16部
「警部・・、山本さんにも報告しといた方がいいですよね?」
今川が言い、竹中が
「まあ、慣れるまではかかるけど、頑張れや。
そうやな、山本は一人で動いてて何してるかわからんから、とりあえず報告がてら状況を聞いてくれるか?」
「わかりました。」
今川はそう言って、電話を取り出して、山本にかけるがいっこうに繋がる気配がない。留守番電話になることもなく、山本の電話は切れた。
「出ませんね。何か取り込んでるんでしょうか?」
「捜査中なら仕方ないな。また後でかけ直しといてくれ。」
「それにしても、ブラックジャーナリストが新聞記者を名乗ってたのと、焼死体で発見されたとなると、その取材先の相手に消されたと考えざる得ないですよね?」
大谷が言い、竹中が
「新聞記者を名乗ったのは、自分が出した情報の信用性を高めるためやとも考えられるやろ?
誰かに命を狙われてるから山本に助けてくれって言ったんやとしたら、そのへんの警察では守り切れへんほどの権力を持った奴に狙われてるゆうことやな。」
「じゃあ、やはり国会議員かあるいはそれに献金をしていた大物ということなんでしょうか?」
今川が聞くが、現時点では応えられるものがいなかったので沈黙が続く。
「まあ、どっちにしてもやで、そのUSBに入ってる情報からでは次の標的がわからんから、晩夏の方に行って、そのへんの情報を聞きだすしかないやろな。」
「大手の出版社なら、過去に佐和田と取引していた可能性はありますからね。」
大谷が言い、今川が
「でも、答えるとも思えないですよね。どうしますか?」
「そんなもん、行き当たりばったりで何とかするしかないやろ、グダグダ言ってんと早く行くで。」
竹中が足早に進んでいくが、今川と大谷は顔を見合わせて、
「竹中さん、そっちは駐車場じゃないですよ。」
今川が言い、大谷が小さな声で
「竹中さんって方向音痴ですよね?」
「そうだね。」
そう言って、今川は苦笑した。