過去へLet's go!
眠い。
「……?」
何もない空間の中、俺は寝ていた体を半分だけ起こす。
「……どこだ……?ここ……?」
「あ、起きた」
何もない空間の中、やけに神々しい雰囲気を纏いながら一人の幼女が上空から現れた。
幼女は、白い羽衣を纏い、黒髪を背中まで垂らしている。
「ここ……は……?」
「ここは……うーん?何だろうね?君達のことばを借りるなら『天国』ってやつ?」
『天国』――そのことばを聞いて、俺の身体はピクリと反応する。
「て、天国?」
「うん。天国。ここは時間も空間も関係ないからね」
関係ない……どういう事だ?
俺が黙っていると、幼女は「あっ、そうか。説明してなかったよね」と言い出す。
「あなたと言う人間……高柳柚木は、2099年、2月28日。午後十時に自然死で死にました」
……いきなり何をこの幼女はほざいているのだろうか。
「あ?納得してない?じゃあ、自分の姿を見てみてよ」
幼女がそう言うと、俺の目の前に一つの手鏡が現れた。
それを手にとり、覗き込み。
そこで、有り得ない姿を見ることになった。
「……え……?」
その鏡に写っていた姿は、……約、80年前の俺の姿だった。
「驚いた?」
幼女が俺の顔を覗き込む。
「……死んだ……というのは本当に……」
自分の顔をペタペタとさわるが、感触がおかしくない。自分の顔そのものだ。
「……やっぱり死んだのか……」
よくよく考えてみると、2月28日。午後十時ぐらいからの記憶がない。
「信じてもらえた?じゃあ……どうする?」
「……どうするって……何だ?」
その『どうする』という言葉の意味が分からない。
「だから……記憶なしに未来に転生するか、記憶ありに過去に転生するかどっちにする?」
「……は?」
いきなり物凄いことを言われた。
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整理するとだ。
まず、俺。『高柳柚木』は死んだらしい。2月28日、午後十時に。
そして、死んだ者ならよっぽどの事をしなければ訪れられるという『天国』にいるわけだ。
……なんか凄いことになってないか?
「さあさあ!!早く決めなよ!後が詰まってんだからさ!」
「後?……あぁ……」
そういや、死んだやつ全員ここ来るんだっけ?
それにしても。
「過去か未来か……なぁ……」
未来に行くと記憶が消える。過去に行くと、記憶は残る。
…………。
「なあ、記憶を持ったまま未来ってのは……」
どちらか悩んだので、一応聞いてみる。
まあ、「無理」と即答されたが。
……どうしようか。
そんな感じで、しばらく悩んでいると、
「あぁぁぁ!!じれったい!!はいッ!!」
悩みすぎて痺れを凝らした幼女様は、どこからか取り出した二枚のカードを俺に投げてきた。
「これは……?」
某決闘者のように指二本でカードを受け取る。
「何時までも決まらないから私が用意したの!!この二枚には、『過去』と『未来』って書いてあるから、どっちか引くなりなんなりして早く決めて!!」
なる程なる程。運任せと言う事ですな。
そこで、俺は二枚のカードを床に並べ、裏側にしてシャッフル。一度目をつむり、幼女にシャッフルしてもらい、一枚引いた。
『過去』
……うぉぅ。戻るのか。
「どっちを引いたかなっと……あ、過去だね。じゃあ、思い残す事は?」
は?もう行くのか?ちょっと待ってくれよ。
「無理。面倒」
……わがままだな。ツルペッタン。
「な!?これでも一億年と二千年前から生きてるんだよ!?」
「ていうか、お前は俺の心を読むな」
「うっさい!」
……あらら。幼女様様が怒ってそっぽ向いちゃった。
だが、すぐに向き直る。
「こんな事してる場合じゃなかったんだ……あんた!もう過去に送っていい?」
「ああ。いいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
返事、まだ全部してないのにとばされた……。-----------
気づいたら目の前は地面だった。
鳥がギャーギャー鳴き、何かがグルァァァァァァァ!!と……。
「って、おかしいだろ!?」
急いで、うつぶせになっていた身体から立ち上がる。
「……おぉ……!」
そして、目に入ってきた光景に息を呑んだ。
密林だ。( そこのやつ!アマゾンだかんな!某密林の会社じゃ無いからな!)
見たこと無い植物がたくさんあるところを見ると、本当に過去に来たんだろうか?なんかワラビを大きくしたような物もあるし。
そして、俺のいる場所はうまい具合に開けていて、大きな木にぐるっと囲まれている。
そんな感じで、辺りを見渡して居ると、一つの違和感に気づいた。
目が見えるのだ。
いや、お前バカか?とか言わないでくれ。ただ、年とって視力がDDの俺が見える事がおかしいだろ?そう言う事だ。
どうゆうことかと考えていると、足元に手鏡が落ちていた。
幼女のとこから持ってきてしまったのだろうか。
それを拾い上げ、鏡を覗き込む。
「……!」
鏡に写っていたのは、かつての15歳の頃の俺だった。
鏡のなかの俺は、驚いた表情をしている。
……いやいや。まて。これって……本当に……!
「か、過去にきたぁぁぁ「グルァァァァァァァ!!」ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
思った事を叫んでいる途中。俺の背後から、雄叫びが上がった。
ドシンドシンと地響きがなる。
「…………」
俺はゆっくりと、後ろを向いた。
「グルル……」
「や、やぁ。こ、こんにち「グルァァァァァァァァァァ!!」わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ガチンッ!!
突然の奴の雄叫びで――恐竜の雄叫び で尻餅をついた俺だが、それが幸いだった。
恐竜が噛みついてきたのを避けれたからな。
…………。
「ギャァァァァァァァァァァァ!?」
俺は、その場からすぐに逃げ出した……が。
「ガァァァァァァァァァァァ!!」
またまた地響きを鳴らしながら俺を追いかけてくる。
よだれをダラダラ垂らしながら、それをあちこちに撒き散らしながら追いかけてくる。
「俺なんもやってないぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
別に何かを取った訳じゃないし、怒らすような事もやってないよな!?まだここ来て30分も経ってないし!?
……。
…………。
………………。
疲れねぇなこいつ!?……いや、そりゃあそうか。恐竜だもんな。
それにしても、恐竜と張り合って逃げ続けている俺は一体……?
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走る走るとにかく走る。しかし、追いつかれそうだ。
……こりねぇなぁ……。
……つうか、関係ないがなんで恐竜の体色がピンクなんだよ!?しかも黄緑色の斑点あるし!?気持ち悪っ!!
「グギャォォォォォォォォォ!!」
こいつ言葉分かるのか!?
……もう嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……。
(-.-)zzZ