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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-02『金色の姫騎士』
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第六章:逆襲のデュエルフィールド/02

 一方、崩落したビルの下では。

「痛ててて……」

〈それは私の台詞です、貴方は別に痛みなんて感じていないでしょう〉

「うるせえんだよお前は! 黙ってろこの野郎!!」

「……っ、すまんウェイン、大丈夫だったか?」

「あー見ての通りだ、お互い無事とは言いづらいが……ま、首の皮一枚は繋がったみてえだな」

 言いながら、ウェインは――仰向けになったジークルーネを庇うように瓦礫の下敷きになっていた彼が、よっこいしょと瓦礫を押し退ける。

 背中に積み重なっていた瓦礫が、ガラガラと音を立てて地面に落ちる。

 ――――崩落してちょっとしたクレーターのように凹んだ地面と、崩れたビルから落ちてきた大量の瓦礫。

 その間にある、ほんの僅かな隙間に……ファルシオンとジークルーネ、ウェインとフィーネの二人はどうにか滑り込んでいたのだ。

 フィーネの方はほぼ無傷、ウェインは落下する彼女を庇ったために多少のダメージを負ってはいるものの……二人とも、どうにか無事にあの地形利用戦術を切り抜けられていた。

「だが、私を庇ったばかりにお前は……」

「気にすんなよ、お前が居なけりゃそれこそ勝てるもんも勝てなくなっちまうからな」

〈すみません、ファルシオン兄様にまでこんな〉

〈気にしないでくださいルーネ、貴女とフィーネが勝利の鍵……例えウェインが動かなくても、私は勝手にやっていたことでしょう〉

「……ま、後の問題はこっからどう抜け出すかだがな」

 ウェインの言う通りだった。

 どうにか隙間に入ることで助かったはいいものの、問題はここから抜け出す方法だ。

 頭上に積み上がった大量の瓦礫の山は、恐らく押し退けるのは困難を極めるだろう。仮にどうにか地上に這い上がったとしても……。

「まず間違いなく、例のミラーリフレクターが待ち構えているだろうな」

「だよなあ……かといってよフィーネ、一生ここに引きこもってるわけにもいかねえだろ」

「ううむ、それはそうなんだが……」

 そう、そこが問題だ。

 二騎の火力をフルに発揮してどうにか瓦礫を排除したとして、這いあがった先にはまず間違いなくフレイアのミラーリフレクターが待ち構えている。

 出口は一ヶ所、しかしその先にあるのは、四方八方から襲われる危険で満ちた鏡の結界。

 逃げ場なんてどこにもなく、かといって逆転の一手を仕掛けるような隙も見当たらない……。

「流石だフレイア、私たちをここまで追い詰めるとは……化け物じみた戦術眼だ」

「ああいうのを天才って言うんだろうな」

 参ったように肩を揺らして言うウェインに、フィーネもうむと頷いて同意しつつ。

「しかし――――詰めが甘いな」

 と、ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

「アイツは私たちの戦力をあまりに過小評価し過ぎている。私のルーネと……何よりお前のファルシオンの力を、アイツは真の意味では知らないのだからな。付け入る隙があるとすれば、そこだ」

「だな、そこに賭けるっきゃねえよな」

「とりあえずウェイン、お前はブラスターを撃て。まずはそれでここから脱出するぞ」

〈私も異存はありません。ファルシオンブラスターの火力でなら、この程度の瓦礫は容易に突破できるでしょう〉

「確かにな、俺たちのブラスターならこんな瓦礫ぐらいは一撃でブッ飛ばせるだろうよ」

 同意するファルシオンの言葉に続き、ウェインはまず頷いた後で……続けて当然の疑問を口にする。

「んでも、その後はどうすんだよ? 俺たちはパワーダウンでしばらく動けねえし、出て行ったところでハチの巣にされんのが関の山だぜ?」

〈その後のことは、私とお姉様にお任せを。考えがありますので。……でしょう、お姉様?〉

「ふふっ、分かってるじゃないかルーネ」

 フィーネが頷くまでもなく言ったジークルーネの言葉に、フィーネはどこか嬉しそうに笑って返す。

 ――――ファルシオンブラスターは強力だが、その後に大きすぎる隙を晒してしまう。

 知っての通り、これがブラスターの明確な欠点だ。ファルシオンは不完全であるが故に、ブラスターを一発撃つたびに一時的なパワーダウンを引き起こしてしまう。

 そうなれば少しの間、ファルシオンは文字通り一歩も動けなくなってしまうのだ。少し間を置けば回復してまた動けるようになるが……しかしそんな大きすぎる隙を、まさかフレイアと風牙が見逃がしてくれるはずもない。

 だからこそ、瓦礫をブラスターで吹き飛ばせというフィーネの提案にウェインは首を傾げたのだが……この様子だと、どうやらパワーダウンでの行動不能も織り込み済みで言っているのだろう。

「大丈夫だウェイン、私を信じろ」

 ――――彼女がそう言うのなら、心配は要らないか。

 ウェインは「……あいよ」と頷き、左手を構えてファルシオンブラスターの発射体制を取る。

〈飛び出した後は私たちにお任せください。ウェイン、ファルシオン兄様……露払いを頼みます!〉

「お前は何も考えるな、私に任せていればいい。私を信じて――――撃て、ウェイン!」

「わーったよ、信じたぜ相棒! ――――ファルシオン・ブラスタァァァァァッ!!」

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