表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-02『金色の姫騎士』
73/137

第六章:逆襲のデュエルフィールド/01

 第六章:逆襲のデュエルフィールド



 爆破され崩壊したビルに押しつぶされるようにして、瓦礫の下敷きになった二騎が巻き上がった土埃の中に消えていった。

 後に残るのは山のように折り重なった瓦礫と、崩れ落ちたビルの残骸のみ。そこに二騎の姿は……ファルシオンとジークルーネの姿はない。

「おいおい……チョイとこりゃあやり過ぎじゃねえの?」

 そんな光景を――フレイアの近くのビル屋上に陣取って眺めていた風牙が、ドン引きした様子で呟く。

 フレイアはそれに対して「これも戦術です」と平静な声で言い返して。

「それに……あのお二人、この程度の小手先で倒せるような相手とも思えません」

「だけどよ、マジでやり過ぎだろこれ……たかが模擬戦でここまでやるかね普通ぅ?」

「いかなる時、いかなる状況下でも全力でお相手するのが、私の流儀ですから」

「ホント相変わらずだよなあ、その顔に似合わないエゲつねえ戦法……」

 あくまで冷静な声で呟くフレイアに、風牙は呆れたように大きく肩を竦める。

 ――――フレイアは、昔から用意周到な性格だった。

 こうしてナイトメイルでの模擬戦がある度に、彼女は入念な下準備をして……こういう風に相手を罠に嵌めるような戦い方をしてきた。フレイアとずっと一緒に居たからこそ、風牙は誰よりもそのことを理解している。

 そんな彼女が最も得意とする戦法こそ、こうした地形利用戦術。相手の足場を崩したり、地形を崩して逃げ場をなくしたり。こういう戦い方は、フレイアが一番得意とする……まさに十八番(おはこ)と言ってもいい。

 …………とはいえ、今回のはかつてないほどにド派手な戦術だ。

 故に風牙はこんな風に、完全にフレイアにドン引きした反応を見せているのだった。

「さて、次のターンと参りましょうか」

〈おっけー、リフレクターはもう展開終わってるよ。調整はボクに任せていいからね〉

「ありがとう、デュランダル。――風牙、そちらも弓を構えなさい」

〈こっちも負けてらんないわよ、気張んなさいよねお兄ちゃん〉

「へいへい……にしたって、ホントにまだ戦えんのかねアイツら?」

 フレイアが積み上がった瓦礫の山の周囲を取り囲むようにミラーリフレクターを展開する中、風牙も膝立ちになってライトニングアローを構えつつ言う。

「お二人なら、必ず這いあがってくるでしょう」

 それにフレイアは短く返しつつ、ガシャンと右手のバスターライフルを構えて。

「しかし、その時こそ最後……四方を囲む鏡の結界に閉じ込められた今、お二人が逆転できる可能性は万にひとつもありません」

 スッと鋭く目を細めながら、どこか冷たい響きの声でそう呟いた。

「これで、チェック。…………あと一手でチェックメイトです、フィーネさん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ