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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-02『金色の姫騎士』
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第五章:金色の姫騎士/02

「風牙っ!」

「まずはとにかく距離を取れ……だったな!」

 戦闘開始直後、フレイアと風牙は全速力で後退。ウェインたちから逃げるように大きく距離を取っていく。

〈お兄ちゃん、作戦忘れないでってば!〉

「わーってるっての! ライトニングアロー展開! スパークボルト……束ね撃ちだぁぁぁっ!!」

 そうして後退しながら、風牙は左手にある固定装備の弓――ライトニングアローを展開。格納されていた弓のリム部分をバシンと上下に起こせば、すぐさま右手で光の矢をギュッと(つが)えて引き絞る。

 そのままバシュンと五本同時に撃ち放てば、続けざまに何度も何度も、纏めて光の矢を発射していく。

「チッ……! 逃げんじゃねえっ!!」

「熱くなるなウェイン! このまま追えばフレイアの思うつぼだっ!!」

「っつってもよ……追わねえわけにはいかねえだろうが!」

「ッ……それは、その通りだが……っ!!」

 パッと大きく散らばるように、広範囲で浴びせるように飛んでくる束ね撃ちのスパークボルト。

 ウェインは背中のプラーナウィングを盾にして防ぎつつ、フィーネは巧みな回避機動で避けながら、逃げる二人を追いかけていくが……。

「では、ここで次の一手を」

 そんな追いかけてくる二人を冷めた目で見つめながら、フレイアはポツリと呟いて。

「――――フォトンバスターライフル、アクティヴ」

 スッと構えたデュランダルの右手にプラーナを集中させて、その手のひらに巨大な大砲を生成した。

 生み出されたそれは、その名の通りのライフル銃。太く長大な銃身を持つ、およそ魔導騎士には似つかわしくないほど無骨な武器だった。

〈プラーナエネルギー、チャージ完了……いつでも撃てるよ、フレイア〉

「分かりました、細かな照準補正は……デュランダル、いつも通りに任せます」

〈任せて、多少ブレてもボクが上手く合わせるから〉

 聞こえてくる、甲高くあどけない少女の声――デュランダル自身の声に頷きながら、フレイアは右手に握り締めたフォトンバスターライフルを構える。

 ガシャッと照準を合わせた先、銃口が睨むのは……ファルシオン。

「まずは小手調べ……シュート!!」

 カチッと人差し指がトリガーを絞れば、発射されるのは猛烈なプラーナビーム。

 あの常識外れなファルシオンブラスターほどではないだろうが、バスターライフルの銃口から迸ったオレンジ色の太いビームは……かなりの威力を秘めているに違いない。

〈この威力は……ウェイン!〉

「ッ、コイツは……っ!?」

 迫り来るプラーナビームを前に、回避が間に合わないと悟ったウェインは防御を選択。背中のプラーナウィングをバッと前に出し、身体を包み込むようにして盾にする。

 そのコンマ数秒後、プラーナウィングに直撃したバスターライフルの一撃を受けて……ウェインは思わず顔をしかめた。

 流石に貫通こそしなかったが、しかしその衝撃は凄まじく、僅かにだがファルシオンがぐらりとバランスを崩してよろめいてしまうほど。白いプラーナウィングの表面を大きく焦がすほどの一撃、もしマトモに喰らえば……きっとタダじゃすまないだろう。

「ふふっ、やはり防ぎましたか。それでこそです……風牙、後は手筈通りに」

「オーライ! んじゃあ任せたぜフレイア!!」

〈そっちじゃなくて向こうでしょ、お兄ちゃんっ!!〉

「おっと、いけねえいけねえ……」

 フレイアに言われて、風牙は――天雷に尻を叩かれん勢いで叱責されつつ、ウェインが怯んだ隙にその身をビルの群れの中に紛れ込ませていく。

 このままでは、完全に彼をロストしてしまう。

「いかん……!」

「いいえ、これで良いんですよフィーネさん。――シュートッ!!」

 見失う前に風牙を捕らえようと急加速したフィーネだったが、しかしその行く先をバスターライフルから放たれた二発目のプラーナビームが遮って邪魔をする。

 フィーネ自身は当たる寸前でクッと身を捩って回避したが、しかしその一瞬の間に……風牙の姿は、完全に二人の認識外へと消えてしまっていた。

「やってくれるな、フレイア……!」

「フィーネさんが追撃に打って出ることは分かっていました。常に二手三手先を読んでこその戦い、それこそが戦術……ですよね、フィーネさん?」

「ああ、全くその通りなのが腹立たしい――――が、こちらにも切り札がある!」

「切り札……?」

「――――ウェイン!」

「よそ見は厳禁だぜ、フレイアぁぁぁぁっ!!」

 二発、三発と続けて放たれるビームを避けながら、フィーネが言葉の応酬で気を逸らしている間に……ウェインはフレイアの真後ろに回り込んでいて。びゅんっとプラーナウィングをはためかせて急加速すると、一気に彼女の至近距離にまで飛び込んでいく。

「懐に入ればこっちのもんだ! 覚悟しやがれ!!」

 加速の勢いのまま、鋭い飛び蹴りを喰らわせようとするウェイン。

 だがフレイアはそんな彼を前に、驚きもせず。

「ふふっ……ウェインさん、ひとつお忘れではないでしょうか?」

「ッ!?」

「――――風牙!」

 フレイアが叫んだ瞬間、飛び蹴りを仕掛けていたはずのファルシオンが……まるで何かに横から殴られたみたいに、明後日の方向に吹き飛んでいってしまった。

「ウェインっ!」

「んだと……っ!?」

 案じたフィーネが叫ぶ中、吹っ飛ぶ最中にウェインは確かに見た。

 ――――高層ビルの上にしゃがみ込み、こちらに向けてライトニングアローを構えた天雷の……風牙の姿を。

「ひゅーっ、マジでピンポイントに来やがった……」

〈流石の読みってところね。お兄ちゃんには逆立ちしても無理な芸当だわ〉

「一言余計だっつーの!」

「ふふっ……お見事でした、ベストタイミングです」

「仕事はちゃあんとしたぜ! 俺っちはまた逃げらあ!」

 どうやら、姿を消していた風牙が遠くからファルシオンを狙撃したらしい。

 見事にウェインを狙撃してみせた風牙は、そのまま高層ビルを飛び降りて再び姿をくらませようとする。

〈お姉様!〉

「分かっている! 逃がさん……今度こそ!」

 逃げていく風牙を今度こそ逃がすまいと、追撃態勢を取るフィーネだったが……。

「風牙の元へは行かせません! ――――デュランダル、ミラーリフレクター展開!」

〈アイコピー! リフレクター・アクティヴ! 細かい調整はボクに任せてっ!!〉

 そんな彼女の周囲に、デュランダルの翼が……背中から分離した六つのフィンが飛来し、ぐるりと取り囲む。

 パカッと開いた六つのフィン、その一枚一枚の内側に張られているのは、曇りひとつない綺麗な鏡。

 ――――『ミラーリフレクター』。

 これが、あの翼のような六つのフィンの正体だ。デュランダルの背中にあるラックを離れて展開するそれは、自立型の子機ともいえる。

 ……もちろんフィーネも、このミラーリフレクターのことは知っていた。

「しまった……!?」

 知っていた、だからこそ……ハッとしたその顔に浮かぶのは、どうしようもないほどの焦燥感。

「デュランダルの真価、見せて差し上げましょう! ――――マキシマムチャージ・シュート!!」

 そんな焦るフィーネに向かって、フレイアはバスターライフルを撃ち放つ。

 だが、そこは神速の騎士ジークルーネ。本能的な動きでフィーネは迫り来るプラーナビームをひゅんっと見事に避けてみせた。

〈お姉様、今度は後ろからっ!?〉

「ちぃ……っ!!」

 だが――――いつの間にか背後に回り込んでいたミラーリフレクターが、避けたはずのビームを跳ね返してしまう。

 そう、これこそがミラーリフレクターの能力だ。

 ふわふわと飛び回る自立子機が、その鏡の部分を使って……バスターライフルのビームや攻撃魔術、ありとあらゆるものを自由自在に反射してしまうことが出来るのだ。

 飛んできた攻撃を防ぐ盾にも、こんな風に応用すれば武器にも出来る。フレイアの発想次第で無限の使い道がある、攻防一体の自立子機……それこそがデュランダルの黄金の翼、この六枚のミラーリフレクターなのだ。

〈回避、間に合わない……きゃあっ!?〉

「ぐあ……っ!?」

 頭では分かっていても、対峙するのはこれが初めてだ。

 だからかフィーネは反射してきたビームにまでは反応できずに、避け切れないまま……跳ね返ってきたビームはジークルーネの背中に直撃。手痛いダメージを負ったフィーネは、そのまま前のめりにがっくりと倒れてしまう。

〈ブルズアイ! やったねフレイアっ!!〉

「油断は禁物です、相手はあのフィーネさんなのですから」

 無邪気にはしゃぐ、どこか天真爛漫なデュランダルの声にあくまで冷静なままフレイアは返しつつ、静かにバスターライフルを構え直す。

「くっ……!」

〈お姉様!〉

「分かっている! ――――アレスターチェーンだっ!!」

 前のめりに倒れた格好のまま、フィーネは手首の裏からアレスターチェーンを射出。ひゅんっと放った細いチェーンでデュランダルの右手首を絡め取る。

 グッと引っ張ってやれば、これでバスターライフルは撃てないはずだ。

「ウェイン!」

「わーってるよ……行くぜファルシオン!」

〈とにかく、まず先にデュランダルをどうにかしなくては……!!〉

 そうしてフィーネが縛り上げた隙に、体勢を立て直していたウェインが突撃。背中の翼をはためかせながら急加速すると、一気にフレイアとの距離を詰めていく。

「――――ファルシオン・バトルキャリバァァァァッ!!」

 突撃しながら、左手に召喚するのは両刃の長剣『ファルシオン・バトルキャリバー』。ギュッと(つか)を握り締めたそれを振り上げながら、ウェインは身動きの取れないフレイアに向かって突っ込む。

 そんな突っ込んでくるファルシオンの姿を、右手を縛り上げられたままでフレイアはスッと静かに横目で見ると。

「想定通りの動きですね。では……更なる一手を」

 フレイアは空いている左手を、突っ込んでくるウェインの方にバッと向けた。

 瞬間、左の手のひらがパッと黄金の光を放つ。

〈なっ……!?〉

「んだと……ぉっ!?」

 そうすると、一体どういうわけか……高速突撃を仕掛けていたはずのファルシオンが、突如としてその動きを止めたではないか。

 まるで見えない何かに縛り上げられたかのように、空中で静止してしまったファルシオン。

 ウェインも、そしてファルシオン自身も一体何が起こったのか分からず、ただ驚いていたが……しかし自分に向けられたデュランダルの左手を見た瞬間、全てを理解していた。

「フラッシュバインドか、使いやがったのは……!?」

「ご明察です、私の得意技ですから」

 左手を輝かせながら、ニッコリと微笑むフレイア。

 そんな彼女が仕掛けたものの正体は、光属性の拘束魔術。手のひらから放つ特殊な光波でギュッと相手の動きを封じる技。

 その名は――――『フラッシュバインド』。

「お気づきなら、次にどうなるかもお分かりですね?」

「ああ……悔しいが分かっちまったよ、ハッキリとな……!」

「でしたら、お覚悟を。――――マキシマムチャージ・シュート!!」

 ウェインが悔しげにギリリと奥歯を噛みしめる中、フレイアは未だアレスターチェーンのせいで明後日の方向を向いていたバスターライフルを発射。

 しかし放たれたプラーナビームは待機していたミラーリフレクターに弾かれて、ギュンっと鋭く方向転換し……そのまま真っ正面からウェインに突き刺さる。

「うあ……っ!?」

「ウェインっ!!」

 胸に直撃を喰らい、派手に吹き飛んでいくファルシオン。

 思わずフィーネが叫び声を上げる中、しかし反撃はそれだけでは終わらなかった。

「パターン・シグマ! ……風牙!!」

 フレイアが声を張り上げた瞬間、いずこかに潜んでいた風牙がひゅんっと風のように姿を現す。

「あいよ!」

〈今よお兄ちゃん! いっけぇぇぇぇっ!!〉

「うるせえから怒鳴るんじゃないよ! ――――落ちろよ、インパルスショットだぁぁっ!!」

 ライトニングアローに(つが)えた光の矢に纏わせるのは、魔術で生み出した弾ける稲妻。

 そうして雷で強化した光の矢を――『インパルスショット』を、風牙は吹っ飛んでいくウェイン目掛けて撃ち放つ。

 バシュンと鋭い音を立てて放たれた光の矢は、まるで吸い込まれるように飛んでいって……そのまま、ファルシオンの無防備な背中に突き刺さった。

「ぐぁ、ぁぁぁぁぁぁっ……!!」

 完全に、ウェインの意識外からの攻撃だった。

 まさにパーフェクトなタイミングでの奇襲だ。普通なら光のバリア……フォトンシェードで難なく防ぐ攻撃でも、気付かぬ内に撃たれていれば防御も回避も不可能。どうしようもないほどに無防備なまま直撃を喰らったウェインは、そのまま仮想都市フィールドの街並みの中に墜落していく。

「風牙っ! 貴様……よくも私のウェインに当ててくれたなっ!!」

 小さな煙を吹きながら、街中に墜落するファルシオン。

 それを見た瞬間、フィーネの標的はフレイアから風牙に切り替わっていた。

 起き上がりながらアレスターチェーンを振り払うと、ダンッと大地を蹴ったフィーネは……ジークルーネ持ち前の神速で一気に距離を詰めて、風牙に向かって魔術を放つ。

「テンペストランサー、避けられると思うなっ!!」

 バチンと指を弾いて発射したのは、細長い風の槍。

 至近距離から放たれたその風魔術――テンペストランサーを避ける時間など、今の風牙には残されていない。

「うおっと!?」

 だが――――当たるはずだった風の槍は、直前で割り込んできた鏡のような何かに弾かれてしまった。

「しまった……ぐあぁぁぁっ!?」

 バシュンと跳ね返ってきたテンペストランサーが直撃し、フィーネは彼方に吹き飛んでいく。

 彼女と風牙の間に割って入ってきて、不可避だったはずの攻撃を弾き返したもの。

 それは――――言うまでもなく、フレイアのミラーリフレクターだった。

「ふぃー……助かったぜフレイア、喰らってたらマジでヤバかったかも」

「危なかったですね、フィーネさんが貴方を狙うのは少し予想外でしたから」

〈ギリギリのタイミングだったけれどね……間に合ってよかったよ、ボクの判断じゃ無理だったから〉

〈お兄ちゃん、油断大敵だっていつもあれだけ言ってるじゃない……あのジークルーネって奴のとんでもない速さ、知ってたわよね?〉

「め、面目ねえ……」

「とにかく、今は一刻も早く離脱を。お二人の相手は私に任せて、風牙は作戦通りにお願いしますね」

「あいよ!」

 ふわふわと浮遊するミラーリフレクターを、礼をするみたくポンっと軽く叩いた風牙は再びその場から離脱。やはりフィールドのビル群の中に姿を消していく。

「くっ……!」

〈お姉様、大丈夫ですかっ!?〉

「私なら問題ない、それよりルーネ……まだやれるな!?」

〈ええ、正直言って結構痛かったですけれど……戦えます、私たちはまだ!〉

「よく言った、だがしかし……フレイア、やはり恐ろしい相手のようだな……!」

 そんな消えていく風牙と、バスターライフル片手に悠然と立つフレイアの姿を遠くに見つめながら、フィーネは苦い顔を浮かべていた。

 ――――本当に、恐るべき相手だ。

 二人の相手をフレイアは自分ひとりで引き受けながら、風牙にはヒットアンドアウェイの奇襲攻撃で戦わせている。あくまで遠距離戦型の彼には神出鬼没の支援に徹させながら、自分は魔術やミラーリフレクターを巧みに使いこなし、数的不利もものともせずにフィーネたちを翻弄し続けている……。

 それも全て、フレイアの指揮能力の高さあってのことだ。

 何もかも彼女の凄まじい頭の回転の高さと、恐るべき戦術眼があるからこそ成立している。先の先まで読んでの行動と、的確なタイミングで風牙を動かしての効果的な奇襲攻撃。この戦いの主導権を握っているのは、他の誰でもない……司令塔のフレイアだ。

 そんな彼女の巧みな戦術の前に、フィーネとウェインはただただ翻弄され続けている。

「おい、どうするよフィーネ……このままじゃヤバいぜ」

 よろめきながら立ち上がるフィーネの傍に合流してきたウェインが、珍しく焦燥感のある声で呟く。

 フィーネはそれに「あの二人、予想以上のコンビネーションだな」と呟き返しつつ。

「だが……息を合わせるのなら、私たちも負けていないはずだ」

「キツすぎる状況だけどよ、やってみるか?」

「やるしかないだろう、逆転の一手に賭けるしかあるまい。……いけるな、ルーネ?」

〈勿論です、私とお姉様は一蓮托生ですから〉

「お前も問題ねえだろうな、相棒?」

〈イエス・ユア・ハイネス。この程度でどうにかなるほど私はヤワではありませんから〉

「けっ、相変わらず口の減らねえ野郎だぜ」

〈無口よりは可愛げがあるでしょう?〉

「ったく、好きに言ってやがれってんだ……」

「ウェイン、アレでいくぞ」

「……やんのかい、アレを?」

「タイミングはお前に任せる、後は何も考えずに突っ走れ」

「……あいよ、背中は預けたぜ相棒」

「ああ、任せろ!」

 コクリと静かに頷き合い、ニッと不敵な笑みを向け合う二人。

 そんな二人を――ビルの屋上から見下ろしながら、フレイアが言う。

「ひそひそと仲がよろしくて。そろそろ内緒話は終わりましたか?」

「うむ、待たせたなフレイア」

 バスターライフル片手に、ふわふわと浮遊する六枚のミラーリフレクターを周囲にはべらせながら言うフレイアに、フィーネはいつもの冷静な声でそう返す。

 返しながら、左手にミラージュレイピアを召喚。細身な剣を握り締めて、フィーネは静かに構えを取る。

「でしたらどうぞご自由に、どこからでも来てください。お二人を全力でお相手しましょう」

「おうよ、こっからが第二ラウンドだぜ……フィーネ!」

「皆まで言うな! 仕掛けるぞ――――ウェインっ!!」

 ダンッと地を蹴って加速するジークルーネと、その横で白翼をはためかせて飛翔するファルシオン。

 猛スピードで迫り来るそんな二騎を、デュランダルはただ静かに迎え撃つ。ガシャンと構えたバスターライフルの銃口から、眩いプラーナビームの閃光を瞬かせながら――――。

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