静で、当然の如く巨乳。前述の通り本来は毎月、変態からプロポーズされるのはこの人のキャラクターになるはずだったのですが。サトミさんならギャグで済む場面がなにかと犯罪チックになりかねないという理由もあり、その役割はサトミさんに譲ることになりました。
考えてみればこの回、サトミさんがまったく関わらないところで最悪コンビの二人は倒されてしまっているんですよね。
そのままでは強すぎて黒ひよこを倒しかねないため、最終話ではいろいろと理由をつけて弱体化、ピンチになって頂きました。
肉体的な戦闘力ではアリスさんに分がありますが、一切の手段を選ばないという意味での戦いとなると最強はこの人。嫌いなものにはまったく容赦をしないタイプです。
その立場上、イケメン新帝とは無茶苦茶仲が悪く、この回で出来た遺恨が最終話まで引き摺られていたりもします。
逆に同じサトミさんを巡るライバルでも清水臆人とは険悪にならず、武くんともさりげに仲良しだったりします。この違いは「サトミさんに好意を持っているか否か」で判断しているようなので、最終話以降の若干素直になったイケメン新帝とは、多少は仲良くできるかもしれません。
いやたぶん無理。この二人、相性最悪ですもん。
名前の由来はnlpの初めてお付き合いした女性から、そのまま。
何か文句ありますか?
・第五の御遣い、いぬじろう(いぬさん/狼さん/魔狼王フェンリル)
レギュラー陣としては最後の登場となった、幸恵さんのパートナーです。キャラクターのコンセプトは「女児向けアニメ等によくいるお助けマン的なキャラクター」。作中の男性(?)で1番カッコいいキャラクターという事を念頭に書いています。第1話からその存在は語られていましたが、こちらも満を持しての登場となりました。
御遣い唯一のひらがなネームであり、これは彼がまた、御遣いたちとは異質の存在であることを表しています。幸恵さんの相方にして、黒ひよこの宿命のライバル。最終話の戦闘シーンではこのお話が人智を超えた存在同士の最終戦争であることを示してみせ、大いに盛り上げてくれました。
彼と黒ひよこまわりの設定は使ったもの、使わなかったもの含めてかなりいろいろ考えてあるのですが。はっきりしているのは11話で書かれた70年前の時点で二人は既に面識があり、そして既に敵同士であったということ。中世ヨーロッパで、江戸時代の日本で、逃げ回る小悪魔と魔狼王の因縁。胸の大きな少女にもらった、いぬじろうという名前。この辺の話はまたいつか、番外編的に書けたらいいなと思います。
なお、nlpの短編には彼をイメージさせる「いぬたろう」という主人公のお話があるのですが。「いぬたろう」が彼自身なのか、はたまた、彼の子孫か何かなのか。そのあたりは特に決めていないので、読む方にお任せ致します。
『7/12話 ☆ 嗜虐愛/被虐愛 ~sadist,&masochist(2017/12/30 17:28)』
後半戦第1回。最悪コンビが暗躍しなかったり、御遣いが二人出てきたり、変態がひとりも出てこなかったり、実はサトミさんあんまりいらなかったりと、いろいろとイレギュラーな回。そして今作で最高に恋愛ファンタジー小説している回です。
まあ…1回くらいはちゃんとまっとうなラブストーリーを書いてみようかと。
話の構成上、12話で『ときめきラブコンテナ』の目盛りが進められないため、今度は逆に1話余る。本来前後編で2回に渡るはずだった内容を1話にまとめので、けっこう盛りだくさんな内容になり、いつも以上に力業の展開となった箇所もあるのが少々気になりますが。
個人的にはボロボロに泣きながら書き上げたくらい感情移入していた回なので、かなりお気に入りだったりします。
というか。恋ナル☆の4話~8話は書き上げるたびに「今回が最高傑作!5エリコ!」と思える内容であり、どうもnlpの絶好調がこの辺に来ていた感が今となってはあります。
ただ、話の展開上「サディスト」と「マゾヒスト」の恋という、いかにも面白そうな題材を生かして書くことができなかったのは残念。そのテーマはいつかまた、機会があれば再挑戦してみたいところです。
・井ノ上綾子(綾子さん/派手ガール)
第7話主人公、その1。それまでいまいち家族構成のはっきりしなかった幸恵さんの家庭環境を、いきなり複雑な状況にブッ込みやがった困った人です。
綾子さん自身は「初恋の相手の梶兄ぃ」と「お姉ぇ」の子である幸恵さんに相当、愛憎入り交じった感情があるはずなんですが。
本人がさばさばした性格なのと、幸恵さんが微妙に変なのとでうまく緩和され、今のところはうまく付き合えているようです。
また、似たところのあるアリスさんとは気が合うようで、エピローグはこの二人の飲み会の場面からスタートします。
当初の構想では幸恵さんの父親(梶兄ぃ)に1エピソードの主役を演じさせる案もあったのですが。女子中学生寄りの考え方を出来て、かつ、大人としてのモノの見方もできる綾子さんのキャラクターは案外と話が作りやすく、結局のところこっちで正解だったかなあ、と思っています。幸恵さんの父親がドMの変態とかヤだもん。
ただ、幸恵さんの父親はたぶん、「けっこう変な人」で間違いないだろうとも思うのです。
キャラクターのコンセプトとしては、「作中でいちばんかわいい女性」。さばさばしてドライなようで、実はめちゃくちゃウェットで泣き虫、大人になりきれてない「女の子」。
そういう女性を、nlpはとてもかわいいと思ってしまうのです。
幸恵さんの縁者ということで、この人もまた、常人以上の戦闘能力があるのですが。何分、ものすごくメンタルが弱く、最終話drは泣きながら変態から逃げ回るという役割で物語の危機感を演出することに尽力してくれました。
・第六の御遣い、ゴリラ(ゴリラさん)
ホワイトタイガー氏と同じく大天使の一人で、御遣いたちの副将格にあたる人。あまり戦闘での活躍はありませんでしたが、さりげなくいぬじろうさん、ホワイトタイガーに次ぐ戦闘力の持ち主だったりもします。
リアルゴリラな外見に反してシャイで恥ずかしがり、そして紳士。恥ずかしげもなく正義の味方演じているホワイトタイガーとは対照的な凸凹コンビといったところでしょうか。
綾子さん、椎枝くんとの絡みは書いていてかなり楽しく、第7話の三人めの主人公といった役回りを演じきってくれました。
彼が月夜にひとり、頭を揺らしながら去っていくラストシーンは我ながら、なかなか冴えた演出になったと自負しております。
・椎枝末広(椎枝くん/不気味ボーイ)
第7話主人公、二人め。サトミさんの関係者として、同級生・先輩が既にいたため、自然と一年生、後輩のポジションに落ち着きました。メインキャラクターのなかでは最年少ながら、考え方がかなり大人っぽく、冷めている人物。彼はあらゆる部分が綾子さんの反転になっているキャラクターであり、ウエットな外見に反してかなりドライな感性を持った、「大人」になりすぎている少年。綾子さんが31歳なのは彼が13歳なので、その反転となっています。
書き終えてよく考えてれば、彼は顔が不気味なだけで、なんの罪もないのですが。それゆえに扱いづらく、以後のエピソードでは一人、離れた視点から「(なにやってんだこいつら。)」と非モテ軍団のおバカたちを眺めている役割となりました。
曲がりなりにも「学園ラブコメ」である恋ナル☆において。「彼女ができた」というゴール達してしまった彼はそこで話が完結してしまったと言うことができ、活躍の場面が少なくなってしまったのは自然と言えば自然だったのかもしれません。同じ立場のはずの綾子さんは最終話で「逃げ回るか弱いヒロイン」の役をもらえていましたが…。
綾子さんのピンチにこやつは病院でおバカたちと一緒になって遊んでいた挙げ句、サトミさんへの告白大会に参加してしまったため、その後はおそらく綾子さんとひと波乱あったものと思われます。
・第七の御遣い、モコット(ひつじさん)
12の御遣いのなかでぶっちぎりで存在感のなかったお方。彼に関しては、ゴリラのキャラクターが濃すぎたのが不運としか言い様がありません。
とはいえ、奇跡を起こすだけ起こして放置したり、7話の間チャッカリとサトミさんの家に住んでたりと、さりげなく面白いキャラクターに仕上がったのでコレはコレでありかなあ、と。
「事務的で眼鏡をクイッとやる人」の部分は翌月登場の「眼鏡のマネージャーさん」として受け継がれるのでした。
『8/12話 ☆ 大衆愛 ~the idol master~
(2018/01/08 02:17) 』
話数の調節の関係から、大幅に内容を変更。ほぼゼロ状態から追加したエピソード。じゃあもともとはどんな話だったのかというと、「全ての人に対する無償の愛情を持ちながら自分だけは愛せない看護婦さんに、ナルシストの男が惚れてしまう話」を考えていました。相方のナル男のエピソードがボツになったため、この話も合わせてボツに。
前述の通り「最終話で意識不明になったイケメン新帝を診察する人」の役割を瀬古がやることになったことで、看護婦さんを出す必然性がなくなった結果、「不特定多数の人々への愛情」という部分のみを拡大解釈して受け継ぎ、アイドルの話へと変更になりました。
…二個ボツにして二個新しく考えるなら、最初のままでよかったんじゃ、ないだろうか。そのへんの計算がどうなっていたのかは、当時のnlpにしかもうわからない。1つ言えることは、梶田幸恵が8月生まれだったのが悪い。
そもそも当初、「中学生には夏休みがある」ことすら頭からすっぽり抜け落ちていたnlpは、8月のエピソードを変更した時点でそういえばこいつら、学校行事やってないなーということにようやく思い至り。まがりなりにも学園ラブコメでそれはどうなのよ?という疑問から、急遽11月に文化祭の話が入ることになったわけですが。「みんなでわいわい、力を合わせて何かを頑張る」雰囲気はうまく出せたようで、学校行事を書くという当初の目的は達成できたように思います。いつも以上に勢い重視で書いたため、瀬古が途中から行方不明になってたりと細かいアラはけっこう目立つものの、総キャラクター登場のお祭り回としてうまく機能したように思っています。
反面、この話に登場が間に合わなかった清水臆人がちょっとかわいそうなことに…。
恋ナル☆も後半戦に入り、そろそろいい加減でサトミさんとイケメン新帝をどうやってくっつけるか考えないといけないというか。
そろそろいい加減でイケメン新帝の良いところを書いていかないと、最低クソ野郎とサトミさんがくっついてしまうというか。
冷静にこの後のエピソードの予定を考えると、二人の接点があるのがこの回以後、3月までなかったりするという、案外真面目に話の構成として危機的な状況にあったため、「サトミさんとイケメン新帝の距離を縮める」「イケメン新帝のかっこいいところを書いてやる」ことが裏のテーマとして存在した回でもあります。それらを盛り込んだ結果、恋ナル☆史上最大のボリュームの回になってしまい。ついつい盛り上がりすぎてもうコレが最終話でもよくね?という雰囲気となり、次の話が非常に書きづらくなった覚えがあります。清水臆人は不憫な奴です。
メインとなるアリスさん関連のエピソードは「やる気のないアイドルがやる気になるまでのお話」という、非常にありがちな筋書きながら。アリスさんの強烈なキャラクターがうまく引っ張ってくれたお陰で書いていて非常に楽しく、1つの話としてうまくまとめることができたと思います。一方、この回の「大衆愛」、恋ナル☆的なテーマとしては「ファンの人々へ向ける愛情」の中に、「アイドルという自分が演じている存在への愛情」をアリスさんが見つける、というものなのですが。先月同様、肝心その部分が伝わりづらくなってしまったのは反省箇所かなあと。
もっとも。1番の反省箇所はサブタイトルの英語の部分なので、その、なんていうか。
許してください。
・六道アリス(アリスさん/修羅)
4話のゲストキャラクターから主人公に抜擢されたお方。キャラクターとしてはわりとありがちな、「ステージとプライベートでキャラクターが違う人」なのですが、これは当初、存在自体が4話のオチをつけるための、1回限りのギャグ的な役割だったためです。人類最強の戦闘力を保有しているのもそのノリで書いていたため。
当初予定していた「天使のようにやさしい看護婦さん」とは180度性格の異なる彼女ですが。キャラクターのベースになっているのがその人なので、特にサトミさんに関わる場面では要所要所でそれっぽい要素を見せていたりもします。
キャラクターの造形としてあるのは、何故か時々いる「ブリブリのアイドルやらされてるのに、本人が無駄にアーティストとしての能力が高い」タイプの人。いや、いるじゃないですか実際、そういう人。怖いので、森口博子とか具体的な名前は挙げませんが。
そこに女の子の憧れの「カッコいい大人のお姉さん」の要素が加わり、さらに何故かnlpが「アイドル」という単語から「ジャージ姿のものすごい美女が笑いながら血塗れの拳を振り下ろす」絵を連想してしまったため、現在のアリスさんとして完成することになったのでした。似たところのある綾子さんとは、一人称や口調で差別化をはかるのが難しかったのですが。最終的には似た者同士で落ち着き、エピローグでは仲良く飲みに行くシーンを入れてみました。
結果的にサトミさんのお姉さん的な存在としてうまく作中でのポジションを確保でき、この人については十分に書ききれたという実感がnlpにはあります。
・第八の御遣い、ドラグレット(りゅうさん/翔龍)
天使にあるまじき戦闘狂の問題児であり、この話でもとりあえず、派手に暴れていっただけでアリスさんの心を救っていないような。これは彼がアリスさんの狂暴な部分の具現化として書かれている御遣いであり、アリスさんが「人の手を借りずに自分で困難を乗り越えられる」大人だということでもあります。
そんなわけで彼は、他ののんびりした性格の御遣いたちとは、かなり性質が異なりますが。御遣いは基本的にパートナーの性格に影響されている部分があり、例えば世話焼きで紳士のゴリラは一人では何もできないお子様の綾子さんの前に現れている。
彼に関してはアリスさんの求めているものが、「自分と同じレベルで戦えるパートナー」だったということなんだと解釈しています。
・六道梨夫(校長先生)
6話でその存在が語られていた「怪しい武道マニアの校長先生」その人。ちゃんと名前のある男性キャラクターの中で唯一、命名規則から外れている人でもあります。
アリスさんの本名が「有理子→アリ」なのに対応する形で、「梨夫→ナシ」に。加えて、この名前は「ろくでなし」のもじりでもあります。そう、この人はいろいろともう、ろくでなしなのです。
ちなみにnlpの短編、「きんじろう捜索隊」にはこの人にそっくりな、けっこうろくでなしの校長先生が出てきます。双子の弟かなんかでしょう。
外見的には往年の大山館長をモチーフに。その怪しい拳法の冴えは、最終話で再登場した際に確認することができます。
アリスさんとの親子関係は完全な思いつきながら、8話のオチとしてかなりうまくハマったのではないかと。
・眼鏡のマネージャーさん(眼鏡のマネージャーさん)
舞台装置の眼鏡、その1。nlpの書く話によく出てくる、「眼鏡をクイッとやる人」。特に意味はありませんが、名前は常恒とか、そんなかんじだと思います。
相方のマルゲリー氏が「時空を超越した存在のご本人」なのに対し、この人に関しては「同じ役者さんが演じている別の人」という解釈をnlpはしています。
・文化祭執行委員長先輩(文化祭執行委員長先輩/眼鏡の美少女)
舞台装置の眼鏡、その2。ちゃんとした名前のないぞんざいなキャラクターながら、nlpはこの人、かなり好きです。
考えてみれば、冷静な人が一人もいない恋ナル☆において、非常に貴重な常識的判断のできる人。メインヒロインの中にはいなかったタイプなので、もし仮に恋ナル☆第2期があるとすれば、主人公になるのはこの人でしょう。
12話の卒業式のシーンでは卒業生代表答辞という形を借りてこの物語のテーマ的な部分を語ってもらい、ナレーションの人の最後の台詞にも、その一部が流用されています。
『9/12話 ☆ 人形愛~pygmalion syndrome~
(2018/01/28 04:15)』
クリスマス回。このエピソードは最初から予定にあったものであり、12月にもってくるのも当初の予定通りだったのですが。前話で若干nlpが力を出しきってしまった感があり、話の筋に大幅な変更がなかったわりにやたらと書くのに時間がかかった覚えがあります。
冒頭、クリスマス前のワクワク感。普通に仲良くなる清水臆人とサトミさん。嫉妬するイケメン新帝。次の話がアレで、2月以降が話を畳みに入ることを考えると、実質的に日常回を書ける最後のチャンスでもあり、それが新キャラクター・清水臆人中心の話になってしまうという構成上の失敗があったのは認めざるを得ません。
まる1話通して珍しくちゃんと学園ラブコメしてたことで、恋ナル☆全体として見たときに逆に異質なエピソード。単体としては派手さはないながらうまくまとまっており。それだけに後半がちょっと雑になってしまったのが未だに心残りで、今後加筆するとすれば真っ先に直すと思われます。
・清水臆人(清水くん/さりげなくイケメンの清水くん)
名前自体は当初からあったものの、どのキャラクターに使うかが二転三転した彼。ボツになった「ナルシストの男」の要素を最終的に受け継いだキャラクターでもあります。
キャラクターとしての役割は、学園ラブコメによく出てくる「お邪魔虫の新キャラクター」であり。先月、ちょっといい感じになったサトミさんとイケメン新帝の間に入ってくる障害物という役回りです。当然のごとくイケメン。主人公としては珍しく、普通に学校生活を送れている普通の人で、女の子であるサトミさんとも普通に仲良くなれる、普通の感覚を持った人です。
しかしながら。こやつは実は瀬古、慈恵イエスすらぶっちぎる、恋ナル☆でもトップレベルの変態であり。サトミさんに惹かれたのも「自分の趣味嗜好を理解してくれそうだから」であって、純粋に「異性への欲求」が行動の原動力になっている妹尾、有荘とはまったく異質の存在であると言えます。「お前、人形のサトミちゃんととサトミさん、どっちが好きなんだよ?」と聞かれたら、間違えてサトミちゃんの方を選びそうな危うさが彼にはある。そのへんを「さりげなくイケメンである」ことと、あえて彼に肯定的な描写で書くことでどれだけマイルドにできるか?が9話の裏テーマであり、いい感じに「イケメンだから許されてる」キャラクターとして書けたことに関してはけっこう、満足だったりします。
全体的に女性的な部分の強い人物であり、サトミさんとの関係はむしろ、幸恵さんとサトミさんのソレに近く、彼が望んでいるのもおそらくはソレ。サトミさんにごめんなさいされたことにより見事非モテ軍の一員となり、その後はクッキーを焼くなどして楽しく活躍していますが、定家先輩同様、実はさりげなく女の子からモテている人でもあります。
非モテ軍・有荘とは同じインドア系としてウマがあうようであり、また、幸恵さんからも敵認定されていないため、彼女ともうまくやれている模様。逆に妹尾武とはさりげなく仲が悪いようです。
・第九の御遣い、コメット(うまさん)
典型的な「奇跡を起こすためだけに出て来た御遣い」であり、そういう意味ではモコットさんの同類。清水くんに帰れと言われて素直に帰ってしまうとぼけたキャラクターはけっこう好きです。
清水くんの憧れのユニコーンであり、そのへんからもう少し話を膨らませても良かったかとも思うのですが、やっぱりこの人に関しては「何もしていないのに清水臆人の思い込みで勝手に気に入られてしまう」のが面白いので、たぶんそれでいいのでしょう。
『10/12話 ☆ 動物愛 ~kemonor~ (2018/02/04 16:50)』
かなりの問題回。前半戦の8月のエピソードに対応する話であり、当然のごとくぶっとんだ展開に。
当たり前のように再登場する瀬古、バカが二人でもう止めようのなくなる展開、まさしく「類はバカを呼ぶ」。サトミさんと黒ひよこのキャラクターの力でどうにか収拾のついた感が非常に気に入っているエピソードです。
本来は夏に予定していたエピソードであり、イエスの楽園の悪臭が猛暑で殺人レベルのものになり…という導入にするつもりでした。そのあたりから既に瀬古と慈恵イエスは因縁深いキャラクター同士だったりします。
話自体は最初から構想にあり、「動物と仲良くなろうとしたら動物の方は自分が嫌いだった」というありがちな話をあえてベースにしたのですが。そこに黒ひよこがパーツとしてうまくハマり、「動物がみんな『俺様みたいに』お話できるようになる」呪いを発動するというオチをつけることができました。
そう。この回の最大の収穫はやはり、サトミさんと黒ひよこの異色コンビを活躍させられたということ。この二人は実際書いていてものすごく動かしやすく、この回で組ませた事が「実はピヨコットはイケメン新帝のパートナーだったんだよ!」という恋ナル☆最大のどんでん返しに繋がりました。
この回から、サトミさんがピヨコットとの別れを予感し始めたり、いぬじろうさんが宿敵・黒ひよこをついに捉えたりと、物語の完結に向けた動きがはっきりと書かれるようになっていきます。
・慈恵イエス(慈恵イエス/変態ホームレス)
変態二大巨頭の片割れ。ナレーションの人から呼び捨てにされる二人のうちの一人でもあります。清水臆人がイケメンだから許されてるキャラクターであるなら、こやつと瀬古は「バカだから逆に許されてるキャラクター」なのではないかと。
年長者ということもあり、バカなことを除けば案外、人格者。あの瀬古ですら敬語で話す人物です。終盤戦では皆と仲良くなれない瀬古や武くんを要所要所でフォローする役回りをこなしてくれました。
キャラクターのモチーフは実在の政治活動家、又吉イエス氏。ぶっとんだ主張に反してQRコードを使いこなせていたりと意外に細かいところで器用だったりするキャラクターが、そのまま慈恵イエスに受け継がれています。nlpは又吉イエス氏の主張に賛同する者ではありませんが、今の日本で1番真面目に政治活動を行っている方だという認識があり、そういう意味では又吉氏の熱烈なファンであると言えます。1票は入れませんけど。
ちなみに彼の決め台詞の謎の叫びは特に意味はない言葉なので、深く考えないでください。nlp他作品の精神が破綻した主人公の成れの果ての姿、なんてことは絶対にありませんから。
・第十の御遣い、モルドレッド(うしさん)
基本的にユルい御遣いたちの中でもトップレベルにユルいお方。慈恵イエスに拉致られていることにすら気づいておらず、言われるままに世界を破滅させてしまうような危うい純朴さが彼にはあります。
実はピヨコットたち下級の御遣いのリーダー格であり、上級天使であるホワイトタイガーの指示を皆に伝える伝達係。彼固有の能力として、機械や生き物に自分の意識を拡散させる「広域テレパシー」が設定されています。
・工務店の親方さん(親方さん)
粋でいなせでワイロに弱い職人の親方さん。江戸っ子です。
10話、11話と連続で登場し、名脇役として話を盛り上げてくれました。
この人がなんの疑問もなくいぬじろうさんとつるんでいるのは、彼がnlpの作品によく出てくる「ひよこさんを助けてくれる親切なおじさん」に該当する人物だからです。
おじさん本人ではなく、そのキャラクターの役割だけを受け継いだ存在。マルゲリー、眼鏡のマネージャーさんとはまた別の形での、nlp作品のレギュラーです。
『11/12話 ☆ 遠距離恋愛~A long vacation (2018/02/26 02:25) 』
最初から予定されていたエピソードのひとつ。「おねがいマイメロディ」のバイク乗りのおじいさんの回を観て、こんな話が書けたらイイナ!と思ったのが発端です。
お気楽学園ラブコメとはいえ、恋愛を書いている以上、「愛する人のいなくなった人生をどう生きていくか」というのは避けられないテーマであるとnlpは考えており。本筋がお互い好きあっていることがわかってハッピーエンド!という、いってみれば「恋愛の始まり」で終わってしまうため、そのテーマは最終決戦前の最後の1エピソードとして扱うことになりました。
テキトーな恋ナル☆では、わりと簡単に世界や人類を滅ぼす、滅ぼさないという話がギャグ的に出てきますが。本来、一人の人間にとって1番大切な誰かがいなくなるという事は、世界が滅びるのよりずっと重く、大変なことなんだよ?という話が書けたことで、最終話の危機感がグッと重みを増すことになり、構成として正解だったと思います。
当初の構想では徳太郎さんは従軍経験者であり、出征中に吉江お嬢さんが米軍の空襲で亡くなるという筋だったのですが。徳太郎さんがものすごい高齢になってしまうのと、ここで黒ひよこに「洒落にならない酷いこと」をやらせておきたいということもあり、変更となりました。吉江お嬢さんの最期に関しては1度書き上げたあと、どうしてもしっくりこなかったためすぐに書き直し、「もともと死ぬ運命だったけど黒ひよこのせいでそれに徳太郎さんが関わってしまった」という形で落ち着かせています。
もう1つのテーマとしてあったのが、「御遣いたちの活躍を書く」こと。基本的に奇跡を起こしてくれる舞台装置でしかない彼らにも本当はいろいろ複雑な事情があって、日々、いろいろな事を考えて過ごしているのですよ?という部分にスポットが当たる話を1話、最終話の前に書いておきたいなあと。そのため、サトミさんたちは今回、冒頭のバレンタインイベント以降はお留守番となりました。
・太陽徳太郎(徳太郎さん/親切なおじいさん)
さりげなく2話から既に登場している、「親切なおじいさん」その人。サトミさんとピヨコットが組むことになった原因を結果的に作ったキーマンでもあります。口調から察するにたぶん、九州男児。
命名規則は男性キャラクターのソレに準じているのですが、構想段階でテキトーに「徳太郎さん」と呼んでいたらなんかもう、徳太郎さんとしてnlpの中で固定されてしまったため、そのまま徳太郎さんで書くことになりました。
最終話で幽霊として病院の待合室に現れるという案もあったものの、完全に成仏してしたのが台無しになってしまうこと、サトミさんと基本的に絡みがなかったことからそれはボツとし、エピローグで空から優しく見守ってくれるだけに留まりました。
・第十一の御遣い、辰巳
十二の御遣い唯一の女性人格であり、唯一の漢字ネーム。日本での生活が長く、江戸時代あたりに日本を訪れたいぬじろうさんと「なにかあった」らしい、という設定があります。そのへんはいつか、番外編的に書けたらなあと。
いぬじろうさんとは付き合いが長く、わりとムチャ振りをしてくるいぬじろうさんに従っている健気なお人。その正体は黒ひよこやいぬじろうさんと同じ魔界の眷族。最終話のいぬじろうさんが変身するシーンでは彼女も和装の美女に変身するアイデアがあったのですが、ただでさえ長い最終話が余計収拾つかないことになるため、そのくだりはマルっとカットしています。
去っていくもの、それを見送るもの。そのどちらにも悲しみはある。恋ナル☆なりの死生感をいぬじろうさんと語り合う屋上のシーンは、全編を通しても十分に納得のいく出来となった数少ない場面です。
・吉江お嬢さん(吉江お嬢さん)
徳太郎さんの憧れのお嬢様。どこか浮世離れした方であり、当然のごとく巨乳。
幸恵さんを彷彿とさせるキャラクター造形ですが、この二人には特に設定上も関わりはなく、単にいぬじろうさんの好みがこのタイプの女性だというだけだったりします。
悲恋のヒロインということでこの上なく美しく、魅力的に、かつ、危うさのある女性に描くようイメージして書きました。概ねそれは達成できたのではないかと思います。
『12/12話 ☆ 病怨愛 ~yamnderet~ (2018/04/15 02:24) 』
最終話との連作となる、前準備回。折り返し前の第6話に対応する回なので、今度はサトミさんサイドが1度、完全敗北。最終話のクライマックスであるサトミさんの復活を書くため必要不可欠なエピソードだったのですが。
これが。書き出してみると予想以上につらく、今まで一生懸命頑張ってきたサトミさんが酷いことを言われたり、落ち込んで酷いことになったりするシーンはものすごい時間と意思の力を必要としました。ノリノリでここぞとばかりにサトミさんを否定するイケメン新帝と「うるせえ!お前にサトミさんの何がわかるんだよ、死ね!」と心の中で戦いつつ、どうにか書き上げたエピソード。その仕返しとばかりにイケメン新帝は最終話でひどい扱いを受けることになります。
サブタイトルの『yamnderet』は『ヤンデレ』をフランス語風に表記した造語。けっこうソレっぽくて気に入っています。
・新帝圭二(圭二さん/イケメンな方)
学園ラブコメを書くにあたり、とりあえず主人公に恋をさせなくてはいけないので登場したキャラクター。1話時点ではサトミさん以上にキャラが固まっておらず、普通にやさしいイケメンだったりします。
書き進めるうちに「ああそうか、こいつにヒロインやらせればいいんだ」と思いつき、そこから段々と性格が決まって行きました。
サトミさんに何かと言えばチョッカイを出し、すぐにヤキモチを焼き、「べっべつにあんな子のこと興味ないし!」とそっぽを向いてしまう彼。そう、彼はツンデレヒロインなのです。
回を増すごとに困ったことにどんどんただのクソ野郎になっていき、このままではサトミさんに好かれる要素が皆無だぞ?と思い直したのが第8話。そこでカッコいい活躍と、ツンデレの一端を垣間見せたことが、最終的な彼のキャラクター造形に大きく関わったものと思われます。
なお、恋ナル☆の世界観はシュールなようでいて「1度やってしまったことは取り返しがつかない」という意外とシビアなルールがあり。ロリコン党もイエスの楽園も都合よく「なかったこと」にはならないし、徳太郎さんも死んでそれっきり。で、半年ほど中学校に潜り込んでいた彼などは、エピローグで高校に復学した際に「中学生のフリして半年間中学校に通っていたド変態ロリコン野郎」としてまわりから認識されている恐れがあります、THE ざまあ。
全編を通じて悪者として描かれ、その人物については最終話まで細かい描写のなかった彼ですが、これは「実はイケメン新帝はツンデレだったんだよ!」というオチにもっていくための意図的なもの。nlp個人としてはサトミさん、幸恵さんと並ぶ「書いていて楽しい」お気に入りのキャラクターとして成長してくれました。
彼のことは「イケメン新帝」と呼ぶのが1番しっくりくるので、この解題ではそうよばせてもらっています。
§ 最終章 §
『13/12話 ☆ 純愛 ~Yes, fallin'love~ (2018/06/03 00:30)』
本来はこの最終話も、普通に『第13話』として書く予定だったのですが。実際に書き始めてみると前半1/3程度で既に通常の1話分程度のボリュームがあり、下手をすると1話の字数制限に引っかかる恐れがあったため、急遽別章を作成。場面ごとに1話とする形で書かせて頂きました。それにより、長さを気にすることなく予定していたほぼすべての場面を余さず入れることができ、結果的に正解だったかと思います。
定家先輩無双に始まり、乙女のピンチ、いぬじろうさんの変身、怪獣大決戦、チーム変態告白大会、そして、サトミさんの復活と物語の決着。恋ナル☆を書き始めて以来、何度も何度も頭の中で繰り返したシーンが実際に文章として形になっていくのは遂にここまできたという達成感がある一方、お馴染みのキャラクターたちがひとり、またひとりと役割を終えていくのは作者として、妙な寂しさを同時に感じるのでした。
恋ナル☆各話は最終的にここに繋げることから逆算して書かれているため、最終話が1番破綻なく、難しく考えずに書けたのは自然な流れだったのかもしれません。
細かい変更は多々あれど大まかな話の流れに変更はなく、恋ナル☆のフィナーレを飾るのにふさわしい最終話となったと満足しております。
・最後の御遣い、ピヨコット(ひよこさん)
この人は、アレです。nlpの書く話によく出てくる、あのひよこさんです。
12話で雑に捨てられて以降、最終話で復帰するまでなんとなく世界を旅していたらしいのですが。そこは時空を超越した存在である御遣いのこと。その間に、いろいろな時代、いろいろな世界で様々な人と出会い、様々な経験を積んできたことでしょう。それでも何事もなく普通に帰ってきてしまうのが、このひよこさんのすごいところです。
当作ぶっちぎりで最強のキャラクターであり、何もしなくてもいつの間にか勝手に物事が解決しているというすごい存在。その上、本人の戦闘能力もいぬじろうさんと同レベルだったりします。誰も逆らえません。
最終的にはサトミさんのパートナーではなく、イケメン新帝を救うために現れた存在であることが判明。このひよこさんでなければ救えないほど、逆説的にイケメン新帝がひねくれクソ野郎だということでもあります。
12の神器が集うシーンのモチーフはゲームボーイの「ゼルダの伝説」から。楽器を集めていくと音が増え、最終的に曲が完成するという仕掛けが、少年心に強力なインパクトを与えたゲームでした。
§エピローグ§
『それから。(2018/06/03 17:15)』
登場人物たちのその後を描いた、最後のエピソード。意図的にキャラクターの固有名詞は避け、それぞれのキャッチフレーズ?で語られています。幸せそうに過ごしているもの、相変わらずなもの、なんだか将来が不安になるもの、ゆく道はそれぞれですが。彼らはきっと、この後もテキトーに、くじけず強く、楽しく生きていくことでしょう。願わくば彼らの、そんな姿をずっと書いていたい。そんなnlpの想いが、最後の英文には込められています。
…ずっと、ずっと続いていく、決して、決して終わらない物語。次の最終戦争でお会いましょう!ともろに続編のあるような終わり方をした本作ですが、今のところ第2期に続く予定はなく。それでも、今度は12星座をモチーフにして、黒ひよこと組んだ文化祭執行委員長先輩が主人公のお話を…なんてことを、たまにボンワリと考える事があります。ご愛読頂いた方、ありがとうございました。いつか、いつの日か、また、きっと。次の最終戦争でお会いできますことを。
・ナレーションの人
この物語の語り部となった人。丁寧語でたまにけっこう毒舌なこの方は、いったい誰なんでしょうか。nlpの中ではどこかで見守ってくれている、全宇宙の大いなる意思みたいなものだと結論付けています。
全宇宙の大いなる意思が借金を気にしたりしているあたりが、実に今作のテキトーなノリを象徴しているようで好ましく思います。
なにかとこの人がいると便利なので、今後もトゼンサウ含む「ふしぎ文学部」シリーズはこの方に語って頂きたいのですが。
とりあえず、お疲れ様でした。




