第三章:……私はお前の剣であり、盾なのだから/02
「――――にしたって、変だと思わねえか?」
で、時間は過ぎてその日の昼休み。
学食棟のテーブルで昼食に箸を伸ばしながら、風牙はフレイアと話している最中だった。
今日は珍しく二人だけでの昼食で、お互いテーブルを挟んだ対面に座る形。そして食事中に話す内容といえば……当然、この場に居ないあの二人についてだ。
「変って、何が変なんですか?」
「いやウェインとフィーネちゃんのことだって。考えてもみろよ? いくら手続きに不備があるたって、そんなの二人同時に起こるかよ? ぜってー何か裏があるぜ……俺の勘がそう囁いてんだ」
「ふふっ、風牙の考えすぎですよ」
「そうかねえ」
「もしかしたら、片方は付き添いみたいな感じかもしれませんし」
「……あー、確かにフィーネちゃんならあり得そうだなあ」
「いつもウェインさんにべったりですからね、そういう線はあると思います。それにしても……お二人とも帝都から来られていたんですね」
「帝都エルドラゴン、懐かしいねえ。よくパーティに連れて行かれたっけか。……確かフレイアの家も帝都にあったよな?」
「ええ、よく覚えていましたね」
「まーあんだけ行く機会ありゃあな。いくらハナタレ小僧だったガキの時分だっつっても、嫌でも覚えるってもんよ」
「ふふっ……♪」
箸を動かしながら、昼食を共にしながらの会話はいつにも増して弾んでいるような気さえしてしまう。
それだけ噂話というのは面白いものなのかも知れない。尤も……話題としては脱線しかかっている気もするが。
「それにしても……お二人とも、本当に仲が良いですよね」
と、フレイアがふと思い出したように呟く。
「まーなあ、スゲえよなホントに。お前も言ってたけど特にフィーネちゃんがべったりだから」
「あの雰囲気だと……やっぱり昔からの仲なんでしょうか。今日もお二人揃ってお休みされていますし」
「だろうなあ、まず間違いねえよ。ったく羨ましいったらねえぜ……フィーネちゃんと二人っきりで帝都旅行だぜ? しかも学院サボってよ? 羨ましいなんてもんじゃねえよ……あーやべなんか腹立ってきた」
「……風牙、もしかしてまだフィーネさんに未練が残っていて?」
「ん、んなわけねえだろ!? んなわけ……ちょっぴりあるかも、いやもうちょっとあるかも……」
フレイア的には半分は冗談のつもりだったのだが、でも風牙といえばこの調子。決闘で負けたからフィーネのことはすっぱり諦めはしたものの、でも未練はなんだかんだ残っているようだ。
そんな彼の――どこまでも彼らしい反応に、フレイアは思わずふふっと表情を綻ばせながら。
「ねえ風牙、放課後って予定ありますか?」
と、何気ない調子で彼に問うてみる。
「んあ? 放課後……は何もねえわ。俺って意外と暇人なのよね。自分で言ってて悲しくなってきたけど」
「でしたら、少し付き合って貰えません?」
「あー勿論良いけどよ、なにすんのよ?」
「強いて言うなら……仕込み、でしょうか♪」
「仕込みぃ?」
「ええ、仕込みです♪」




