表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/160

2018年5月12日 映画の1つや2つ作りなさい

この日は、映画業界の一次面接を受けに向かっていた。


この企業は、過去最高レベルで面白かった説明会が非常に印象的な企業であり、人気企業ゆえエントリーシート通過率も非常に低いのだが、そこを何とか潜り抜けて到達した一次面接であった。




特にトラブルなく面接会場に到着し、受付を済ませる。


今回は面接官1名に対して就活生4名、時間は1時間と、そこそこの長丁場が設定されていた。


待機列に並んでいると、やはり賢そうな人ばかりが並んでいる。


私と同じグループになった就活生も、気品と余裕を感じる態度で待機しており、どことなく強者感があった。




私の名前が呼ばれ、同じグループの他3名とともに入室。早速面接が始まった。


まずは自己紹介と自己PRをお願いします、とのことで、私の順番は最後であったが、ここで私は今までの面接史上最大の衝撃を受けることとなる。




なんと、私以外の3名はいずれも学生時代に映画を製作し、海外で自身の作品を発表した経歴を持っていた。


内2名は賞まで取っており、「まあ映画の1つや2つ作るでしょ」みたいな空気が流れる中、私の順番に。


私は、煮卵劇場である「101回目のプロポーズ」のパロディ作品を高校生時代に撮った話で対抗しようか直前まで悩んだ。


しかし内容自体、西田が自転車で和田を轢くだけの動画であるため、とてもこの場で伝えられる内容ではない。


私は今までの面接での経験を思い出した。


そうだ。自分は自分。自分の良ささえアピールすれば良いんだ。


私にはあるではないか。映画以外に頑張ってきたことが。


誰よりも元気な声で伝えてみようではないか。




「私は野球部の球団職員です!!!」




一瞬時が止まった。


相手が動揺している今こそチャンスと、私の経験を話そうとすると、面接官が静かにこう言った。


「甲子園とか出てるの?」


私の面接は終了した。




この清々しいくらいの惨敗に、帰路は真夏のような太陽さえなんか爽やかに感じた。


あまりにも歯が立たなかった。ただしこれはテクニックとかではどうしようもない。


映画業界ってああいう人が行くんだな、ということで自分の中では相当の納得感が得られたので、これはこれで良かったのかもしれない。




後日結果が届いたが、当然のように落選。




この惨事を煮卵の池田に報告。


池田も、これは運が無さすぎたと笑うしかなかった。


ただし、野球部ならみんな甲子園に出ていると思い違いしている面接官もしょーもないので、そのような会社は入らない方が良いとも言っていた。




-----2024年5月12日の私より-----


この日の面接は6年経過した今でもはっきりと覚えています。


当時も、みんな映画製作の経験があるなら、逆に希少性が示せるのでチャンスと捉えていたのですが、それに対抗できる経歴として「甲子園」が求められてしまったので、これは無理だなと思いました。


映画業界を志す人は映画を作りましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ