2018年2月14日 虚無感から愛を見出した男
この日は学習塾のK社の企業説明会へ参加した。
やたらと「成長」という言葉を強調するこの企業であるが、どうやら入社することで「生徒も成長、会社も成長、あなたも成長」するらしい。
それは素晴らしいことだと思ったので、社員への質問タイムに「入社して最も成長したと感じる部分はどこですか?」と聞いてみる。
すると社員は「えー、そうですねぇ…特には…」と頭を抱えていた。
更には「私は元々この企業が嫌いでした」と言い出す始末に、頭を抱えたいのはこっちだと誰もが思っただろう。
PR会社・V社以来の『何の収穫も魅力も得られなかった就活』をしてしまった。
これならこの日煮卵で開催されていた、チョコレートを誰が一番多く貰えるか選手権で勝利するために家でチョコを自作していた方が遥かにマシだった。
とてつもない虚無感を感じながら電車に飛び乗る。
この後すぐ、大学のメンバーと遊びに行く約束をしていたのだ。
一刻も早く合流したかったので、社員がドン引きするレベルの速さで企業を後にしたのは言うまでもない。
電車内では池田が午前の段階でチョコを2個貰っていたなどと供述。
しかも親からは貰っていないらしい。
ああそうか、君は最愛の彼女以外の女性からもチョコをもらったのか。
とりあえず今後は誰かしらからチョコを貰ったら自己申告するように煮卵に伝えて、岡田らと合流。
バレンタインに男4人が遊ぶ図は花の入っていない花瓶のような何とも言えない虚しさを感じる。
悲惨かと聞かれれば悲惨かもしれないが、我々は別にキリスト教徒ではないし、2月14日という平日をただひたすらに生きているだけだ。
そんなことみんな分かっているので、ついに誰もバレンタインについては言及しないまま、夕飯を一緒に食って解散した。
家に帰ってベッドで横になる。
この華々しい学生時代に義理チョコ1つもらうことができないこの虚しさの正体は「愛」の感情なのだろうか。
そう悟ってその事実を煮卵に伝えると、山中に「浅い」と一蹴される。
池田の報告以降は誰もバレンタインについて語らなかった。
深夜、山中は「今日とか一番ライン動きそうなのに全然動かないやんけ」と煮卵の惨状を憂えた。
-----2024年2月14日の私より-----
煮卵の神・西田曰く、煮卵という敷居が高すぎるがあまり、みんなチョコを渡すことを敬遠しているらしいです。
基本的に我が母校(男子校)でもバレンタインは禁止ワードとなっていました。
これはつい先月くらいに判明したことですが、この時期西田には彼女がいた可能性があります。
そうとなると確信犯的な西田の言動には恐怖しますが、真相は闇の中です。




