9部
「お電話代わりました山本です。緑山学院大学の方がどのような御用でしょうか?」
その場にいる全員が山本のよそよそしい態度に対して、電話の相手があまり好ましくない、あるいは、面倒な人物なんだろうと思った。
「何だよその言い方?まあ、いいか。
直接渡したい物があるので、俺の研究室に来て欲しい。
お前にとって重要なものだ。
今後のお前の捜査にも絶対に役立つものだから、絶対に来いよ。」
「どなたかと間違えられているんじゃないですか。
私は山本ですが、あなたのお知り合いではないと思います。」
「そうですか。では、山本勘二警部に再度言います。絶対に来い!」
そう言って、電話の相手は電話を切った。山本はため息をついてから、
「仕方ない、行くか。」
「一緒に行きますか?」
上田が聞き、山本は少し考えてから
「いや、俺の私用だからな。
上田は、藤堂と一緒に引き続き贈収賄について調べといてくれ。」
「じゃあ、誰と行くんですか?」
上田が聞き、山本は課長室を指さして、
「暇人が一人いるだろ。」
「ああ、いいんですかね?」
「別に一人で行けばええんちゃうか?」
上田が聞いた後、竹中が言い、山本が
「もし、重要な情報だった時に、他にも聞いといた人がいる方がいいかなと思ったんですが。」
「まあ、そうやな。黒田ちゃんなら喜んで行くんちゃうか。」
「それは置いといて、竹中さんは標的になった人物の共通点探しと、次に誰が危ないかを調べといて下さい。」
「わかった。」
竹中の返事を聞いて、山本は課長室のドアを開けて、
「そういうことなので、同行をお願いします。」
「あ、はい」
黒田はどうやら一部始終を聞いていたようで、何も反論することなく、了承した。