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2018年4月7日 山手線内即席漫才

私にとって大親友といえば煮卵の池田である。


彼とは中学以来の仲であり、野球部かつ山手線ユーザーという共通点を持つ唯一の同級生ということでよく一緒に帰っていくうちに仲良くなっていった。




人は苦しくなった時に本能的に過去を振り返る。


それは社会人なりたてで早速社会の闇に直面してしまった池田も例外ではなかった。


池田からの着信を受けて、この日もまた、思い出話で盛り上がっていた。




正直私と池田の仲であれば、過去の思い出話で語り明かしても時間が足りないほどのストックがある。


特に二人にとって印象的な思い出話が、山手線で毎日のように開催していた即席漫才の話である。


当時、我々は池袋~田端間の約10分という何とも半端な時間を、即席漫才により埋めていた。


当然電車内ではあるので、他の人の迷惑にならない程度に小声でやり取りを交わすのだが、このやり取りで周りの乗客を笑わせてやろうという若さ故の執念もあった。




「即席」というだけあって、台本があらかじめあるわけではなく、大抵私が急に池田に話題提供をする。


よく話題にしていたのは、「社会の一般常識とされているものを疑って池田に問いかける」というスタイルである。


例えば、「液体はすごく粘質の高い気体なのではないか」という問いかけなど。


所詮学生の思いつきなので内容はくだらないし馬鹿馬鹿しいのだが、当時は池田がボケツッコミの天才であったことも幸いし、思いの外、話が膨らんだのが楽しかった。






一回だけ、山手線内で我々のファンが生まれたことがある。


それはある日、田端駅で池田が下車したときのこと。


相棒を失っていきなり黙り込んでいた私であったが、そこにいきなり婦人が


「あの子(池田)のツッコミ、言葉選びがおかしくて笑っちゃったわ。面白い子ね~」


と話しかけてきた。


私のボケについては一切言及されずそれはそれで悲しくはなかったが、すごく嬉しかったし今でもよく覚えている。


一応婦人には、声が大きすぎたと謝罪をしておいた。




今の我々は大人になり、山手線で当時のように漫才を行うことはできないだろう。


ただあのくだらない時間は私にとっては学生時代の貴重でかけがえない思い出の1つである。




-----2024年4月7日の私より-----


あの婦人にサインでも書いておけば良かったなと思います。


本当に楽しい時間でしたね。


思春期真っ盛りで不安定な学生時代の中で、私が心から楽しいと思えるひと時でした。

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