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砂
辞書引き連想シリーズ第一弾。予想以上に短くなりました。
透明な上下の三角の間を、砂が走る。
さらさら。さらさら。
横目でそれを見つつ、頭の中で勝手に音を付け加えて、私はノートにペンを走らせる。
さらさら。さらさら。さらさら。
上の三角に残る砂は少なく、後もう少しだとういを視認しつつ、私はシャープペンを押した。
さら、さら、さら。
最後の砂が落ちて少し、私もペンを置き、椅子の背もたれにもたれて、思いっきり背伸びをする。
「とりあえず、休憩するかー」
その言葉を聞き計らったかのように、夏の爽やかな風が吹き、本のページを閉じる。
○×大学過去入試問題集と大きく書かれた赤い本。
「受かるかなぁ」
それは未来の私しか分からない。
ただ、今の私に出来ることは、窓辺に映る入道雲と同じくらい努力を重ねることだけだ。
本命試験まで、残り約半年。
勝負の夏真っ只中。