表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-03『DANCE WITH CRISIS』
82/137

第一章:プラーナの風が吹く/02

 そんな昼休みから時間は過ぎて、放課後の夕暮れ時。窓から差し込む茜色の夕陽に照らされたエーリス魔術学院の校舎廊下を、ウェインとフィーネは二人揃って歩いていた。

 今日の課程は終わり、ホームルームも終了。教室を出た二人は特にやることもないから、そのまま学生寮まで直帰だ。

「それでウェイン、週末はどうしたいか決まったか?」

「本気だったのかよお前……」

「当たり前だ。で、どこに行きたい?」

「お前に任せるよ、フィーネの好きにしてくれ」

「何を言う、ここ最近はずっと私が連れ回すばかりだったじゃないか。今度はウェインの行きたいところに私を連れて行ってくれ」

「って言われてもなあ……」

 肩を揺らしながら、フィーネの問いかけにただただ困り果てるウェイン。

 と、そんな風に会話をしながら、二人で廊下を歩いている時のことだった。

「――――――お二人とも、ちょっと!」

 背中から呼びかけてくる声に気付いて、立ち止まり振り返ってみる。

 すると、近づいてくるのは見慣れた青年の影ひとつ。ウェインたちを呼び止めて、駆け寄ってくるのは……二人のクラス担任でもある学院教師、あのエイジ・モルガーナだった。

「すみません、急に呼び止めてしまって」

「構いませんよ先生、それで……私たちに何の御用が?」

「お二人に伝え忘れていたことがあるんです、それも割と重要なことを」

 一本結びに結った銀髪の尾を揺らしながら、駆け寄ってきたエイジ。それにフィーネが応じると、すると彼は普段通りの爽やかな笑顔でそう言って。

「実は今度、ナイトメイル競技会が行われることになりまして。もしよろしければ、お二人もそれにエントリーしてみてはどうでしょう……ということを、お伝えし忘れていたんです」

 と、続けてウェインたちに告げる。

「ナイトメイル競技会……?」

「っていうと、一体どういうことだよ先生?」

 揃ってきょとんと首を傾げる二人に、エイジははいと頷いた後。

「文字通りの競技会です。学院全体から選出した生徒の方々がトーナメント形式で戦い、その技術を競い合う……いわば大規模なナイトメイルの模擬戦です。年に二回ほど開催されるのですが、私のクラスからも何人か出る予定でして……折角なら、お二人もどうかなと」

「ふむ……」

「なるほどなあ。んでも……どうするフィーネ?」

「面白そうではあるが……さて、これはどうしたものかな」

「強制参加ではありませんから、エントリーされるかどうかはお二人次第です」

 顎に手を当てて思案するフィーネと、同じくなんとも言えない顔のウェイン。

 そんな二人にエイジが注釈っぽく付け足して言う中、二人は……特にフィーネは突然のことに判断しかねている様子。

「返事なら、今すぐじゃなくても結構ですよ」

 と、そんな二人にエイジはいつも通りの爽やかな笑顔で言って。

「まだエントリーの締め切りまでには余裕がありますし、明日にでもお返事を頂ければ大丈夫ですから」

「……そういうことでしたら、私とウェインとで今夜一晩ゆっくり考えてみます」

「はい、それで結構です。ではお二人とも、よろしくお願いしますね? 色よいお返事を期待しています」

 ニッコリと笑ってエイジはそう言うと、クルリと踵を返し……コツコツと靴音を立てて歩き去っていく。

 去っていくエイジの背中を見送りながら、二人は顔を見合わせて。

「ナイトメイル競技会、ねえ……?」

「これは……どうしたものかな」

 突然舞い込んできた思いがけないイベントに、ただただ微妙な顔を浮かべ合うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ