2018年3月18日 過去の煮卵遠征を振り返る
第7回福島遠征の前々日となったこの日、和田は遠征初日と被った選考日程をスライドさせるべく、F5を連打していた。
その気合の入り様は、この日入っていた説明会の予約をキャンセルしてまで行うという狂気じみたものであった。
今回の遠征は異例の1泊2日である。
2泊以上が通例の煮卵遠征において、この日程は極めて短いものであり、その日程を更に半分削るなんで私にはできない。
それに総合優勝争いからも大きく後退することとなる。
つまり、これは煮卵会長としての私のプライドを賭けたF5連打なのである。
ここで一旦、煮卵遠征について説明しておこう。
煮卵遠征では、毎回遠征中のパフォーマンスに応じて総合王者が決められる。
総合王者は全体での投票結果を踏まえた上で、和田の独断で決定される仕組みなのだが、この王座を狙って毎回熱いバトルが繰り広げられる。
過去の総合王者と選出理由を振り返ってみよう。
第1回諏訪遠征では、実に諏訪での滞在時間の半分以上を費やして行われた麻雀大会で優勝した岸本が初代王者に輝いた。
第2回万座遠征では、実に万座での滞在時間の半分以上を費やして行われた麻雀大会で優勝した伴が2代目王者に輝いた。
第2回までは、麻雀サークルでもここまでやらないだろというレベルで狂ったように麻雀をしていた印象がある。
というか、まだみんな免許を持っていなかったし、遊びの幅がかなり狭かったことが原因である。
しかし、車での移動が可能となり、メンバーも増えてきて遊びの幅が広がった第3回からは変化が生じる。
第3回岐阜遠征では、「びっくり居酒屋きかん坊」という、信じられないくらい大量の食事が提供される居酒屋において、びっくりカツ丼を辛くも完食した池田が3代目王者に輝いた。
第4回南紀遠征では、カーナビをバグらせて、走行する車を『神に選ばれし者しか辿り着くことができないパワースポット』とも言われる玉置山に導いてしまった和田が4代目王者に輝いた。
第5回広島遠征では、高速のサービスエリアで自然発生的に開催された、ボトルキャップゴルフにおいて、自身の靴を破壊しながらも煮卵の勝利に貢献した池田が2度目の王者となった。
第6回富山遠征では、旅館において黒部のババアという煮卵遠征史上最凶の敵と真っ向勝負を挑んだ西田が6代目王者となった。
大会の回数を重ねるごとに、優勝のハードルが上がっていることは明らかである。
最も印象深い出来事を起こした人が優勝となるわけだが、ここではやはり川口、渡辺の初優勝に期待がかかる。
煮卵遠征の特徴としてよく言われる言葉がある。それが『マジで3歩歩けば何かが起こる』というものだ。
みんなそれぞれ団体行動という言葉とは無縁の世界で生きてきたので、各々自由に何かやらかす傾向にある。
突然サザエさんのOPの物真似をしだしたり、いきなり謎の寸劇が始まったり。
このようなカオス空間と化す煮卵遠征において、次の王座を掴むために、私は何としても最初から遠征に行かねばならない。
そんな熱い思いが込められたF5連打を一日中やり遂げたのだ。
なお、選考日程の変更はできなかった。




