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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-03『DANCE WITH CRISIS』
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第一章:プラーナの風が吹く/01

 第一章:プラーナの風が吹く



「はい、あーんです♪」

「お、おう…………」

 昼休みの食堂に、こんな甘酸っぱい声が響くのはもういつものこと。国立エーリス魔術学院の食堂棟で、ずいっと箸を伸ばして食べさせている金髪の少女――フレイア・エル・シュヴァリエと、そんな彼女に困惑しながらもされるがままになっている雪城(ゆきしろ)風牙(ふうが)。二人のこんな光景は、なんだかんだともう見慣れた光景になってしまっていた。

 フレイアの有無を言わさぬ勢いに押されて、彼女に食べさせられ続けている風牙。フレイアの想いを受け入れたといえ、一応は『友達以上、恋人未満から』だったはずなのだが……。

「完全にペースに乗せられてんな、アイツ」

 ウェイン・スカイナイトはそんな熱々な二人の様子を眺めながら、そう思いつつ自分も箸を動かしている。

「ならば私も……ほらウェイン、口を開けろ」

 とすれば、隣に座っていた相棒――銀髪の少女、フィーネ・エクスクルードも何を思ったのか、ずいっと自分の箸をウェインの方に押し付けてきた。

「変な対抗意識なんて燃やすなよ……」

「なんだ、私では嫌なのか?」

「そうじゃなくってよ……ああもう、勘弁してくれ」

 呆れたように肩を竦めるウェインだったが、こんな風にきょとんとした顔でフィーネに返されてしまえば、もう何も言えずにただただ参るしかない。

 ……なんてやり取りを交わしている間にも、フレイアたちの方も相変わらずの調子で。

「さあ、次はこちらですよ風牙っ♪」

「あーいや、その……フレイア? 流石の俺っちでもさ、こういう公衆の面前だと大変お恥ずかしいと言いますか……だからその、ねえ?」

「? どうして恥ずかしがる必要があるんですか?」

「どうしてって訊かれても……っていうかお前は恥ずかしくないのお?」

「こういうことは変に隠すよりも、むしろ堂々としていた方が良いのです」

「そっかあ……………………」

「ですから風牙、ねっ? あーんしてくださいっ」

「フレイア? フレイアさん? 分かったからそう一気に押し込まないで――もごもごもご」

「ふふっ、慌てる必要はありません。時間はまだまだありますから……♪」

 …………どう見ても、風牙が完全に尻に敷かれている。

 普段はよく言えばムードメーカー、悪く言えばお調子者で、誰に対しても押せ押せなのが雪城風牙だ。

 しかし、いざこうしてフレイアのペースに乗せられてしまえばこんな具合。アイツも押される側になると途端にしおらしくなるんだな……と、眺めるウェインはどこか新鮮な気持ちを抱いてしまう。

 それほどまでに、今日の風牙はらしくないほどにフレイアに翻弄されっ放しだった。

「ところで風牙、今度の週末なんですが……二人で、どこかにお出かけしませんか?」

 ……と、そんな呑気なことをウェインが考えている最中にも、フレイアは風牙に誘いをかけていた。

 もちろん、口に差し出す箸は止めないままでだ。

「――――ふむ、ならば私たちもどこか出掛けるとしようか。ウェインはどこがいい?」

 するとフィーネもそれに乗じて、ウェインにそんな質問を投げかけてくる。

 有無を言わさぬ勢いで押してくるフィーネとフレイア、それに押されまくるウェインと風牙。

 それぞれ勢いに押されまくる中、男二人はなんとも言えない顔で静かに顔を見合わせた後。

「「勘弁してくれ…………」」

 出来ることといえば、参ったように肩を竦めながら……特大の溜息をつくことだけだった。

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