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71部

「おそらく、『佐和田』達が次に流してくる情報は山本警部が受け取ったUSBの中にある情報のどれかでしょうね。」

 大谷は山本が三倒会で受け取ったUSBを解析したところ消去されたデータを復元することに成功して、その内容を確認できたことからそう言った。

「その内容はどんなもんがあったんや?」

 竹中が聞くと、大谷は資料を確認しながら

「あまり声に出して話しすぎてもやばい内容ですよ。

これが世間に出た瞬間に国が現在進めている政策が揺らぎ始めて、実現するもの等10に1つくらいになるかもしれません。」

「誰かが献金をしたから動き出したプロジェクトが、国策のほとんどを占めてるってことか?」

 竹中の問いに大谷は黙ってうなずく。山本がその資料を受け取って目を通していく間、誰も何も話さなかった。完全に山本の指示を全員が待つ状態になったのだ。山本は資料を置いて、

「この情報が全て正しいとして、全部を一斉に配信することはできないと思う。全部のテレビ局に直接送りつけたとして、番組で紹介されるのは、よくてあの有名人が大物政治家の隠し子だったとか、大物政治家のくだらない性癖の話とかぐらいだろうな。

 テレビ局でも流していい情報とそうでないものくらいは判断するし、放送する上でかなり危険な情報もある。なにより、医療関係の政策に関しては、それ自体がストップすることによって助かった命が助からないなんてことにもなりかねないから『佐和田』達も情報の正確さだけじゃなくて、その結果についての是非も議論はしてるはずだ。」

 山本の置いた資料を伊達が拾い上げて、

「でも、ここに載っている情報が全て正しいなら、特定の誰かの利益ために国の政治が行われていることになるじゃないですか?

 それなら、そのことを公にして本当に国のための政治が行われるような状態にした方がいいとも思いますけどね。」

「アホかお前は!じゃあお前は佐和田たちが情報流してから動けばええとか思ってるんやないやろな?」

 竹中の問いに笑顔で

「不正は正さなければいけませんし、犯罪者が不正を暴露してくれば、こちら側の面倒が一つ減るからいいかもしれないなとは思いますよ。」

「な、なんやと~!」

 竹中が詰め寄ろうとしたところで今川が止めて、

「落ち着きましょうよ竹中さん。

犯罪行為を見逃すことはできませんけど、この情報もこのままにしとくわけにはいかないんですから、事件が解決した後で対処するわけですし、え~と、その・・・・・」

 今川は精一杯竹中を落ち着かせようと言葉を探しているようだ。

「竹中さん、とりあえず落ち着いてください。伊達も勝手なことはするなよ。

相田さんに頼んで、おかしな情報がテレビ局内に広まりだしたら、教えて欲しいとは伝えてあります。これで、テレビ局を通して情報を流すことはある程度は察知することができるようになると思います。

 ただ、同じような手段を使ってくるかどうかが問題です。」

 山本が言うと、竹中も冷静さを取り戻したのか伊達から距離を取る。伊達も資料を見ながら少し後ろに下がった。その様子を離れた所から見ていた上田が

「警部ならどう動きますか?

 今まで通りにはしないなら、どんな手を使いますか?」

「広く世界に発信するなら、インターネットが最適だが、情報量が多すぎるうえに、デマとかも多いから情報の信ぴょう性が低い。そこでこんな作り話みたいなぶっ飛んだ話を公開されても誰も信じないだろうからインターネットは使えないだろうな。

 だからと言って、テレビ局や新聞社に情報を渡しても警戒されて使われない。

そうなると・・・・・・・・」

 山本はそこまで言って考え込む。「そうなると」の後の言葉が出てこなかったからである。

それを見た伊達が

「俺ならバラエティー番組の街角ロケみたいなやつのカメラを奪って情報を伝えますね。

生放送なら誰かに編集されることもないし、武器でもちらつかせて『放送を止めれば出演者とか町の人を殺す』とでも言っとけば、テレビ局側も放送を切り替えられないでしょうから。」

「・・・・・・・・・・・・」

 誰も何も言わないことに伊達が焦って、

「なんで誰もツッコんでくれないんですか?逆に怖くなるんでやめて下さいよ。」

「あほか!テレビ業界関係者の西川が犯人グループにいるんやから、その可能性が否定できへんし、そんなこと実際になったら警察も動きにくくなるし、最悪の展開やぞ。」

「竹中さんの言う通りだな。大谷、各テレビ局に生放送で行うロケがないかを確認して、警護を付けられるようにしてもらってくれ。」

「わかりましたがテレビ局が協力してくれるでしょうか?」

「自分の局でこれ以上の不祥事は避けたいはずだ。ごねるようなら事件について情報を渡せ。

最優先は市民の安全だからな。」

「了解しました。」

 大谷はそう答えて部屋から出て行き、竹中が

「じゃあ、俺は西川とかと仲良かったテレビ局職員に怪しい奴がいんか知らべるは。

もしかしたら、ロケの情報とかを流すかもしれへんからな。」

 竹中が出て行くと今川もそれを追いかけて出て行った。


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