入学式-1
新キャラ、新キャラ!
川辺の桜が満開に咲き乱れる春の朝。
カーテンの隙間から差し込む光に目を覚ます一人の少女。
「んーー」
体を起こし、そのまま体を伸ばす。
新しい制服に腕を通し、スカートをはき部屋を出る、リビングに行きエプロンを着て朝食の準備を始める。
朝食を作り終えお弁当の準備に取り掛かろうとするところでちらっと時計を見る
「あ、もう時間だ、パパ起こさないと」
フライパンや、鍋などで使っていた火を止めたったったと父の寝室に向かう。
父の寝室の扉を開けカーテンを開ける。そして、息を吸い込み一気に吐き出した。
「お父さん、朝だよ起きて!」
「ん、あ、んー、あ、おはよう春菜」
「おはよう、お父さん」
のっそりと体を起こし、クリーニングに出していたであろうスーツに着替えながら父が春菜に朝食のメニューを聞く
「今日の朝ご飯はなんだ?」
「今日は、こないだお父さんがたくさん持って帰ってきた卵で作ったスクランブルエッグだよ」
「あぁ、福引の二等で当たった卵1000個か」
「突然、家の前にトラックが止まった時はすごくびっくりしたんだからね?そうそう、今日の晩御飯にも卵料理出すつもりだから覚悟しておいてよ?」
「ここ最近は、卵ばっかり食ってるきがするよ」
「しかたないじゃない、これでもお隣さんとかにも配ったんだよ?」
そんなたわいもない会話をしながら、リビングに向かい朝食の準備された机につく
「じゃあ、食べるか」
「そうだね」
「「いただきます」」
「あ、お父さん、今日、中学校の入学式なんだけど準備できてる?」
「あぁ、大丈夫だよ、昨日のうちに全部終わらせておいたからな。もう、春菜も、もう中学生か...早いもんだなぁ、なぁ夏樹」
夏樹が交通事故で死んでからもう四年がたった。その四年の間に春菜が情緒不安定になっていたり、春菜がまだ中学生になったばかりとは、思えないほどの家事スキルを身に着けたりと、冬夜は、冬夜で共働きであった柴咲家を一人で支えるために浸って長い間、感傷に浸ることもできず、夏樹が死んだ事実から目を背けるようにして一心不乱に仕事にのめりこんだ結果、現場の指揮をすべて任されるくらいには出世した。
そんなこともありながら、最近になってやっと落ち着いてきたところでいくつかのルールを二人の間に作った。朝食を二人で食べるというのもそのルールの一つだ。
「今日も、秋華ちゃんは来てくれるのか?」
「うん、春休みの間に今日のことも話したからね。一緒に行くことになってるよ。あ、そういえば今回は珍しく休みがとれたみたいで奏さんも来れるらしいよ」
「そうなのか、それは秋華ちゃんも喜んでたんじゃないか?」
「それはもう、おとなしめな秋華ちゃんが飛んで喜んでたから」
秋華とは、宮古家の一人娘で春菜の幼馴染だ。そして、柴咲家のお隣さんで夏樹が生きていた頃からの付き合いである。宮古家も柴咲家同様に片親で母の奏が若いころにはっちゃけていた時にできた子供で男もまだ若かったためか逃げだしてしまったため結婚をしてないシングルマザーとなったらしい。よく笑い、よく喋る人だ。まわりからは、よく悩みなんてなさそうだねなんて言われている。
そんな、母とは違い娘はすごく落ち着いていて静かな子だ。しかし、一度熱が入ったら母以上に活発に動きしゃべる子に早変わりする。そんなギャップに様々な男子が秋華に落ちている。
「そろそろ、秋華ちゃん達くるんじゃないか?」
時計の針は、7時30分を指している。
「うん、そろそろだよ。7時50分には来るからって言ってたよ」
「そうか、なら大丈夫だな」
先に食べ終わった春菜が、席を立ち
「食べ終わった食器はちゃんと流し台においててね?この間、テーブルの上におっきぱなだったんだからね」
「う、それはすまんあの日は特に急いでてな、気を付けるよ」
「わかってくれたらいいんだよ」
そのまま、笑顔でリビングを出て行った。
その、すぐ後、冬夜も朝食をを食べ終え食器を流し台に持っていきそのままコーヒーを淹れる。
出来上がったコーヒー片手にぼーっとしていたとことで玄関のチャイムが鳴る。
ーーピーンポーン
「春菜ー、秋華ちゃんきたぞー」
「はーい、すぐ行くー」
「あ、今開けますねー」
ドタドタと階段を下りてくる春菜に、少し急いだように玄関を開ける冬夜
「おはようございます、冬夜さん」
「おっはよー、とうやん元気してた?」
「おはよう、秋華ちゃん。奏、お前はもうちょっと秋華ちゃんを見習ったほうがいいんじゃないか?」
「私は、いいの。でもしっかり私の血を継いだ娘だよ」
「は?どういう意味だよ」
疑問を浮かべる冬夜に「そのままの意味だよ」と含み笑いをする奏、顔を真っ赤にする秋華
そんな、三人を見た春菜は、「どうしたの」と困惑している
「ま、いいや行くよとうやん」
「その呼び方、やめてくれないか」
「なかよしですねー」
「仲が良すぎるのもどうかと思うけどね」
そんな、いつも会うたびに同じような会話をしている親二人に楽しそうに見ている少女と、あきれたように見る少女が、顔を見合わせて笑っている。
「はいはい、そろそろ出発するよー」
「さすがは、春菜ちゃん大人だねー」
すかさずちゃちゃを入れる奏をきれいにスルーして、三人は学校に向けて足を進め始めた。
「まってよー」
その後ろを焦りながらついてくるもう一人も含めて入学式に向かう。
奏と、冬夜での再婚なんてことはないのであしからず。
奏は、けっこうお気に入り(笑)
11月14日誤字修正