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2018年6月1日 あなたを香辛料で例えると←???

この日は6月1日の就活解禁日ということで、就活生にとっては大きなターニングポイントとなる一日であった。


私ももちろん例外ではなく、この日は第一志望、本命のグループ企業3社の一次面接を控えていた。


このトリプルヘッダーのいずれかの企業で内定を勝ち取りたいところである。




1社目は、先日私が筆記試験にて「シャングリラダイエット」を生み出した企業である。


就活生3名に対して人事2名、30分の面接が始まった。


他の就活生は、出身大学もかなり高学歴なメンバーだった。しかし、こなしてきた場数はやはり正義である。決して私がやってきたことはそれに引けを取らないという確固たる自信を持って面接に臨むことができた。


最初の自己紹介やガクチカのところまでは非常に典型的な面接であり、ここまでは良くも悪くも大きな得失点が無い展開だったが、ここで人事が半笑いで申し訳なさそうにこんなことを尋ねてきた。


「ちょっと変な質問なんだけど、自分自身を調味料に例えると何になりますか?」




私含めた就活生サイドから乾いたような笑い声が起きる。


私は最初聞き間違いかと思った。


この手の質問は経験があるが、さすがに調味料というのは予想外だ。


この質問は、今振り返っても最高難度の質問である。


しかし、一番最初に当てられた就活生は一切の動揺も無く「私はカルダモンです」と答え始めた。


え?この質問ってそんなに即答できるものなの?しかもカルダモンとかパッとは出てこないだろ。


私はこの時点で八百長を疑ったのだが、そう疑ってしまう程度には良くまとまった返答だったので、一気に焦りが生まれた。


次に当てられた就活生は私と同じ心境だったのだろう。


かなり長い時間迷った挙句、「塩です」と答えていた。


すごく気持ちは分かる。でももうちょっと捻りたかったよね。分かるよ。




いよいよ私の番である。思考回路をフル回転させたとき、私はいつしか食べた湯島の担々麺を思い出した。


確か、あの担々麺は「花淑」を使っていたはずだ。それを答えよう。


しかし漢字は脳内に出てくるんだけど読み方が分からない。


なんか中国語読みでホワジャオみたいな感じだった気がするけど自信がない。




そうこう迷っている間に当てられてしまった。


私の下した決断は…




「あの~、なんていう調味料か忘れちゃったんですけど。私は週5でラーメンの類を食べるくらい麺料理が好きなんですね。それで、一回湯島に美味しい担々麺があると聞いて行ってみたんですけど。そこで出会ったんですね。今までの担々麺という概念を壊してしまう調味料に。その革新的なその調味料の名前を私は忘れたんですけど。でもすごくおいしくって。ああ、俺こういう調味料になりたいなぁ、って思ったんですね。まさにイノベーションですね。」




人事も、なんか変なこと聞いてごめんなさいね、という反応で、私はこの反応を見て敗北を確信した。


私の回答には、入社したらこんな価値を提供したいというメッセージを加えた工夫はあった。


しかし、仮にこの面接で1人しか通過させないとしたら、きちんと質問に答えているカルダモンの人を通過させると客観的に感じたからだ。




1社目の面接が終了した。


残り駒が2つになった気分だ。


次の面接に向けて1時間ほど外を散歩する。




気分もリラックスして迎えた2社目。


ここでは私1名と面接官5名というなかなか圧力がある面接だった。


面接官が5名集まった割には普通な質問しか来ず、1人野球大好きおじさんがいたため、途中からはただの野球談議となって面接が終了。


正直これで落とされたら、某塾会社の最終面接熱い握手落ち以来のブチギレ案件である。




ここはさすがに通っただろ、と少し気が楽になり、散歩後に3社目の面談に。


3社目は少し特殊で、就活生4名のグループディスカッションを2時間30分行った後に、同じグループメンバーと面接官2名の集団面接へと移行するという形式であった。




グループディスカッションも場数をこなしているため、よっぽど変な人がいない限りは大丈夫である。


こちらもそんな自信を持ってグルディスに臨んだ。


さて、今回のテーマが「不登校の学生向けの教育サービス」だったのだが、どこかかつて私が受けたデザイン系企業でやったことのあるようなお題である。


これはかつての経験が活かせそうだとワクワクしていた。


しかし、進行役は活発な女性が引き受けたのだが、ここが失敗だった。


この女性は「不登校の子って引っ込み思案で意思が弱いですよね」という偏見を前提にして議論を開始。


差別的な意見にも聞こえてしまうため、道徳的にその前提はまずいと思ったので、言葉を柔らかくして前提の再考を促したのだが、全く聞く耳を持たない。


更に、時間ないのでこの前提で進めちゃいましょう、と他2名の就活生がその女性側に立ち絶望。


正直この先の議論は私にとっては反道徳的であり、議論に参加したくもなかったのでダンマリを決めた。


同時に、仮にこのような人が受かるような企業なら願い下げだと思った。


ここから2時間、私は何も言わずに、ただ頷くなど一定のリアクションをしながら様子を見ていた。




2時間の沈黙後、グルディス終了。


そのまま集団面接へ。


ここでも特に変わった質問はされなかったが、最後の方にこんな質問をされた。


「先ほどのグループディスカッションの感想を聞かせてください」




私はトップバッターだったのだが、すかさずこう答えた。


「議論の構成、司会の●●さんのリーダーシップ、結論を出すまでの流れはとてもスムーズだっただけに、前提があまりにも不登校になったこどもに寄り添えていなかった点が非常に残念です。」




これは私の正直な気持ちだったし、全然落ちても構わないと思ったから言えたことである。


唯一気がかりだったのは、この情報が他の同一グループ会社に共有されることを懸念していなかったことだが。




最後にケチが付いたが、充実した6月1日を終えて帰路へ。


煮卵にも共有。和田は間違っていないという励ましの声を貰った。




ここの結果は非常に重要である。


早ければ翌日に結果が届く。そんな緊張感が覚めないまま就寝した。




-----2024年6月1日の私より-----


この日のことは非常によく覚えています。


色々記憶に残る出来事の多い面接でした。


日にちを分けて書くことも検討しましたが、後々辻褄が合わなくなるのでまとめました。


間もなく就活も終了、この日記も終了します。

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