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27部

「警部、何があったんですか?」

 応援とともに駆け付けた上田が聞き、山本が

「暴力団の下っ端に襲われただけだ。そんなたいしたことじゃない。」

「何か危ない捜査でもしたんですか?」

「どうだろうな。佐和田のことを探していた暴力団だったみたいだから、あのUSB関連かもしれない。あのUSBの存在を誰かに話したとかはあったか?」

「竹中さん達が出版社であのUSBをもとに情報を引き出したというのはあったみたいです。」

「それは最近の話だから違うかもしれないな。

多摩川の焼死体がもしかしたら、その暴力団の仕業かもしれないようだからな。」

「それってかなり重要な情報ですね。じゃあ、その暴力団からあたりますか?」

「いや、まずはあいつらが知ってることを調べてからでいいだろう。」

 山本はそう言って木村たちを指さした。上田は他の警官に体を起こされている二人を見て、

「警部にしては手荒い対応をしたんですね。あそこのヘルメットなんて思いっきり割れてるじゃないですか?」

「俺じゃねえよ。」

「じゃあ、誰がやったんですか?」

「伊達正輝・・・、あいつの階級は何だろうな。」

「伊達ってまだ来てない北海道からの追加人員ですか?」

「ああ、かなりぶっ飛んだ奴だった。鉄パイプでヘルメットを被っていたとはいえ、顔面を思いっきり振り抜きやがった。一歩間違えば死んでるとこだったぞ。」

「そんなにやばいんですか?」

「犯罪者には人権が要らないみたいなことも言ってたから、相当やばいな。」

「それで、今はどこにいるんですか?」

「さあ、わからん。この場を俺に押し付けてどこか行ってしまったからな。」

「そんな勝手な行動を許したんですか?」

「竹中さんが、あいつのことを『独断龍』って呼んでたのを思い出してな。

それに、黒田さんには報告を入れてるみたいだったし、暴力団の事務所のガサ入れをするみたいなことを言ってたから、そのへんの手回しをしてるんだろう。」

「物凄い奴ですね・・・・・・・」

 上田が言ったところで、木村が

「おい刑事さん、俺の知ってることは何でも話すから、その代わりに俺らの身の安全を保障してくれ。さっきの若い刑事があんたに頼めば何とかしてくれるって言ってたぞ。」

「わかった。上田、この二人の身元の保護と事情聴取を頼む。」

「警部はどうされるんですか?」

「まだ少し調べたいことがある。それにあの伊達ってやつの動向も監視したいから、今後は伊達と動くことにする。」

「そうですか・・・・、わかりました。くれぐれも気を付けてくださいよ。

今回のことのようなことがまた起こるかもしれないんですから。」

「ああ、わかってるよ。」

「それじゃあ、定期的に連絡入れるんで、こっちにも情報を教えてくださいね。」

 上田はそう言うと一緒に来た警官に向かって指示をして車に乗って去っていった。


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