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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-02『金色の姫騎士』
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第三章:……私はお前の剣であり、盾なのだから/04

 その日の夕方、太陽が西の彼方に没しかけた頃……ウェインとフィーネはようやく学院に戻っていた。

 フィーネと一緒に、くたびれた顔で校門を潜っていく。飛び出してから丸一日も経っていないのに、学院の景色がなんだか随分と久し振りに思えてしまう。

「あー……なーんでこんな時間まで引っ張られなきゃならねえんだ……」

「仕方あるまい、後始末というものがあるからな」

 ――――現れたDビースト、不可視超次元獣インヴィジリアは無事に倒した。

 夜明けとともに奴は撃破したものの、その後の後始末やら引継ぎやら、色んな煩雑すぎる手続きでやたらと時間を食ってしまい……なんだかんだと帰宅がこんな時間になってしまったのだ。

 後始末が無ければ、朝には寮に帰ってぐっすり眠れていたはずなのに。

 それを思うと、ウェインの口からは疲れ切った声のボヤきが漏れてしまっていた。

「マジで眠たくて仕方ねえ……よく考えたらほとんど寝てねえよな、俺たちって」

「仕方ないだろう、これが私たちの務めなんだから」

 ふわーあと眠たそうに特大のあくびをするウェインの横で、そう言うフィーネは何故か平然とした顔。全く同じ睡眠時間のはずなのに、どう見ても寝不足で眠そうな感じには見えない。

「……よく平気だな、お前」

 そんな彼女が不思議で、ウェインが問うてみると。するとフィーネはうむと頷いて。

「私は案外平気なんだ。それにヘリの中で少しだが仮眠も取っている」

「へーえ、良いよなあ眠れて。俺ぁなんだか気が立っちまってよ、寝ようにも寝れなかったんだ。お前よく眠れたよな?」

「お前の傍はよく眠れるからな、知っているだろう?」

 ふふん、と胸を張って何故だか自慢げに言うフィーネ。

 それにウェインは「あら、そう……」と肩を揺らすしかできない。目元に濃い(くま)の出来た眠たげな顔では、もうこれ以上何かを言う気力もなかった。

「まあ寮はもう目の前だ、帰ったらゆっくり寝るといい」

 そんな彼の横を歩きながら、フィーネがぽんぽんと肩を叩いて言うと。するとその直後――――。

「――――おーい、ウェインとフィーネちゃんじゃねえか?」

 といった声が後ろから、駆けてくる足音と一緒になって聞こえてきた。

 振り返ってみると、どうやら声の主は雪城風牙。フレイアも一緒になって校門の方から走ってきていた。

「偶然ですね、今お帰りですか?」

「うむ、そんなところだ。……お前たちは?」

「ま、チョイと野暮用でな」

「そこで偶然、お二人をお見掛けしたものですから」

 風牙たちも、丁度あの仕込みを終えて仮想都市フィールドから帰ってきたところだった。そこで偶然にもフィーネたちの背中を見かけたから、走って後を追いかけてきたらしい。

「お二人とも、今日は大変でしたね。手続きのためとはいえ、朝からエルドラゴンまで往復ですもの」

「ん? ……あ、ああ。まあ色々とあってな」

(そういう言い訳になっているのか、ニールめ……先に言っておいてくれないと困るぞ)

 フレイアに言われて、フィーネは一瞬戸惑いつつも適当に話を合わせる。

「まー、お疲れだったなお二人さん」

「おうよ……そっちは変わったこと、無かったか?」

「あるわけねえだろ、早々あってたまるかよ」

「ふふっ、特に変わったことはありませんでしたよ? いつも通りの、平和な一日でした」

「ふむ、ならば何よりだ。平穏無事なのが一番だからな……ウェインもそう思うだろう?」

「……まあな」

 コクリと頷きはしたものの、ウェインは完全に眠気マックスな様子。眠すぎて完全に目が据わってしまっている辺り、いつマトモな受け答えが出来なくなってもおかしくないレベルか。

「風牙、フレイア、すまんがウェインがこんな調子なんでな。先に失礼させて貰う」

 それを見たフィーネは限界を察して、二人には悪いと思いつつ……早々に話を切り上げて寮に急ぐことにした。

「おうよ、んじゃあまた明日な」

「今日はお疲れさまでした、ゆっくり休んでくださいね」

「うむ、また明日だ。……ああそうだ、週末のダブルデートは楽しみにしているよ」

「はい♪」

「いやダブルデートってこたあねえだろ……まあいいや、んじゃあなフィーネちゃん、それにウェインも」

 フレイアと風牙、二人とそんな会話をしてから別れて……フィーネは眠気限界突破なウェインを半ば引きずるようにしながら、彼を連れて学生寮に向かって歩いていくのだった。

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