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2018年5月11日 疑惑の大喜利質問会

この日は、就職活動における大本命、第一志望のグループ企業の質問会という重要イベントに参加した。


事前説明によると、この質問会の設定時間は1時間30分×2回。


社員5名に対して就活生5名の形式で行うとの案内だった。


なお、選考とは一切関係ないらしい。


正直、この1時間30分という時間設定は長すぎる印象を受けた。


みんなの質問のネタが切れて、気まずい時間が訪れてしまうのではないかという不安が頭をよぎる。




その不安を払拭すべく、例のごとく煮卵LINEにアドバイスを求めることに。


煮卵のスーパーコンピューターの異名を持つ池田の緻密な計算によると、今回は1人あたり12個くらいの質問ができる時間設定であるとのこと。


また、高確率で質問のネタが終盤切れてくるので、やや気まずくなりそうな雰囲気を察知し、そのタイミングで気の利いた質問をすることで良い印象を与えられるのではないか、という作戦まで提示してくれた。




私は池田の作戦を念頭に置いたうえで、質問会会場の受付に辿り着いた。


受付で自分のグループ番号が伝えられ、同じグループの就活生4名と合流。


5人集まって質問会が行われる会議室で社員を待機する。




しばらくして社員がやってきた。


社員はバインダーと何かしらのメモ用紙を持参していた。


私の座った席からは、社員が手にしているメモ用紙に記載されていることが見えてしまった。


そこには、就活生ごとに約10項目を10段階評価で採点する方式のグラフが用意されているではないか。


これは間違いなく選考に関係あると確信し、緊張感が高まる。


社員はバインダーを自分の膝元に置き、まるで何も持っていないかのように振舞っている。


私以外の就活生も、「え?なんですかその用紙は?」という困惑の視線を注いでいる中、疑惑の質問会が始まった。




私は池田の作戦通り、質問ストックの多くを終盤に残しておく作戦に出た。


しかしその野望は開始数秒で打ち砕かれる。


司会役の社員がこう言った。


「今回は順番制の質問会とします。右端に座っている方から、ひとまず持ち時間15分で質問していってください。」


私は左端に座っていたので、自ずと質問順は一番最後である。


これは間違いなく、私のストックが潰されてしまう。


私は、他の人の質問と回答をメモしつつ、絶対に誰も聞かないであろう奇天烈な質問を60分間考え続けることになった。




トップバッター、2人目、3人目と終わっていくにつれて、私の発汗量は増えていった。


まるで奇天烈な質問は思いつかない。


それ以上に気になるのは、質問のたびに社員が手元のバインダーに何やら書き込み始めるので、めちゃくちゃテンポが悪いという点である。


社員は笑いながら「これは本当に選考には関係ないので気にしないでください!」と言っているが、気にしないわけないと思った。




そして4人目の質問が終わり、私の順番となった。


当然だが、私の用意した質問のストックは全て無くなっている。


奇天烈な質問も思いつかなかった。


しかし、1つだけどうしても聞きたいことがあったので、1番最初の質問として聞いてみた。


「この質問会って、本当に選考に関係ないんですかね?」




その後、昼ご飯はどこで食べますか?会社の飲み会で行った店でおすすめの店は?などの、絶妙にどうでもよい質問を重ねていき、なんとか時間を繋いだ。


最後の質問となり、私はこのような質問をした。


「この質問会の場でも笑顔の場面が多かったと思いますが、普段から笑顔の多い職場ですか?例えば、誰かの笑い声がよく聞こえてくるような環境ですか?」




この質問、のちのち振り返ってみると良い質問であった。


まず、社員は困っただろう。


この質問にyesと答えて良いのか、noと答えて良いのか分からないから。


私が静かな環境で働くことを希望しているのかどうかなんて判別が付かないからだ。


よって、社員は正直に答えるしかなくなる。


社員は難しい質問ですねぇ…と言いながら、答えるのに数秒の間があったが、「笑い声の多い環境だと思います」と返答してきた。




この答えは私にとっても良い返事だった。私も笑い声の多い環境の方が良い。


社員が不安そうに、「ちなみに今の質問の意図って…?」と聞いてきたので、


「私は面白いコンテンツを生み出したいです。笑い声が多いこと、それを容認する環境は、必然的に面白い人が集まっていることの象徴であると思うし、そういう環境だからこそ、面白いコンテンツが生み出せると思うので、そのような質問をしました」と返答。


ややまどろっこしい返答ではあったが、社員も安心したようで、「良かった~」と一息ついていた。




そんなこんなで質問会が終了。


社員の1人が書いているメモ帳に書いてある私の採点が見えてしまったが、かなり高評価だった。


不用心だと思いつつも大満足の結果となった。




-----2024年5月11日の私より-----


かなり社員にとっては反省の残る質問会でしたね。


何があってもメモの内容は私には見せちゃダメだったと思います。


質問の内容についてですが、模範的な回答が出せないような質問ができると良いのか、ということにこの時初めて気が付きました。

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