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第一章・物価とお金

こんにちわ。西と申します!

現在中学生なので色々おかしいところなどあるかと思いますが

良かったら感想など頂けるとうれしいです。

ーーーーーname莱人 西暦2678年12月25日9時52分ーーーーー

「これが強化骨格・・・?」

俺は自分の体にぴったりと密着しているマットブラックの服を見回しながらつぶやく。

よく見るとその表面にはカーボンナノチューブ独特の模様が浮き出ている。

「実感がわかないでしょ?でもね。」

そう言って聖月は赤い何かを俺に向かって放り投げる。

それを普通に受け取ろうと片手を出してその赤い物体を軽く掴んだ瞬間にそれは粉砕した。

中から飛び出してきた芳醇な香りの汁が回りに飛び散って光り輝く。

「この匂いは・・・りんご?」

「そうよ。」

・・・っておい。確かりんごを潰すには80kg程度の握力が必要なんじゃなかったか?

俺は3日前・・・いや数百年前に見たテレビ番組を思い出した。

それはスポーツ選手がりんごを握りつぶすというもので確かその選手の握力は83kg。

それだけの握力を持つ人間が苦戦するものを俺は今意図も簡単に成し遂げた。

「ははは・・・嘘だろ!?」

「いえ。嘘じゃないわ。その強化骨格を身につけたあなたの握力は1tを超える。

軽く力を込めただけでも生身の人間なんてあっという間にグッチャグチャでしょうね。」

えーと、1tとは1000kgのことでいいのだよね?1000kg・・・。

「わー、おめでとう!莱人は見事人間卒業したね!」

俺と同じ強化骨格を身に纏った楓が冗談交じりに話しかけてくる。

・・・楓の発育が悪くて助かったと心から思った瞬間だった。

「あ、言っておくと楓が全力で生身の人をビンタした場合はビルの80階から落下したのに相当する

ダメージだからそこんとこ気をつけてね?」

見事に楓も人間を卒業していた。それにしても実際に在り得そうな例えはやめてほしい。

ーーーーーname莱人 西暦2678年12月25日9時13分ーーーーー

俺は他の人達と別れて個室に入っている。・・・全裸で。・・・いやそういうことじゃないよ?

恵雄さんに「二人ともそれぞれそこの部屋に入って服を脱いで待機してくれ。」

と言われたのでこうなっている次第である。

と、数十秒前のことを振り返っていると恵雄さんの声が聞こえた。

「二人ともこれからいろいろなことが起こるが特に問題ないから気にしないでくれ。」

いろいろなこと?などと頭の中で独り言をつぶやいたその瞬間、どこからとも無く突風が吹いてきた。

全方向から吹くそれに抗うことも出来ず煽られる。

その数秒後意識を失うかと思うほどの風がふと止まった。しかし安堵する暇は無かった。

俺の視界が黒で覆われたかと思うとすぐに体にドロドロする液体をかけられたような感覚が体を伝った。

それが流れ落ちるまでの時間すら与えられずに再び先ほどの暴風が俺を襲う。

こんな様なことをあと二回繰り返すと、突如部屋の扉が開いた。

そこから出てきた俺らの体には既に強化骨格が装着されている思っても見なかったが。

「何なんですかあの装置・・・。」

俺がそう疑問を口にすると楓と恵雄さんは「は?」という目でこっちを見てきた。

「いや、莱人あの書類にサインしたよね?あの書類に書いてあったじゃん。」

ちなみにその書類には、

「なお、強化骨格の作成には非常に強い衝撃が伴うため命の保障は出来ません。

概要

・エアダスターによる埃の除去

・カーボンナノチューブ強化基礎の圧着

・不要なカーボンナノチューブの除去

・特殊溶液注入スペース確保のための端材圧着

・余分な端財の粉砕

・骨格外郭の形成および衝撃吸収繊維の編みこみ

・最終仕上げ、研磨

と書かれていた。

ーーーーーname莱人 西暦2678年12月25日10時08分ーーーーー

「良いかい?その強化骨格はそのままでも強化の役割は果たすけど防御に関してはいまいちなんだ。

だから特殊溶液を一枚目と二枚目の間に入れて保護をする。特に特別な作戦のとき以外は

この濃縮カーボン溶液を入れておいて。これが入っている時の強化骨格は50口径の銃弾すらを通さない、

それどころか跳ね返すほどの防御力を持つんだ。」

もちろん、衝撃はそこまで消せないから体に負担が無いわけじゃ無いけどね、と海斗さんは

黒い液体の入った銃型注射器をクルクルと指先で回し、言いながら微笑んだ。

海斗さんはこの組織、ORDER(ちなみに秩序という意味らしい。)の研究員でこの骨格の開発者だ。

痩せ型で髪が青いことを除けば白衣(に見える強化骨格)を着ている博士の典型的外観をしているが

中身はその辺の科学者の比では無い。少なくとも2013年時点での常識ではそうだった。

海斗さんは強化骨格の手首の内側に空けられた銀に縁取られた穴から

濃縮カーボン溶液を注射器で入れていく。相変わらず体に変化は感じないが

これでも強化されているのだろう。

「じゃあ試しに・・・」

そういうが早いか海斗さんは懐から素早く拳銃を取り出しそれを俺の腹に向け引き金を引いた。

パン!という軽い音が一発響いた。しかし俺の体には何も変化は起こらない。

恐る恐る自分の腹を見てみるとそこには原型を留めていない一発の銃弾が張り付いていた。

「やっぱり9mm口径弾じゃ反作用が小さすぎて補助装置は働かないかぁ。」

そう海斗さんは呟いた。一応説明しておくと9mm口径弾でも4発も撃ち込めば人一人殺すぐらい

簡単な無いことなのだ。それを撃ち込まれて怪我をしないどころか衝撃すら感じない・・・。

改めて人類の技術力の高さを思い知った。

「あはは・・・。」

さすがにこれには楓も苦笑いくらいしか出来ないようだ。

このあと楓の強化骨格にも濃縮カーボン溶液が注入され恒例のごとく銃弾が撃ち込まれた。

撃ち込まれた本人曰く「銃って弱いんだねぇ」・・・だそうだ。

ーーーーーname楓 西暦2678年12月25日10時24分ーーーーー

私たちは海斗さんの居た研究室を後にした。いきなり銃弾を撃ち込まれたりいろいろあったけど

意外と人柄がよかったので機会があったらまた来たいと思う。

「おう、終わったか。」

ドアを閉めてからすぐ入隊してから急に人当たりが良くなった恵雄さんが話しかけてきた。

「いきなり銃弾撃ち込まれた時はさすがに驚きましたよ・・・。」

そう莱人は真剣そうな口ぶりで呟いたがその顔には呆れと冗談が表れていた。

「はは、まぁ恒例行事みたいなもんだ。」

それに気づいたのか気づかなかったのかはしらないけれど、恵雄さんも冗談交じりに答える。

そんなやり取りをしながらも私たちは歩き始めた。

数分間の間、“日本”のことやORDERのことを話しながら歩を進めると

「この先居住区」と書かれた扉にたどり着いた。

「25歳未満の者はここで生活してもらうことになる。まぁ地下に作られた街みたいなもんだ。」

そう恵雄さんは言った。

「さぁ。行きましょう?」

聖月さ・・・聖月はそう言ってその扉を押し開けた。

私たちはそれを恐る恐るくぐり抜け、予想外の光景を目にすることになった。

そこは自分たちの想像していた街とは全然違う、どちらかと言えば欧米の都会と言うより

西洋の町並みのような場所だった。地面には石畳がしかれ、両脇には洒落た看板を吊るした店や、

豪快に何かの生物を焼いている屋台などが連なっていた。

活気に溢れていて祭りのような感じといえば伝わるのかな。

「すごい・・・。」

思わず私の口からそんな言葉が漏れる。

「この町並みは昔存在したプラハっていう町を再現したらしいよ。

他にもいろんな国の再現があるのよ。ちなみに私が拠点にしてるのはアメリカの街を再現した場所。

二人ともしばらくはそこに滞在してもらうわ。」

今までの恵雄さんとかの態度から考えても日本を再現した場所があるとは思えないし、異論は無い。

「さぁ。行くわよ。」

そういって聖月が手元のスマホのような端末を操作すると半透明な物質で形成された

階段のようなものが現れた。

「これは電送通路に続く通路のようなもの。これを使えば遠い場所まであっという間に移動できるわ。」

そういって聖月は階段を上り始めたのでそのあとを続いて私たちも上っていく。

上りきった場所にあったのは今上ってきた階段からさまざまな方向に広がっている

太い管のようなものだった。その管の中では光のような線が光っては消え、光っては消えを

繰り返しているように見える。

「さぁ、行くわよ。」

聖月はそういうと階段の最終段から太い管に向かって一歩踏み出す。

直後、ヒュン!という音と共に聖月の姿は見えなくなった。

「・・・これ大丈夫だよな?って、これを使う以外の選択肢は無いんだけど。」

何故か莱人は人の不安を煽るような言葉を残して消えていった。

「私も行くしか・・・無いよね。」

私は自分に最終確認をするという無駄な行動をして、太い管に向かって踏み切る。

飛び込んだ直後、目の前にはさっき上ってきた階段と同じ光景が広がっていた。

私は同じ場所に戻ってきてしまったんだろうか。

「二人ともその格好じゃ目立つわね。上に着る服を買いましょうか。」

そんな疑問を後ろから聞こえてきた言葉が見事に叩き潰す。その声は紛れも無く聖月のものだった。

「えっと、通貨ってどうなってるんですか?」

莱人はこんな訳の分からない状況にもすんなり対応しているらしく、聖月に疑問を投げかけていた。

「えーと、“円”って言ってこういうものを使ってるわ。」

そういって見せてきたのは日本人百人中百人が存在を知っている10円玉だった。

「ほかにも銭、あと厘っていう単位もあるわね。

基本的にはこっちの銭っていう値札が使われることが多いかな。」

・・・銭?それは私の認識が間違っていなければ1円の100分の1の価値しかないはずだ。

確か厘に関しては銭の10分の一・・・。

「まぁ、とりあえず服を買い揃えるぐらいなら10円もあればオールシーズンの服が揃えられるわね。」

その言葉に私は耳を疑った。オールシーズンの服が10円?ありえない。

普通は万単位でで足りるかどうか。下手すれば十万単位の金が掛かるかもしれないのに。

「・・・えーと、一般家庭の食費は月いくら位ですか?」

私は物の物価を把握するため食費をたずねた。

「うーん、月3円ってところね。」

これを人は1000年に一度の不景気と呼ぶだろう。

「自慢じゃないけれど私の年収は4000円もあるのよ?二人に服を買ってあげるぐらいは・・・」

「「いえ、大丈夫です。だってほら。」」

私たちは財布を開いて中身を見せた。その中身は1万円札と1000円札、500円玉に100円玉などだ。

私たちの時代にして見れば頑張ってバイトをすればどうにかなる金額だ。

食費と家賃を親に頼っている高校生ならその分も財布に入るだろう。

「・・・ねぇ。そんだけあったら一生働かずに過ごせるよ?」

今頭の中で計算してみたところ私たちの時代の物価に物を直すと私たちが持ってる金額は

“4億8465万円”となる。私たちはあっという間に宝くじ当選者になったらしい。

ということで、未来生活一日目。

私たちは大金&怪力持ちになりました!


如何だったでしょうか。感想を頂けると嬉しいです。

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